プロメテウスの政治経済コラム

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2006年度予算案衆院通過―家計への大幅負担増

2006-03-03 18:05:47 | 政治経済
2006年度政府予算案は2日夕の衆院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決され、参院に送付されました。民主党が永田寿康衆院議員の「偽メール」問題で全面謝罪に追い込まれたことで、「ピンチに陥ると福の神が支えてくれる」(2月24日)とご機嫌の小泉首相。憲法の規定で、予算案は送付後30日以内に参院が議決しなければ自然成立するため、予算の年度内成立が確実になりました。しかし、米国産牛肉輸入再禁止、耐震偽装、ライブドア、防衛施設庁談合事件に加え、格差拡大など、「小泉改革」の害悪が消えたわけではなく、参院での徹底した予算審議が期待されます。

予算案は、予算の全体規模を示す一般会計が、05年度当初予算比3・0%減の79兆6860億円。定率減税の全廃や医療改悪など国民生活にとっては2兆7千億円の負担増となっています。予算案の主な負担増は次の通りです。
■所得税・住民税の定率減税
 06年に半減→07年に全廃
■たばこ税
  1本1円相当引き上げ
■酒税(第3のビール)
  350ml1缶あたり3.8円増
■年金
 国民年金保険料
  月額280円引き上げ
 厚生年金保険料
  0.354%引き上げ(労使折半)
 年金給付額
  物価スライドで0.3%削減
■介護保険料の引き上げ
  (市町村ごとに実施)
■高齢者医療(70歳以上)
 「現役並み所得者」の窓口負担
  2割→3割
 長期入院患者の食住費(月額)
  食費2万4千円→4万2千円
  居住費ゼロ→1万円

2006年度予算案は「国民への負担をさらに引き上げ、社会保障改悪をすすめる予算」といってよいでしょう。

小泉内閣のもとで、平均的サラリーマン世帯では、すでに約12万円の負担増となっており、今後3年間でさらに8万円近い負担増になります(表)。このうち2006度予算案には、定率減税全廃、医療費の値上げなど2兆7千億円もの国民負担が盛り込まれたのです。
これとは対照的に、史上最高の利益を上げている大企業に対しては、定率減税と同時にスタートした法人税率の引き下げ措置を「恒久化」し、研究開発減税やIT(情報技術)投資減税を形を変えて継続させています。採算の見通しの立たない高速道路の全面建設、需要がはっきりしない関空二期工事、スーパー中枢港湾や巨大ダム工事の推進など無駄な公共工事には相変わらず手をつけていません。

未曾有の財政危機のもと、軍事費や大型公共事業のムダと浪費は徹底して削減すべきです。同時に経済の持続的な発展のためには、一般大衆にばかり負担増を求めるのではなく、大企業、金持ちに対する優遇税制にメスを入れる税制改革こそが今求められています。



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