プロメテウスの政治経済コラム

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守屋氏喚問  肝心なところでは「覚えていない」「承知していない」これで幕を引くわけにはいかない

2007-10-30 18:49:24 | 政治経済
29日、衆院テロ特別委員会で行われた守屋武昌・前防衛事務次官(63)の証人喚問。「天皇」と呼ばれた大物次官は、接待ゴルフの回数や場所、賭けマージャンや焼き肉店での会食の様子…。「山田洋行」元専務との11年間にわたる親密な「交際」については、すらすらと語ったが、元専務側への便宜供与がうかがえる「新事実」を出されると、後ろに控える弁護士(補佐人)を振り返り、不安げな表情で助言を受けた。
守屋氏は、ゼネラル・エレクトリック(GE)社製の次期輸送機CXエンジンの導入を決めた装備審査会議の議長を自ら務めていたが、「山田洋行がGEの代理店だと知っていたか」と追及されると、「法律上の問題なので」「職務権限にかかわる問題なので(補佐人と)相談したい」と、うろたえながら証言を渋った。深谷隆司委員長が「証言を拒絶する場合のみ相談が認められる」とたしなめると、一変して「承知していなかった」と否定するなど、いっそうの疑惑を招いた。守屋氏は、イラク戦争開戦直前の米空母キティホークへの給油や、当時の福田康夫官房長官や石破茂防衛庁長官からの調査指示の有無など、わずか4年前の「本職」の問題になると、とたんに言葉を濁した(「しんぶん赤旗」10月30日)。
守屋氏個人が、接待をどれだけ受けても自衛隊倫理規程違反にしかならない。守屋氏は「政・軍・財」の癒着構造につながる政治家の名前や贈収賄の肝心なところでは、事実上証言を拒否し、個人と組織を守ろうとした。2003年イラク特措法の成立を控えて、アフガンのテロ戦争支援の給油がイラク戦争へ転用されたことをなんとしても隠すために、防衛庁が組織をあげてウソの国会答弁を用意したという、軍隊組織の文民(国会)統制の本質にかかわる問題でも、守屋氏は証言を拒否した。

防衛庁長官経験者を含む複数の政治家が、軍需専門商社「山田洋行」の宮崎元専務と守屋前事務次官との宴席に同席していた―。守屋氏の証言から、軍需企業との癒着は官僚だけでなく、政治家にも広がっていることが明らかになった。日本共産党の赤嶺政賢議員が、「山田洋行」の宮崎元伸元専務による接待に同席していた政治家をただしたのに対し、守屋氏は「(政治家は)複数だったと思う」と答弁。時期は「去年か一昨年ではなかったかと思う」と述べ、「いろんな政治家がいる席に宮崎さんも入っていた」場合と、「少数の席に一人の先生(政治家)がいた」場合が各一回あったことを明らかした。政治家の中には「防衛庁長官経験者もいた」と述べたが、赤嶺氏が名前を明らかにするよう迫ったのに対し、「特定の名前を挙げるのは迷惑をかける」と証言を拒否した(「しんぶん赤旗」同上)。
さらに海上自衛隊の補給艦がインド洋で米軍補給艦に給油した量を約20万ガロンだと偽りの説明をし、「誤り」に気づきながら情報を隠ぺいしてきた問題で守屋氏は、発覚した2003年5月に、在日米大使館公使に「(法違反の)疑惑を及ぼす可能性があるので、そういうことはないと米政府としてきちっといってほしい」と求めたことを明らかにした。これに応えて米側から、法の目的外使用はないとする回答が防衛省に届いたが、肝心なキティホークの行動の確認や給油量の食い違いについて問い合わせたのかと追求する赤嶺氏にたいし、しどろもどろになり「覚えていない」を連発し、事実関係を何一つ示せない守屋氏。結局守屋氏が米側に求めたのは、「給油の目的外使用はない」という、米側との口裏合わせだけだった。当時の福田官房長官、石破防衛庁長官の発言に何の裏付けもなかったという事実が明らかになった(「しんぶん赤旗」同上)。
日米同盟の都合で国民に平気でウソをつく。新テロ特措法案の審議ができるような実態では絶対にないのだ


山田洋行をめぐっては、元専務が約1億円を不正に引き出した疑惑が浮上し、東京地検特捜部が調べている。政官との癒着がなかったか解明を期待したいが、国会にも引き続き疑惑をただす大きな責任がある。今回の喚問で一連の疑惑に幕を引くわけにはいかない。元専務や、給油量の誤りを隠蔽した当時の海幕防衛課長らを国会に呼び、真相究明に取り組むべきだ(「朝日」社説2007年10月30日)。

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