プロメテウスの政治経済コラム

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6カ国協議合意  「言葉上の公約」から確実な「行動のための公約」へ前進できるか

2007-02-14 18:47:51 | 政治経済
共同文書は北朝鮮が60日以内に実施すべき核放棄への「初期段階措置」として、寧辺の核施設を停止・封印し、国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れる一方、他の5カ国が北朝鮮に5万トンの重油に相当する緊急エネルギー支援を行うと明記した。さらに共同文書は「初期段階および次の段階の期間中」の措置として、北朝鮮がすべての核計画を全面的に申告し、核施設を無能力化するのに応じて、北朝鮮に対して重油95万トン相当(5万トンとあわせて100万トン)の経済・エネルギー・人道援助を実施するとしている。
北朝鮮への経済、エネルギー支援に関する合意議事録によれば「支援負担は平等と公平の原則に基づいて負担する」とした上で、日本に関しては「自国の憂慮事項」が取り上げられれば、同一の原則に従った支援参加を期待するとされた(拉致問題という直接表現はなし)。当面は日本を除く米中韓ロの4カ国が均等で負担することになる(「しんぶん赤旗」同上)。

米朝関係では、米国が北朝鮮に対するテロ支援国家指定と敵対的貿易国指定の両方を解除する手続きを60日以内に開始し、国交正常化に向け2国間協議を開始するとした。
日朝関係では「不幸な過去を清算し、懸案事項を解決することを基礎として」、国交正常化に向けた2国間協議を開始することを明記。拉致問題について「懸案事項」との表現で盛り込んだ(「中日新聞」2007年2月14日)。
朝鮮半島の非核化、日朝国交正常化など、テーマごとに5つの作業部会―(1)朝鮮半島非核化(2)米朝国交正常化(3)日朝国交正常化(4)経済・エネルギー協力(5)北東アジアの平和・安全保障メカニズム―を設置し、30日以内に開催することも決めた。協議筋によると、日朝、米朝以外には作業部会にも議長国が設定され、非核化部会は中国、エネルギー協力部会は韓国、平和安保体制部会はロシアが議長を務める(「毎日新聞」2月13日21時29分配信)。


6カ国協議は、第四回協議(05年9月)で、「朝鮮半島の非核化」の原則と道筋を確認した共同声明を採択しながらもその後、曲折をたどった。
北朝鮮は、共同声明の採択を前後して米国が発動した「金融制裁」に反発し、「制裁を続ける限り六カ国協議に参加しない」と協議への参加をかたくなに拒み続け、そればかりか、国際法や自ら署名した共同声明をも踏みにじり、ミサイル発射(06年7月5日)、核実験(同年10月9日)を強行して国際社会に挑戦を繰り返した。
これに対し国連安全保障理事会は、北朝鮮の核実験を「国際の平和と安全への明白な脅威」と認め、加盟国に制裁措置を求める決議を全会一致で採択(同年10月14日)。北朝鮮に、即時無条件での協議への復帰、核兵器・核計画の廃棄を求めるとともに、外交的解決に向けた努力を加盟国に呼びかけた。決議を受けて各国は北朝鮮への制裁措置を実施。議長国・中国や非同盟諸国などをはじめ、北朝鮮に協議への復帰を求める説得が続いた。
国際的な圧力の広がりと世論の包囲のもと、中国の仲介が実を結び、10月末には米中朝首席代表が協議再開で合意。今年1月のベルリンでの米朝首席代表協議では、「一定の合意」(北朝鮮外務省)が成立し、今回の協議での共同文書採択へとつながった(「しんぶん赤旗」同上)。


このような経過から考えると、北朝鮮が核関連施設の稼働停止や国際原子力機関(IAEA)査察官の入国を期限と定めた60日以内にすんなり実現させるかどうか見極めが必要なことはいうまでもない。しかし、なにはともあれ、問題の外交的解決をめざして6カ国協議の枠組みが再び力を発揮し、合意を実現したことには、大きな意義がある核問題解決を入り口に、北東アジア地域に恒久平和を構築するという共同声明が示したビジョン実現へまた一歩前進したことを評価したい。安倍政権は、「拉致問題」の国内での売りにこだわって歴史の大局を見失うようなみっともないことだけはやめてもらいたい

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2 コメント

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違うのでは (鶴田ふぁん)
2007-02-15 06:47:16
拉致をあきらめろという人権無視発言は問題ありです。

即刻訂正してください

六国協議なんて、核の持ち特を認めただけで、日本はあの中で孤立しても問題ありません
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コメントありがとうございます (e-hori)
2007-02-15 10:01:53
いつもコメントありがとうございます。拉致をあきらめよといっているのではありません。拉致を国民統合の手段に使うのではなく、本気で解決したいのであれば、不幸な過去を清算し、国交を正常化することと一体に進める必要があるといっているのです。北朝鮮になめられない確固とした当事者能力が安倍政権にあるとは思いません。
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