プロメテウスの政治経済コラム

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改憲手続き法案 与党が揺さぶり どうする民主党

2007-02-15 18:46:19 | 政治経済
自民党の二階俊博国対委員長は11日のNHK番組で、改憲手続き法案について「議論に長い時間をかけすぎた。5月3日の憲法記念日までに成立させることが大事だ」とのべ、民主党の賛成が得られない場合は与党単独採決もあり得るとの姿勢を示した続いて同党の中川秀直幹事長は13日の記者会見で、憲法改正の手続きを定める国民投票法案について「民主党が『内容はいいが政局的に困るから賛成できない』という党利党略で引き延ばしてくるなら、粛々と採決するしかない」と述べ、与党単独で採決に踏み切ることもあり得ると追い討ちをかけた。そして上記の14日の自公会談で念を押したのだ。

もともと民主党の枝野幸男・憲法調査会長は昨年末の衆院憲法調査特別委員会で、「来年(2007年)の憲法記念日には国民投票法制が国会で成立していることを期待する」と発言するなど、自民、公明に先んじて期限を切った法案成立に積極姿勢を示してきた。ところが、今年1月16日の民主党大会後の記者会見で小沢一郎代表は「政府・与党に結果として協力するような形もよくないかもしれない。政治的判断を近々しなくてはならないだろう」と言い出して民主党の改憲手続き法案への態度が煮え切らなくなった(「しんぶん赤旗」2007年1月22日)。

安倍首相は就任以来、繰り返し自分の任期内での改憲実現を言明している。安倍氏の自民党総裁としての任期は最長で二期6年、2012年がその期限となる。自公民が「修正」合意した改憲手続き法案では、改憲のための国民投票法は成立から三年後に施行されることになっているから、今年法案を成立させれば2010年には国民投票を実施する法律上の条件が整うことになる。改憲のもうひとつの条件整備である衆参両院で三分の二の多数の賛成が得られる「改憲草案」をまとめあげる時間を考えれば、今国会で手続き法案を成立させ、その後「早期に与野党間で憲法改正の論議を開始したい」(自民・中川秀直幹事長)というのが、改憲派勢力が描く日程である。
参院選で憲法を争点にするというのも、この日程に沿って、国民的議論を盛り上げることを狙っているからだ。改憲手続き法案を急ぐ理由には、今年7月の参議院選挙が近くなれば法案の扱いは難しくなるうえ、参院で審議未了になった場合には、廃案となるという事情もある。

改憲手続き法案自体は普通の法律であるから、その成立には民主党の協力はいらない。強行採決する気なら、自公与党で通せる法案である。にもかかわらず、自公与党が民主党の態度にこだわるにはそれなりの事情がある。
憲法改正を発議するにも、発議された改憲草案を国民投票にかけて成立させるためにも、民主党の賛成が不可欠である。民主党と自民党と公明党が賛成して改憲草案を出せば、改憲国民投票の勝算がそれだけ高くなる。改憲手続き法案の段階から、民主党をできれば、抱き込んでおきたいのだ。


民主党憲法調査会関係議員は「与党が単独採決する場合、反対するには理屈が難しい。苦しいところに追いこまれる」と語り、同関係者も「民主党案を90%以上のみこんだ与党案に反対するのは、自分の案に反対するようなもの。無理だ」とこぼす。
こうした状況を見て、昨年の臨時国会で強行された改悪教育基本法に携わった自民党関係者は「昨年の教基法のときと同じ状況だ。共同修正を進め合意しながら政局を理由に反対にまわるなんて筋が通らない。もともと民主党と自民党とで改憲は争点にならないはず。こういう対応をして結局困るのは民主党だ」と語っている(「しんぶん赤旗」2007年1月28日)。

改憲タカ派路線を押しだして保守層結集を狙う安倍自民党、選挙での「対決」を演出するためにも“自公民合作”批判を恐れる民主党――九条改憲と一体の改憲手続き法案をこのまま許していいのかどうか、国民の世論がどこまで高まるかが、今後の行方を決めることになる。

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1 コメント

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Unknown (fuzu-fuzu)
2007-02-17 21:49:57
民主党は自民党と違いを出す為に自民党の揚げ足取りばかりに終始していてミットモナイ。政権党を目指すなら、共通のテーマは共に協力したほうが、国民の支持を得やすいと思うのですが、小澤のイジマシイ根性の成せるワザかも。
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