プロメテウスの政治経済コラム

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選挙では「対決」ポーズ、選挙が終われば元の「オール与党」―東京都にみる民主党の実像

2007-02-19 18:02:07 | 政治経済
2月14日の都議会本会議で民主党の田中良都議は、石原慎太郎知事の海外出張や知事交際費、四男の都事業への重用などをあげ、「石原知事の都政運営がいかに都政を傷つけているのかをひとつひとつ明らかにし、都知事をかえることの重要性を訴える」などと力を込めた。そして石原知事を「公私の境目を見失い、周囲にたいこ持ちを置く裸の王様」とまで批判してみせた。これに対し、石原都知事は、「選挙も近いせいか、たいそう派手な質問演説だ。(田中都議の)都政に対する評価は30点だそうだが、ならばいままでなぜ、都の提案に民主党はすべて賛成してこられたのでしょうか」と皮肉まじりに切り返した(「しんぶん赤旗」2007年2月16日)。
たしかに民主党は自民、公明両党とともに、2005年の都議選後、予算をはじめ知事提案の489件すべてに賛成するまぎれもない与党であった。前原前代表も11日のテレビ討論で「(民主党は)100%賛成でオール与党」と認めている(「しんぶん赤旗」2007年2月12日)。

2005年の都議選前に民主党はどう言っていたか。「都議会の役割は知事をきちんとチェックすることだ。いいときはアクセルを踏み、悪いときはブレーキを踏む」(岡田克也代表=当時)といっておきながら、選挙が終わると知事をチェックするどころが、知事の悪政を応援してきたのだ。
石原知事は「何がぜいたくかといえば、まず福祉」といって福祉を切り捨て、大型開発をすすめてきた。民主党は、この逆立ち政治に積極的に加担し、アクセルを踏みつづけてきた。福祉では、寝たきり高齢者の老人福祉手当の廃止、老人医療費助成(マル福)の廃止(今年六月末)、シルバーパス全面有料化、障害者医療費助成や重度障害者手当の削減、母子保健院の廃止などに、民主党はすべて賛成してきた。情け容赦ない福祉削減の一方で、石原都政は、「都市再生」の名による超高層ビル林立の再開発や三環状道路の建設などの投資型経費に毎年一兆円規模の財政を投入してきた。民主党はこの大型開発に、“借金してでも投資を増やせ”とハッパをかけてきたのである。
昨年9月、東京地裁で違憲判決がでた教育現場での「日の丸・君が代」の強制の問題でも、民主党は、「君が代」斉唱で起立しなかった生徒が相次いだことを教員の責任だといい、教員の処分まで求めた。まさに、石原知事の悪政の数々を、自民、公明両党などと一体で推進してきたのが民主党である(「しんぶん赤旗」2007年2月19日)。

民主党は、豪華海外出張や政務調査費の使途の透明化問題でも自民、公明両党と足並みをそろえてきた。
民主党は2001年年、都民の批判を受けて中止していた海外視察を自公両党とともに再開し、毎年3人、4年間で12人の視察団を派遣。2006年10月には、民主党の四都議が観光地として有名なブラジルのイグアスの滝などを視察し、都民から「知事がガラパゴスなら、民主党はイグアスか」と批判の声があがる始末である。
05年の都議選では、政調費の領収書添付について、民主党当選者全員の35人が「賛成」と答えながら(「朝日」同年9月26日付)、共産党が政調費の領収書添付を義務化する条例改正案を提案すると、民主党は自公両党とともに条例改正案に反対した(「しんぶん赤旗」同上)。

こういうオール与党という実態がありながら選挙の時だけ反対するというのは、都民に対して責任ある態度ではないし、都民を欺く行為である。民主党はいまや支配階級が望む役割―住民が真の政治革新に向かうのを食い止め、ガス抜きをすること―を忠実に果たしているのだ。その「対決」ポーズに惑わされてはいけない。

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