プロメテウスの政治経済コラム

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宇宙基本法  内容も問題なら決まり方も大問題  自公民連合の恐ろしさ

2008-05-11 18:51:38 | 政治経済
自民、公明、民主3党の議員立法“宇宙軍拡”法案が9日の衆院内閣委員会で、3党の賛成多数で可決された。質疑わずか2時間であった。「覇権国家アメリカの一部としての衛星プチ帝国・日本」(斎藤貴男)が、いよいよ宇宙軍事化の片棒を担ぐことになった。さらに恐ろしいのは、こんな大事な問題を国会でまともな議論もなく、推し進める自公民連合のやり方である。改憲も消費税も自公民連合なら少なくとも国会のなかでは、思いのままである。暴走をとめられるのが、共産党と社民党(時には共産党だけ)の議席しかないということを私たちは肝に銘じなければならい

宇宙の軍事利用に積極的に道を開く宇宙基本法案が、衆院の内閣委員会で可決された。ねじれ国会の中、自民、公明の与党に民主党も加わった議員立法で、今国会で成立する見通しだ。法案は宇宙開発の目的として「我が国の安全保障に資する」との文言を盛り込んだ。「平和の目的」に限るとした1969年の国会決議を棚上げし、宇宙政策の原則を大転換させるものである(「朝日」5月10日)。
国会決議の大転換なのだから、国民の前で堂々と議論して、国会決議をやり直すのが筋ではないか。ところが、自公民3党が、裏取引して連合すれば、国会は形式だけで思いのままである。恐ろしいことだ。

藤岡惇・立命館大学教授は、冷戦後のアメリカ単独覇権主義を次のように特徴付ける。「ソ連が崩壊し、『共産主義の脅威』が後退すると、再び資本と軍事の非情の論理が、安心して自らを貫くようになりました。・・・マネーの力と軍事力とは、規制による拘束を次々と脱ぎ捨て、地球規模で雄飛し、宇宙にベースを築き、人々の生活と地球環境を支配する」。アメリカの新型戦争システムは、核の技術、宇宙支配の技術、情報通信の技術を組み合わせ、米軍に歯向かうものを安いコストで退治することをめざす。「ネオコンたちが導入を考えた新型戦争システムとは何だったか。1990年代も後半になると、兵器システムを司る神経系統を担当する基地は、宇宙空間に配備されるようなりました。宇宙から戦局をにらみ、戦争を指揮し、管理し、評価するものとなったのです。ある『戦域』の戦争は、軍事専用インターネットを通じて地球全体の視点から評価される」(座談会「ブッシュの8年をどうみるか」『経済』2008・4 NO.151)。

「覇権国家アメリカの一部としての衛星プチ帝国・日本」の役割を果たすためには、「宇宙に打ち上げられる物体及びその打ち上げロケットの開発及び利用は、平和の目的に限り」と規定した1969年の国会決議の制約を取り払わなければならない。アメリカの新型戦争システムを補完するためには、自前の「自衛隊専用通信衛星の保有が不可欠」である。日米共同の「ミサイル防衛」システムの下請けを実効あるものとするためには、気象衛星や惑星探査機だけではお話にならない。
アメリカ軍産複合体は、宇宙ベースの新型戦争システムに日本がもつ技術を利用したり、コスト負担の一部を日本に押し付けることを考えている。アメリカの軍需企業と連携して軍事予算で儲けようともくろむ日本の軍需企業にとっても国会決議は邪魔者の以外のなにものでもない。

自民党は、2006年にまとめた宇宙政策の報告書で、防衛(軍事)分野を「宇宙技術の最適利用分野」と位置づけ、宇宙平和利用決議が制約となって「自衛隊の海外派遣に必要なインフラが整わない」と記述。決議を死文化する手段として、議員立法による宇宙基本法で「安全保障」の目的をかかげる必要性をあげていた(「しんぶん赤旗」5月10日)。
今度、民主党を抱き込んでそれを実行した。今回の法案は、宇宙開発利用の目的に「安全保障」を入れることによって、おおっぴらに軍事利用に道を開いた。それは、日米の軍需産業に税金をがぶ飲みさせるものだ

宇宙の軍事利用は、日本という国のありようが問われる重大な問題である。「覇権国家アメリカの一部としての衛星プチ帝国・日本」の道を唯々諾々と進んで本当にいいのか。国民の政治的力量が問われている。

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