プロメテウスの政治経済コラム

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道路特例法案  「一般財源化」閣議決定のウソ  福田首相答弁に立たず

2008-05-10 18:56:04 | 政治経済
ガソリン税収などを10年間道路整備に充てる道路整備財源特例法改正案の再議決に向け、政府は13日、「道路特定財源等に関する基本方針」を閣議決定する。道路特定財源は今年の税制抜本改正時に廃止して09年度から一般財源化することを明記するから、これで道路特定財源の問題は決着するのだと考えたら大間違いである。自公政権が、道路建設を今まで通り続けることには変わりないからである。一般財源化すれば、社会保障費に回すのかという日本共産党・大門実紀史議員の昨日の質問に対し、議長から指名されても福田首相は答弁に立たなかった。道路と社会保障を天秤にかけたら道路が優先と首相自ら公然とは言えなかったからだ。

道路特定財源が一般財源化しても10年間(政府は5年に短縮といっている)の道路事業量計画を決めて、道路建設を優先するわけだから、自公与党にとって痛くも痒くもない。これで、社会保障費の削減計画も少しはましになるのではなどと考えたら、大変な間違いである。一般財源化によって道路建設を抑えて、国民の暮らしを改善してほしいと思うのなら、自公政権を倒すことがまず第一歩である。自公政権が続く限り、道路建設はとまらない。それが、彼らの最大の票田であるからだ。

「必ず委員長が指名しますので、それに従って答弁してください」峰崎直樹参院財政金融委員長が注意しても、福田首相は答弁に立とうとしなかった。共産党の大門議員が道路建設と障害者福祉のどちらに緊急性があると考えるかと尋ねたときだ。代わりに答弁席に出てきた冬柴国交相は、野党委員からのやじと怒号でやむなく引き下がった。続けての質問でも、委員長が首相を指名したにもかかわらず、今度は額賀財務相が答弁席に立ち、再び委員会室は怒号に(「しんぶん赤旗」5月10日)。

一般財源化とは「社会福祉や教育、道路、防衛費などと一緒の一般財源」に入れることである。そして、政治の優先度に応じて予算配分することだ。一般財源化しても、道路予算をまず確保して、もしも余ることがあったら他に回すというのだったら、小泉・安倍の一般財源化と同じである。
政府・与党は3年前すでに、「一般財源化を図ることを前提とし、…具体案を得る」という「基本方針」を決め、この方針を閣議決定である「骨太方針二〇〇六」に盛り込み、「行革推進法」にも明記した「一般財源化」だけなら、とっくの昔に閣議で決定され、法律にまで書き込まれているのだ。
狸爺の福田首相は、自らの無責任な態度で「一般財源化」が二枚舌であることを証明してみせた。

道路特定財源の「一般財源化」というのは、言葉の問題ではない。その政権がどのような中身の政治を行なうかということである当たり前のことだが、自公政権が続く限り、社会保障費は削減され、道路建設が優先される「一般財源化」は、国民の暮らしを優先する政権によってはじめて意味を持つ。
自公政権が、原案の再議決にこだわるのは、従来の政治路線を変えませんと宣言しているようなものだ。そんな自民党・公明党に選挙となれば投票してしまう多くの有権者は、旧い自民党の利益誘導政治にとらわれていると「構造改革」という恐ろしい毒も一緒に飲まされるということを忘れてはならない。政府が老人の7、8割は保険料が安くなると言ってきた「後期高齢者医療制度」は、大ウソだった。75歳以上は早く死んでくれ、自助、自立できない運命の若い者も自己責任で生きられないなら死ね、これが新しい自民党の「構造改革」政治なのだ。

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