プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

後期高齢者医療制度  お年寄りを邪魔者扱いする無慈悲な政治 

2007-05-11 18:56:24 | 政治経済
「後期高齢者医療制度」は、昨年六月の国会で自民、公明が強行成立させた医療改悪法によって導入が決められた。新制度が始まると、後期高齢者(75歳以上)は現在加入している国民健康保険や組合健保、政管健保などから脱退させられ、後期高齢者だけの独立保険に組み入れられる。他の世代に迷惑をかけないようにまず、姥捨て山にプールされるということだ。息子や娘の健康保険の扶養家族だったお年寄りを含めすべての人が後期高齢者医療制度の対象にされ、保険料の負担を求められる。年金が月1万5000円以上ある者はすべて、「年金天引き」で保険料を徴収されることになる(「しんぶん赤旗」2007年3月17日)。

保険料額は、今後、運営主体である都道府県単位で新たにできた「広域連合」ごとに条例で決められることになっている。厚労省の試算では全国平均保険料は月六千二百円とされているが、事務費などが試算に含まれていないため、実際にはさらに高くなることを否定していない。介護保険料(全国平均4090円)とあわせると、多くの高齢者が、毎月1万円を「天引き」されてしまうことになる。従来、75歳以上の高齢者は、障害者や被爆者などと同じく、“保険料を滞納しても、保険証を取り上げてはならない”とされていたが、今回の制度改悪により、滞納者は保険証を取り上げられ、短期保険証・資格証明書を発行されることになった。医院の窓口で医療費10割を負担できないと医者にかかれない。年金から無理やり取られたら生活できない。貧乏人の高齢者を医療サービスから排除、早く死ぬことを促進するつもりであるまた、保険料は2年ごとに改定されるが、後期高齢者の数が増えるのに応じて、自動的に保険料が引きあがる仕組みもつくられている(「しんぶん赤旗」同上)。

保険の母集団に医者にかかりやすい75歳以上だけを集めてまとに保険が成り立つはずがないことは、どんな素人にもわかることだ明らかに姥捨てである。 政府もまともな医療サービスを「後期高齢者医療制度」に適用したら、保険制度が成り立たないことを知っている。そこで、政府は、後期高齢者とそれ以下の世代で、病院・診療所に払われる診療報酬(医療の値段)を別建てにし、格差をつけることを考えている。曰く「後期高齢者の心身の特性にふさわしいものにする」―お年寄りには「差別医療」「手抜き医療」でよいというわけだ(「しんぶん赤旗」同上)。

お金持ちのお年寄りは混合診療で、お金を払ってまともな医療サービスを受ける。そのために日頃から民間医療保険に加入することになる(アメリカや日本の保険会社の長年の要求である)。命はカネ次第ということが、世界第二位の経済力のあるといわれる日本国で無慈悲な政治によって強制されるのだ
日本では、自公政府は、「少子高齢化」を声高に叫んで、社会保障削減の口実としている。少子化は資本主義発展の観点からも是正されるべきであるが、高齢者、とりわけ消費力のない高齢者は、完全に用済みであるこんな者にカネをかけられない。資本主義の効率だけを追求する政府は、そう考える。

高齢化は、人類の大きな成果であり、祝福すべものと考えるが、社会システムが高齢者が安心してふつうの暮らしが出来るように設計されていないと寿命を全うすることも厳しい。
日本の社会的生産力と社会的富に後期高齢者の生活を支えるだけの余裕がないわけではない。分配を市場原理にまかせているから、多数のお年寄りを見捨てることになる。だまっていたら、老後の生活を守ることができない―残念ながら、これが自公政権下の厳しい現実である。分配原理を是正するためには、結局お年寄りが、声をあげ、行動するほかない。

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