プロメテウスの政治経済コラム

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在日米兵 性暴力 軍法会議で「反省」のつもりか 犯罪者予備軍であることに変わりない

2008-05-16 16:24:28 | 政治経済
沖縄県北谷町で2月、女子中学生に乱暴したなどとして逮捕され、告訴取り下げによって不起訴処分になった在沖縄米海兵隊員のタイロン・ルーサー・ハドナット2等軍曹(38)に対する米軍の軍法会議が16日、キャンプ瑞慶覧であった。今月9日には、米軍岩国基地(山口県岩国市)所属の米海兵隊員4人が昨年10月、広島市で日本人女性(20)に性的暴行を加えたとされる事件で、同じく軍法会議で、まず兵長(20)に対し、懲役2年と不名誉除隊の判決があった。米軍再編を抱えた世論対策であることは、明らかである。在日米兵は、殺人兵器の一翼を担わされている。彼らが犯罪者予備軍であることに変わりない。

日本の捜査当局が米兵を不起訴にした後、米軍が軍法会議にかけるのは異例のことである。沖縄の法廷は、代表取材の形で日本側の報道陣に公開する措置まで取られた。相次ぐ米兵の犯罪にたいする地元住民の怒りが、現在進めている米軍再編の障害になることを恐れた世論対策であり、真剣な「反省」から出たものとは思えない。事件のたびに、米軍司令官は「綱紀粛正」「再発防止」を口にするが同じことの繰り返しである。事件の後に「外出禁止令」「飲酒禁止令」が出されるが、しばらくすると解除される。外出・飲酒の規制が長びけば米兵らの欲求不満がたまり、軍の士気を維持できない。そして犯罪が繰り返される。「謝罪だけは素早くなった。彼らが1995年の少女暴行事件から学んだリスクマネジメントなのでしょう」。沖縄で米兵による性暴力問題に取り組む高里鈴代さんは厳しく指摘する(「しんぶん赤旗」5月15日)。

全世界に軍事基地・同盟網を維持し、60年以上にわたって他国民を殺傷し続けている唯一の軍隊。それが米軍だ。そして日本は、米軍のなかでも殴り込みを専門とする海兵遠征軍と空母打撃軍が常駐する米本土以外の唯一の国だ。犯罪を起こす米兵の大半は、このどちらかの所属だ。
米海兵隊員としてベトナム戦争に従事し、現在は平和運動家のアレン・ネルソンさんは沖縄で戦闘訓練を受けた。「上官が、『お前たちはなにをやりたいのか』と聞けば、答えは決まって『キル(殺せ)!キル、キル』と叫ぶことでした」戦闘訓練で心身に「暴力」を充満させ、タクシーの無賃乗車や運転手への暴行、地元の女性に暴力をふるっていたと告白する。「暴力的な部分だけを基地の中に置いて、人びとのところに行くことはできなかった」(「しんぶん赤旗」5月14日)。

米軍の戦闘部隊に要求されるのは、命令を受ければ何も考えず反射的に相手を殺すことである。06年1月、早朝の横須賀市内で佐藤好重(当時56)さんを撲殺したリース米海軍一等航空兵(空母キティホーク乗組員)は、命乞いをする好重さんの顔かたちが完全に変わり、動かなくなるまで殴り続けた。そして好重さんの返り血を浴びた服装のままで基地のゲートを通過し、そのままキティホーク艦内の通常業務についたという。人殺しを常とする軍隊では、血のついた服装を誰も気にも留めない。米兵は、いわば“意識にもとづいて動く凶器”そのものなのだ(「しんぶん赤旗」5月13日)。

「車の中で、少なくとも5回はレイプされた。彼らは私をあざ笑い、靴を放り投げ、車の外に押し出して走り去った。財布の中の1万2千5百円もなくなっていた」岩国基地所属の米海兵隊員4人に集団レイプされた女性が軍法会議で行った証言である。
軍では政府の決定や上官の命令に対して絶対服従で自己決定できない。性暴力の加害者たちは、単に性欲だけではなく他人(=女性)に対する力の行使を通じて、自己決定を否定された欲求不満をはらす。他国民の支配・従属を任務とする米兵が女性の尊厳を踏みにじるのだ(「しんぶん赤旗」5月16日)。

“意識をもった動く凶器”の問題は、基地をなくさなければ問題は解決しない。沖縄・名護やグアムでの海兵隊新基地建設、横須賀の原子力空母配備などをなんとしてもやり遂げるために、不必要な軋轢を避けようとする米軍の見え透いた世論対策に騙されてはいけない。

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