プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

格差否定に躍起の小泉与党―またまた統計のごまかし

2006-02-09 18:26:26 | 政治経済
小泉「改革」で格差が拡大したという批判を受けて“所得格差の拡大は見かけ上のもの”という内閣府レポートを根拠に「格差拡大というのは誤解だ」と言い張っていた小泉首相。統計操作がバレルと今度は「格差が悪いことと思わない」と開き直りました。ところが自民党の中川秀直政調会長は6日の衆院予算委員会で、2005年に「0・5%増と8年ぶりに正社員が増加した。逆にパート労働者は、(前年の5・7%増から)0・6%まで増加率が下がった」とのべ、「格差是正の観点からも、ここで改革を止めることは愚の骨頂だ」とまたまた統計のごまかしで小泉「改革」を持ちあげました。
7日の衆院予算委員会で、日本共産党の佐々木憲昭議員の批判に対して中川政調会長の珍論をベースに小泉首相は早速反論を試みました。
 佐々木議員 若者の非正社員化が進むのは、政府の政策に大きな原因がある。
 小泉首相 最近は正社員が増えてパートが減っているという統計が出ている。(失業率の改善は)かなり柔軟性を持った労働環境を整備してきたからだと評価も 受けている。
首相側近の中川氏の主張のもとになっている厚生労働省の毎月勤労統計調査では、増加しているのは、正社員ではなく「一般労働者」です。一般労働者は、勤務時間や日数が少ない「パート」以外の人と定義されています。ですから、長時間労働のアルバイトや、正社員と同様の仕事をする派遣社員や契約社員は「パート」ではなく「一般労働者」に含まれます。「一般労働者」の増加は正社員ではなく、派遣・請負、契約社員や、アルバイトの一部などの非正社員が増えたのです首相のいう「正社員」には派遣・請負・契約などが含まれており、正社員が増えたと言えるものではありません。完全な統計のごまかしです
正社員と非正社員を区別している総務省の調査によると、ようやく増加に転じていた正社員が小泉内閣発足後に反転して大幅に減りました。最新の昨年7―9月と2000年8月の調査を比較すると、正社員は323万人も減る一方で、非正社員は337万人も増えているのです。
小泉政権発足初年の経済財政諮問会議で、財界代表の牛尾治朗・経済同友会特別顧問は次のように主張しています。「労働者派遣制度を『物の製造』まで広めて、契約社員を…あらゆる範囲に拡大する」。「そういう人たちを短期で契約したり人材派遣で契約して…新しい労働形態に置き換えることによって賃金も下がる」
こうした財界の要求に忠実に従い、相次いで規制緩和を強行してきたのが、小泉「構造改革」にほかなりません。
政権が「改革」の成果として宣伝している「景気回復」の中身は、経営統合などの組織再編成と米国や中国の需要に頼り、家計所得を吸い上げて企業部門が過去最高益を更新するいびつな「回復」です。多国籍大企業は、昔のように国内市場を重視しません。したがって大企業の利益を増やせばいずれ社会全体にしたたりおちるとうい高度成長時代の発想を捨て去るべきです。いま必要なのは直接的な所得再分配政策です。



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