プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

増税法案採決前に「国民の信を問え!」  このまともな要求がやっと具体的な政治日程に?

2012-08-03 19:36:50 | 政治経済

NHKをはじめマスコミが「オリンピック狂想曲」を奏でるなか、五輪の熱狂に便乗して消費税増税をドサクサ紛れに採決してしまおうという、支配階級とその政治的代理人=民自公3党の増税談合の思惑が崩れはじめた。新党「国民の生活が第一」と共産、社民、みんななど、自民、公明両党を除く野党7党が、3日午後、党首会談を行い、参院で審議中の社会保障・税一体改革関連法案の採決前に、衆院への内閣不信任決議案を共同提出することで合意した(「読売」 8月3日13時39分配信)からだ。増税法案採決前に「国民の信を問え!」という国民のまともな政治要求が、3党増税談合によって押しつぶされるのを阻止できるかどうかは、今後の自公の対応及び民主党内の反執行部別働隊の動きにかかっている今、NHKを先頭に大手メディアは、五輪の政治的利用という権力者の思惑に積極的に加担しているが、私たちは、五輪期間中に消費税増税法案が簡単に成立したり、「原子力規制委員会」の人事が簡単に承認されるようなことがないよう、熱狂のなかにも冷静に権力側の動きに対し批判的な目を凝らなければならない。

 

現代の資本主義は、実物経済における過剰生産の矛盾が恐慌として発現することを防ぐため、政府や金融機関の信用創造にたよることとなった。こうして、資本の過剰蓄積が、企業、金融機関、富裕層の手に集中する貨幣資本を加速度的に増大させ、同時に、資産および所得格差の急激な拡大と歯止めのない財政悪化を伴って経済の金融化を進行させた。過剰生産恐慌は過剰(実物)資本の整理を強制し、次の発展の新しい軌道をつくるが、今日の金融危機は債券という紙屑しか残さず、新たな危機を準備するだけである。この矛盾を富を独占する企業、金融機関、富裕層が、自分たちの財産保全のために、すべて弱者である国民に犠牲転嫁しようとするのが、「財政緊縮策」である
ユーロ圏における緊縮策、日本における消費税増税は、金融危機の解決策にはならず、むしろ危機の連鎖を呼び起こすことにならざるをえない。それは1%の富裕層を守り、99%の大衆層に広がる貧困をいっそう深刻化する。各国ともに内需は委縮し、各国のGDP はいわゆる消費デフレ基調のもとにおかれる。新自由主義的税制改革(所得税のフラット化、法人税の引き下げ、金融所得優遇措置)は、税収不足に拍車をかける。悪循環は、そこから脱出しない限り、やがて破綻に向かわざるをえない。

 

3党増税談合による消費増税と社会保障削減計画は、現在の資本主義の危機をすべて国民の犠牲に転嫁しようとする最悪の日本版「緊縮策」である。すでに、ヨーロッパ諸国では、国民のたたかいによって、国民犠牲の「緊縮策」の大幅な手直しがはじまっている。

野党7党の内閣不信任決議案提出の動きに自民党はどう対応するか。小泉進次郎衆議院議員ら自民党の中堅・若手11人は、8月1日、「3党合意を破棄せよ」という緊急声明を谷垣総裁に提出し、谷垣総裁は「重く受け止める」と答えたという。自公以外の野党が結束して内閣不信任案を提出した場合、自公両党は反対に回れるだろうか。もし、不信任案に反対すれば野田内閣を信任したことになる。共産党の志位委員長は、自公両党の対応について「私たちは増税反対の立場で不信任案を提起するが、不信任案そのものは(消費増税と関係なく)『野田内閣を信任せず』という一文だけだ。自公両党も、よもや『野田内閣信任』とはならないだろうと思っている」と語った。

 

今、NHKを先頭に大手メディアは、五輪の政治的利用という権力者の思惑に積極的に加担しているが、今週から来週にかけて、増税法案採決前に「国民の信を問え!」という、私たちのまともな政治的要求が一つの山場を迎えることはまちがいない。


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