プロメテウスの政治経済コラム

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北朝鮮 核・ミサイル実験中止を発表 お粗末な小野寺防衛大臣のコメント

2018-04-21 19:04:29 | 政治経済

北朝鮮の国営メディアは、20日に開かれた朝鮮労働党の中央委員会総会で、金正恩委員長が「いかなる核実験も中長距離、大陸間弾道ミサイルの発射実験も必要なくなり、北部の核実験場も使命を終えた」と述べたと伝え、核実験とICBM=大陸間弾道ミサイルなどの発射実験を21日以降、中止し、核実験場を廃棄する考えを表明した。

これは近く開かれる韓国・文在寅(ムン・ジェイン)大統領、そして米国のトランプ大統領とのトップ会談の準備交渉において、すでに合意されたことを踏まえての決定だろう。早速、米国と韓国は歓迎すると表明した。

これに対する小野寺防衛大臣のコメントは、まことに、お粗末そのものだった。
小野寺防衛大臣は訪問先のワシントンで記者団に対し、「北朝鮮の発表は満足がいくものではない。特に日本にとっては、中距離・短距離の弾道ミサイルの放棄には触れておらず、核の放棄にも触れていない。これでは不十分だ」と述べた。
そのうえで、「国際社会が求めているのは、完全で検証可能な不可逆的な方法で、すべての大量破壊兵器および、あらゆる弾道ミサイルの計画を放棄することだ。国際社会による圧力を緩めるタイミングではなく、引き続き、最大限の圧力を加え、北朝鮮の核・ミサイルの放棄を目指す姿勢に変わりはない」と述べた。

引き続き、最大限の圧力を加え、北朝鮮の核・ミサイルの放棄を目指したら、北朝鮮が核やミサイルを放棄すると本気で思っているのだろうか。そのこと自体がお粗末なのだ。米国や韓国が半島の非核化に向けて対話を始めようとしているということは、自給自足経済体制にある北朝鮮にいくら圧力や制裁をかけても埒が明かないことを悟っているからだ。

「中距離・短距離の弾道ミサイルの放棄には触れておらず、核の放棄にも触れていない。」と言うのもお粗末そのもんだ。ミサイルや核放棄を対話の最初に言うはずがないではないか。北朝鮮のミサイル・核開発計画は何のためか。全く分かっていない(本当は分かっているが日本国民をだますためにバカな振りをしているのかも知れないが)。

緊張緩和の対話が順調に進み、アメリカ帝国主義が少なくとも朝鮮半島では軍事侵略をしない平和体制が構築されることを祈るが、私はあまり楽観していない。帝国主義国は、決して自ら進んで反省することはないからである。アメリカ帝国主義は、最近では英仏を引き連れてシリアにミサイル攻撃を仕掛けた(アサド政権が化学兵器を使ったという濡れ衣を着せて)。核放棄したリビアのカダフィを殺したのはNATO軍に支援された反政府民兵だった。アメリカ帝国主義が少なくとも朝鮮半島では軍事侵略をしないという確信が持てるまで北朝鮮は核・ミサイルを放棄することはない。それが、アメリカ帝国主義に対抗する唯一の手段であるからだ。(だからといって、韓国は敵でないし、日本も国交正常化の暁には無償資金協力などをしてもらわなければならない大事な相手である。北朝鮮から攻撃を仕掛けてくることは絶対にない)。



 


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