徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

蕎麦…食いねぇ…!

2006-12-31 17:56:00 | ひとりごと
 とうとう今年も終わりだね…。
年々…大晦日が来るのが早くなる感じがして…なんだか一年があっという間だ…。
 あれもしてない…これもしてない…と反省しきり…。
今夜だけの反省…明日から一年は忘れてるんだけど…ね…。

 大晦日は…忙しいって思い出しかない…。
親の手伝いができるようになった年から…焚き火だの…掃除だの…おせちだの…ずっと働いてきたから…なぁ。

 夜中に手伝い終わって…コーヒー飲んで…除夜の鐘の鳴る頃に親父と弟たちが初詣に出掛けるのをぼんやり見送るだけ…。
働き疲れて…一緒に出掛ける気力もなかった…。

 弟たちは…買い物や荷物持ちはするけれど家の事はあまりしない…。
バイトに行ったり…遊びに行ったり…部活だったり…あっそれでも…自分の部屋の掃除と洗車くらいはしてたかな…。
けど…窓は拭いてやったんだぜ…有り難く思えよ!


 大晦日と言えば…年越し蕎麦…。
毎年…オカンが作ってくれてたんだが…オカンの蕎麦は茹で過ぎ…完全にのび~。

けど…そんな蕎麦でもインスタントよりはまし…。

 カッ○ヌードルが出た時に…今年はこれにしてみようか…ということになって…買ってきたわけ…。
別にカップ麺としては悪くないんだけど…年越し蕎麦って気がしなくて…翌年から…オカンののび蕎麦に戻った…。

 この地方で…蕎麦屋さんが増え始めたのは20年ほど前からかなぁ…。
もともとはうどん屋さんが多かった。

 以前…東京へ行った時…昼にうどんが食べたくなってうどん屋さんを探して歩いたんだが…全然見当たらない…。
地下鉄…二駅ほど歩いちゃったけど…あるのは蕎麦屋さんばかり…。
結局…蕎麦屋に入って…メニューを見たらうどんもやってる…。

 なるほど…関東では蕎麦屋が主流なんだ…。
江戸っ子と蕎麦…。
落語に使われるくらいだもんね…。

で…結局…郷に入れば…ってことで…蕎麦を食べちゃった…。
こんなことなら…最初の蕎麦屋さんでよかったのにね…。

最近ではさぬきブームでうどん屋も増えたって話だけど…。


 実家でもここでも…遠くの方で除夜の鐘が聞こえる…。
めちゃくちゃ疲れていても…ああ…今年も終わり…明日から新年が始まる…なんてしみじみ思ったりする。

やっぱり…大晦日は特別だね…。
別に何てこと…なくてもさ…。


 doveのどうでもよさげなお話しを飽きずに読んで下さっている皆さま…。
本当に有難うございました…。
心から感謝いたします…。

 新しい年が皆さまにとりまして良い年でありますように…。
ご健康とご多幸をお祈り申し上げます。

どうか…来年も宜しくお願い申し上げます…。

年末…福引…大当たり…?

2006-12-30 22:00:00 | オカン
 前にも話したことがあるかもしれないが…自分はくじ運がめっちゃ悪い…。
たとえ…抽選券が何十枚存在しようと…当たりくじが増量されようと…自分のくじ運には無関係のようだ…。

 それが…一度だけ…大当たりしたことがある…とは言っても小さな店の福引だからたいしたものじゃないんだけど…。
抱えられるくらいのわりとでっかい白いうさぎのぬいぐるみ…子供がまだ小さかったから大喜びした。

 まあ…だいたいティッシュだね。
はずれくじの定番…。
だから…宝くじも買わない…。

 逆に大当たりするのが…○○の役員とか…××の委員長とか…これもくじ運…。
お役目とお仕事ばかりがやってくる…。
運が悪いというべきなのか…良いと考えるべきなのか…。


 福引といえば…今も昔も買い物の楽しみだけど…昔は今じゃ考えられないような物も景品になっていた…。

 現代ではほとんどの成人女性が運転免許を持っているけど…自分の子供の頃は男でも持っていたりいなかったり…。
女性が運転するのはお転婆…だと思われていた頃だ…。

御多分にもれず…オカンも免許を持っていなかった…。

 年末の買出しに出掛けたオカン…いっぱい買い物をした後で福引をした。
それが…大当たり…!

なんとなんと…ブリキのガンガン…。
それもおっきいのふたつ…。

分かる…?
ブリキのガンガン…。

 昔の衣装ケース…長さ約90センチ…幅60センチくらいかな…。
鈍い銀色…金属だから結構重いの…。
それがふたつ…。

 喜んでいいのか…悲しんでいいのか…。
オカン複雑…。

 当時は家庭に電話なんかないから…えらいの当たっちゃったの…お父さん迎えに来て…ってわけにもいかない…。

 とにかく…オカン…両手にいっぱいの荷物を持ち…両脇にガンガン抱えて…商店からの道のりを…えっさほらどっこい…歩いて帰ってきた…。
その姿たるや…見たからには…笑うしかない…。

 ほんとに重くて…泣きそうだったわよ…。
あの頃は若かったからねぇ…今なら誰かにあげちゃうかも…。

思い出すと…そう言って笑う…。

 まあねぇ…自分なら…預けておいて…後で取りに来るけどな…。
それができなきゃ…やっぱり…あげちゃうかもなぁ…。
だって…普通…そう簡単に抱えられないよ…あれ…。

 そう…オカンが大きなガンガンを抱えられたのにはちょっとしたわけがある…。
普通の人より腕が長いのだ…。
…にしても…よく…ふたつも抱えて帰ってきたよな…。
40キロあるかないかの体重の…その細っこい身体でさ…。

 ちょっと…どっか妙ちきりんで可笑しくても…母はやはり…偉大なんである…。
手に入れたものは放さない…オバサン魂!
これがなきゃ…やりくり生活は成り立たないって…。

 できれば…もそっと…いいものが当たると良かったね…オカン。
温泉旅行…とか…テレビ…とか…さ…。
 テレビ背負って帰ってきたら…みんな大喜びするぜ…。
ぜいぜい…言ってても誰も笑わないかも…。


おっと…こんなことを言ってると…ばちが当たるかな…。

今年も…餅つき無事終了…!

2006-12-29 12:12:00 | ひとりごと
 今年も…ようよう餅つきが終わった…。
昨日のことだ…。
 以前は四升ばかり餅をついていたんだが…ひとりで四升はしんどい…。
このところ…三升に減らしている…。

…ってつくのは機械なんだけど…。
それでもひとりで三升…御鏡さんから雑煮用まで丸めるとなると…ちょっと手間…。

 自分ちは…もともとは御鏡以外は伸し餅を四角く切り餅にしたものだった…。
餅は非常に切り難い食材なので…体力的に丸餅に変えちゃったわけ…。
 どうもね…三重県辺りが境目らしいよ…。
西の丸餅と東の角餅…。

 この十何年…こうしてひとりで正月の餅をつく…。
ひとりで大鏡と小鏡を作り…雑煮用の餅を丸める…。
 休みが変則だったから…わざわざ27か28に合わせたこともある…。
特に信仰心が厚いわけじゃないけど…これも一応…神事だからさ…。

 一昨年までは…おせち料理もずっと作っていた…。
かまぼこみたいに…買ったものや貰ったものも…その時その時…あるけどね…。
 できるものだけ前以て下ごしらえをしておいて…大晦日の午後から平均14品くらい…何とか手作りする…。
 作り方なんか誰にも教えて貰ったことがないから全部自分勝手なオリジナル…。
味の保障はまったくない…。

 何年か前までは五の重まで作っていたけど…昨今は四の重と皿物…。
下手したら三の重と皿物…。
 世の中贅沢になって…何日も同じもの食べないようになっちゃったから…。
スーパーも元日から開いてるし…その時その時で作りたての方が美味いに決まってるもんね…。

ずっと何とか形だけはやってきたけど…今年は…お休み…。

 ちょっと体調を崩したのと…毎年…三日目には食べ飽きて残るのと…で去年と今年はさぼってしまった…。
作らないってのは楽なもんだね…ほんと…くせになりそうだ…。

 だけど…買った料理は…好みの味ではないから自分的には不満が残る。
だって…いいとこの料理予約しても…めちゃくちゃ砂糖甘いじゃない…。
特に…煮物が美味くないんだ…。

えっ…おまえの下手くそな料理よりはましだって…?

あははは…確かに…そうだな…。
相手は本職さんだもん…そりゃぁ敵わんよ…。

あっ…いかんいかん…作って貰って贅沢言っちゃ罰が当たる…。
有り難く頂かなくちゃいかんな…。

だし巻きだけは作って…と娘が言うので正月過ぎてからあらためて作ってやる…。

 そんなこんなでおせちも大掃除も手抜きなんで…餅だけはちゃんとしなきゃって…まあ…オンボロな身体に鞭打って…頑張ってるわけよ…。
なんたって…餅っていうのは…神さまに捧げる供えもんだからね…。


 子供の頃…父方の叔母の家に親戚が集まって毎年餅つきをやった。
親父の子供の頃は家で餅をついていたらしいが…時とともに自宅ではやらなくなって道具をしまいこんでいたのを…叔母の引越しがきっかけで復活させた…。

 叔母の新しい家の庭が広かったのと…もち米やヨモギ…餡子の下準備についてよく知っている祖母が…その頃は小さい子供の居る叔母の家で家事を手伝っていたからだ…。

 今と違って家庭用の機械なんかはない時代だから…勿論…臼と杵…。
臼は木の臼ではなくて石臼だった…。

 杵を振れない小さい頃は丸める方…少し大きくなると親父や義理の叔父・従兄に混じって返しや餅をつく方にまわった。
まだ杵を振れない時分から…予め熱湯で温めて湿した石臼に蒸したもち米を入れて小突くところから返し…本突きまでずっと見ていたから…それほど難しいことではなかった…。

 手早くついて…手早く形成しないと…餅が怒る…。
つまり…角化してしまう…。
持ちつきは…時間との勝負なんだ…。

 米とぎと小突きが作業の中では最もしんどい…。
餅をつく段階では小突きが一番重要で…八割から九割方…小突きでつく…。
小突きさえ十分してあれば…餅はすぐにつける…。

 大人から子供まで大勢が集まってワイワイガヤガヤ騒ぎながらの餅つきは忙しいけれど楽しかった。
餡子を入れた草餅や大根おろしで食べるからみ餅…。
 からみ餅はつきたてじゃなきゃ美味しくないよ…。
その味は自分とこでつく者だけの特権なんだ…。

つきたての餅を頬張りながらみんなで新年を迎えるための大切な餅をついた…。

 祖母が骨折して…下ごしらえをする者が居なくなってから…家族・親戚での餅つきはまた…消えた。
祖母はその後も病気になったり…認知症になったりで…とうとう餅つきを復活することはできなかった…。

 実家では…その後は毎年餅を買っていた…。
餅つきはなくなったけれど…神棚や仏壇にお供えする餅は毎年必要だったから…。

 所帯を持った時に…それまで餅のつき手がなくて田舎から送って貰ったもち米を余所にあげていた姑が…おまえつけと言わんばかりに…餅つき機を買うことを勧めた。
連れ合いも乗り気で…ってあんたがつくわけじゃなかろうに…餅つき機を買ってしまった…。

 以来…毎年…神棚もないこの家のために…自分は餅をついている…。
まあ…家内安全を願って…ってことで…。
だって…せっかく…大切なもち米送ってくれる親戚に…もう要らんとは言えないし…。

嫌いじゃないからね…こういうことは…。
無理強いされるのは嫌だけどさ…。

それに…毎年…娘たちが美味しいっていっぱい食べてくれるんで…へへへ…。

 前の晩から…とぎ汁が透明になるまでといで浸しておく…。
とぎ汁が濁っていると餅が黄色く…黒く…とも言うけど…なるんだよ。
まあ…家で食べる分には…それほど神経使わないけど…家の神さまのお供え分はやっぱり白い方がいいじゃない…?

 
 さあ…今年も餅つき終わり…娘たちが喜んで食べてくれたのを励みに…後は…涙…涙の大掃除…腰よ…腕よ…耐えてくれ…!



ぶらり…旅…⑦ またね…北海道!編→変…?

2006-12-28 16:15:00 | ぶらり…旅
 二晩…知床に泊まってしまったから…釧路か登別を断念しなきゃならない…。
希望では…ひと晩くらいはいい温泉旅館に泊まろう…と考えていたので登別の旅館をあたってみた…。

 何しろ…列車内宿泊や民宿…ユースでの宿泊ばかりで過ごしてきたから…それはそれで楽しかったけれど…ちょっとは贅沢しようか…って話になっていたのだ…。

 けれども…この時期満員で予約が取れなかった…。
それじゃ…どうせなら釧路で丹頂鶴を見よう…と決めてユースを後にした。
 知床で知った自然を撮り続けている写真家の人の作品が展示してあるというところへ見学に行ってから発とうと…寄り道をした…。

思えば…この寄り道が失敗…というか落とし穴…。

 展示を見てから…喫茶店でお茶を飲んでいるところへ…ユースに泊り込んでいる常連の…ってかほとんどスタッフの写真家さん…本職かどうかは知らないけど…にばったり出会ってしまった。

あれ…きみたち…何…何処行くの…?

えっ…?
これから釧路へ…行くつもりなんですけど…。

何…何…いいじゃない釧路なんて…もう一泊していきなよ…。
知床はいいよぉ…。

いいのは分かってるんですけど…帰りの予定が…。

だったら…なおさら…釧路なんて次の機会でいいじゃない…。
ねっ…!
ユースに帰ろうねっ!

 そんな感じで言いくるめられて…結局…ユースに逆戻り…。
まあ…いっかぁ…!
ユース…居心地良かったし…風呂も悪くないし…ね。

 後で聞いた話じゃ…この写真家さん…みんなにそんなことやってるらしい…。
よっぽど…ここを愛してるんだねぇ…。
 そんなこんなで…何人もの人がこのユースに留まって…いつの間にかスタッフになっちゃうって…そういう気持ちも分からないではないんだなぁ…。

そういう魅力が…知床にはあるみたい…。
いつか機会があったら…また遊びに来たいな…。

 ずっとここで暮らそうとは思わないけどね…。
だって…冬…大変だよ…ここ…。
自分みたいな怠け者ではとてもやっていけないだろう…。

えっ…冬眠すれば…って…?
う~ん…それはいい考えだけど…まず無理…昼寝しても頭痛になる人だから…。

 翌朝…名残惜しげに出発した…。
さすがに三日も泊まると情が移る…。
 またね…知床…。
お元気で…ユースの皆さん…お世話になりました……。
 木彫り修行のお兄さん…頑張ってね…。
木彫り教室の母さん…有難う…。


 知床を後にして…さあ…本日中に帰るとなると飛行機を使うしかない…。
何処から乗ったんだったか…もう忘れちゃったけど…とにかく…自分らの町まで約一時間ほど…。

えぇっ…!
たった一時間なの…?
列車とはえらい違いだ…。

そっか…長期の休みが取れなきゃ…飛行機使えばいいんだ…。
そんじゃ…すぐに…釧路へ行けるかもな…。

 飛行機はこれで二度目…わくわく…子供みたい…。
スチュワーデスさんって…(あっごめん…今はフライトアテンダントだっけね。)…めちゃ綺麗じゃん…。

さよなら…またね…北海道…いい旅を有難う…。


 それきり…二十年以上…北海道には行っていない…。
北海道へ行く…というきっかけが作れないままに過ぎた…。
友だちは…あれからすぐに…また…知床へ行ったらしいけど…。

 そうだな…。
子供たちが独立して自由の身になったら…ゆっくり…道内を回る…かな…。
 登別や釧路…まだ行ってないところがたくさんある…。
行ったところの方がはるかに少ないんだから…。

 変わってるんだろうな…二十年も経つと…。
あの時の自分には戻れないように…あの時の北海道にはもう…出会えないかもしれないね…。

 それでも…いつか行ってみよう…。
これからの自分を連れて…これからの北海道を見る旅に…。




ぶらり…旅…⑥ 知床(天然…氷の滑り台)編→変…?

2006-12-27 11:21:31 | ぶらり…旅
 朝食が済むと急いで仕度をしてユースでノルディック用のスキーを借りた。
こんなスキー板は初めてだ…。
 なんたって爪先だけが固定されていて…かかとが自由に動く…。
あ…そうか…これじゃなきゃ遠距離歩けないもんね…。
でもなんか変な感じ…。

案内のお兄さんがひとり付いて…少人数で滝を目指すツアーが始まった。

 自分たちの選んだツアーの他にも更に遠くまで行くツアーもあったのだが…初心者としてはこれが限界…だって付いて行くのがやっとだったもんな…。
如何に日頃運動不足かを露呈するツアーとなった。

 友だちはスキー慣れしているから平気だけど…自分はスキーも始めたばかり…無駄な力ばかり使ってぜいぜい言っていた。
運動部だった高校の頃の体力はいったい何処へって感じ…。

ノルディックの選手ってこんなしんどいこと毎日のようにやってるんだねぇ…。
尊敬しちゃう…!

 知床の雪原を行く…。
ぜいぜい言いながらも気分は爽快…。
 だって…一面…雪…雪…雪…。
向うの方に森だか林だか…が見える…。

何…この身体の重さ…情けねえ…。

 滑るのとも違ってスキーを履いて歩くのは、長靴で地面を歩くよりずっと大変…。
だけど…雪原は長靴なんかじゃ到底歩けない…。
雪に足をとられて前へ進めないんだって…。

 やっとこさっとこ目的地到着…そのまま見れば崖があるだけなんだけど…。
はい…ここでスキーを脱いで…という案内のお兄さんの言葉でやっとスキーをはずす…。

 ここから覗いて見て…と言われて崖の上から恐る恐る覗くと…何と其処は滝の真上…しかも…カッチンコッチンに凍った滝…。

 下まで降りるからね…とお兄さん。
めちゃくちゃ上手に天然の滑り台となった滝を滑り降りて行った。

 下で止めてあげるから…ひとりずつゆっくり滑り降りてきて…。
落ちたら氷の海ん中へドボンだからね…。

 そう…ここんとこ二十年ほど滑り台なんて滑っていないけれど…そこは童心に帰って…って結構高いよ…この滝…!

凍った滑り台はゆっくりしようと思ってもゆっくりはできないと分かった。

 降りたところは実は海…凍っていて…流氷もあるから陸のように感じるだけ…。
夏だったら絶対来られないところなんだよ…と教えてくれた。

 振り返って見上げると…其処は自然の作った大迫力の造形作品…流れ落ちたままに凍ってるんだから…。
言葉にならないくらい幻想的…。

これってさ…時間がここで止まったってことだよね…。

 この滝が…例えば…もし12月10日に完全に凍ったとすると…この氷柱みたいな形の尖端っていうのは12月10日のまんまなんだ~!

なんか…感動…!

…感動は長く続かなかった…。
この切り立った崖を…登るの…これから…。

降りる時は楽だけど…登る時は地獄…再び…ぜぇぜぇはぁはぁ…の世界…。

そのまま居たら凍死するので…嫌でも帰らなきゃならない…。
ようよう…登り切ると…また…あのスキーを履いての歩きが待っている…。

いや…歩き…ならまだ良かったんだけど…。
帰りは雪の積もった林の中の道なき道を滑って帰る…初心者にとって恐怖の体験が待っていた…。

なぁに…滑るのが怖いんじゃなくて…超ノロいの…自分だけ…。
みんなスキーが上手いんだぁ~!

涙チョチョギレそうなくらい情けねぇ~!

それにしても…なんでこんなに滑りにくいんだろう…?
何か板が妙に引っ掛かるんだよね…。

…でやっと…ユースに辿り着いたら…なんと自分の借りたスキー板が裂けたように折れてることが分かった…。

スキー壊しちゃったぁ~!
うっそぉ~!
こけてもいないし…ぶつけてもいない…歩いて滑っただけなのに…?

顔面蒼白…。
恐る恐る返しにいって…壊しちゃいました…と謝った…。

すると…ユースのお兄さんはにっこり笑って…。

スキー板は初心者が歩いただけで折れるようなもんじゃないよ。
これ…最初から壊れた板を持っていったんだよ…。

そうなのぉ~?

それを聞いて…ほっとした…。

 考えてみれば…自分の持っている普通のスキー板は…容赦なくこけまくっているわりには折れたことないもんなぁ…。
けど…あれ…割り当てだったから自分で選んだわけじゃないんだよね…。
大当たりしちゃったんだ…。

 何はともあれ…無事…ツアーから戻って…その日の昼食はユースの外へ出た…。
町の小さな食堂…ユースの人たちが来ていた…。
ユースの仲間のお勧めは…いくら丼…観光客用じゃないこの店のいくらはしょうゆ漬けで…小鉢にたっぷり…お値段もめちゃ安…。
財布に優しくてオイシ~!

 アイヌの人が開いている木彫りの店でお土産を物色…。
そこで留守番をしていたのは本州から木彫り修行に来ていたお兄さん…。
アイヌの師匠の腕前について熱く語った。

 お兄さんに勧められて…鷹の爪だか熊の牙…だかを模った木彫のトップを細い革紐でつるしたペンダント…チョーカーにしては長過ぎる…を買った。
魔除けなんだって…。

 買い物をしていると…可愛いお嬢さんが学校から戻ってきた…。
目がくりくりっとしたアイヌの人の顔立ち…。

 ねっ…分かるでしょ…。
師匠の木彫りの女性の顔…みんなお嬢さんの面影があるんだよ…。
お兄さんはにこにことそう言った。

うんうん…確かにそうだ…この木彫り…愛情こもってるんだねぇ…。
頑張ってね…お兄さん…。

 その店からさほど離れていない店で…木彫りの体験ができるというので…実は昨日から通ってプレートを作っていた。
ここは元気いっぱいのお母さんが切り盛りしている…。
馴染みの観光客も多いらしい。

 夕方…旅立つつもりだったので…大至急仕上げ…。
仕上げるには仕上げたけど…友だちがもう一泊しようと言い出したので…そのままユースに留まることにした…。

ここで釧路か登別を断念することになった…。
それは明日考えることにして…疲れたことだし…押入れみたいな寝床へ…。

ああ…今日も楽しかったなぁ…。
それじゃ…また明日ね…。

続・現世太極伝(第百六話 紫苑…暴走開始)

2006-12-26 17:52:00 | 夢の中のお話 『続・現世太極伝』
 耳を劈くばかりの鋭い叫び声とともに部屋の窓という窓…ガラスというガラスが砕け散った…。
輝は思わず絢人に覆い被さった。

 部屋中が地震のようにガタガタと揺れている…。
これだけの現象が起きていながら…北殿も子安さまものんびりと構え…吾蘭の様子を観察している…。

 よくよく落ち着いてみれば…来人も絢人もちゃんと気のプロテクターで防護されていて…ガラスや物が当たっても怪我をしないようにしてある…。
北殿も子安さまも用意周到だ…。

吾蘭が気を放出している…。 あちらこちらで物が砕け…辺りに飛び散っている。
その威力はとても二歳の子供とは思えない…。

 「紫苑に比べれば…少し…劣るかしら…? 」

北殿は周りで起きていることなどまったく意に介さないようで…ゆったりとした口調で子安さまに話しかけた…。

 「紫苑さまと比べてはアランが気の毒ですよ…。
紫苑さまは宗主と並んで遜色ない方ですもの…。 」

そう言って子安さまは微笑んだ…。

 そうね…紫苑なら…わたしたちもこんなにのんびりしていられないわね…。
北殿もそう言って笑った…。

 これが…笑っていられる状況なの…?
輝は驚くより呆れた…。
 
 揺れが激しくなり…椅子やサイドボードが動き始めた…。
物が弾け飛ぶたびに反射的に絢人を庇うために身を屈める…。

 いい加減にして頂戴…。
アラン…もうたくさんだわ…。

輝がそう呟いた時…来人が眼を覚ました…。
しばらく…ぼんやりと辺りを見回していたが…急に立ち上がるとちょこちょこと吾蘭の方へ駆け寄った…。

だめよ…クルト…!

 輝が止めるのも聞かず…来人は吾蘭のすぐ傍まで駆けて行った。
何を思ったのか…吾蘭の背中にぴたっと張り付くようにして負ぶさった…。

 「ア…ン…。 」

吾蘭…と呼んでいるつもりらしいが…輝にはよく分からなかった…。

 来人の声を聞くと…それまで作り物のように固まっていた吾蘭がもそもそっと動き出した…。
辺りは何事も無かったかのように静けさを取り戻した。

 「あら…羽が消えちゃったわ…。 うふふ…これは思わぬ効果ね…。 」

面白そうに北殿が言った。

 「そうですね…。 それほど悪いことばかりではないかもしれませんね…。 」

子安さまも安心したように頷いた…。

 吾蘭は大きく息を吐くとその場にごろんと寝転がった…。
来人もすぐ脇に転がった…。
相当に疲れたらしく…片手で眠そうに目を擦りながらもう片方の手で来人の頭を撫で撫でした。

 やがて…ふたりとも寄り添ったまま眠ってしまった…。
ふたりが寝息を立て始めると…輝はようよう…ほっと肩の力を抜いた…。


 
 「空間が…歪んだな…。 」

少し眉を顰めながら有は呟いた…。

 「紫苑の力が強過ぎるんだ…。
時間無制限ってことで…こちらもかなりセーブしているからな…。 」

相庭が相槌を打った。

 「宗主…我々で空間を修正しますか…?
それとも…能力者たちの出力レベルを上げさせますか…? 」

有に問われて宗主は瞬時…考えた…。

 「我々の力は温存しておいた方が良かろう…。
恭介が抑えに失敗すれば…暴走紫苑を止めなきゃいけなくなるかもしれんし…。
外部から少しずつ空間の維持力をアップさせた方が正解かも知れん…。 」

では…そのように致しましょう…と有は頷いた。



 宗主の意思を伝え聞いた祥を始め各部の責任者は一斉に、控えていた能力者たちに指示を出した…。
各部に配属されている媒介能力者に力を集中させる。
媒介能力者がどこに力を送っているのかは伏せられていた…。

 本部に向かっていた須藤と田辺は本部に到着してすぐに滝川家の家長に連れられて別の場所に移動させられた…。
そこには正道・鬼道を問わず…何人かの高名な業使いが集まっていた。

 勿論…田辺の実父…倉橋久継の姿もあった。
業使いたちはそれぞれの流儀に従って行動しているようにも見受けられるが…目的は同じ…。
異なった業を用いながらもお互いに協力し合ってひとつのものを作り上げているようだった。
田辺も須藤も即座にその中に加わった。



 玲人が添田の屋敷跡へ続く坂の入り口辺りに来た時…ちょうど相庭から連絡が入った…。
相庭は…できるだけ周りに居る御使者や能力者を集めて捻じ曲がった空間の補修に力を貸すように…と伝えてきた…。

 添田と磯見…お伽さまの行方を捜してエージェントたちが町中をつぶさに調べて回っている…。
御使者もHISTORIANを追い払うために町のあちこちに散らばっているはずだ…。

集めようと思えば…集まるかも知れないが…場所が…なぁ…。

 瞬間的に力を放出するだけならその場でもできるが、持続的にというのであれば、それなりに集まれる場所が必要だ…。
玲人は辺りを見回した…。

 少し下ったところに池がある…。 
周りは…どうやら…公園のようだ…。
池の端に少し大きめの東屋が目に付いた…。

あそこに…するか…。

 今来た道を取って返し…玲人は公園に向かった。
途中…加勢するためにこちらへ向かっていた紅村と花木が合流し、公園の近くで仲根と亮に出会った…。

 玲人から宗主の意思を伝え聞いた仲根は、即座に仲間たちに向けて送信し、町中に散らばっていた御使者やエージェントが続々と公園に集まってきた…。
亮はともかく仲根でさえも、これまで直接会ったことのない他の地域の御使者たち…そしてエージェントたち…。
普段はこの地域を担当していない者も幾人か派遣されて来ているようだった…。



 足元が再びぐらぐらと動き出し…捻じ曲がった空間が正常な位置に戻った…。
地べたに這い蹲るようにしていた者たちも紫苑の哄笑の中でようよう顔をあげた…。 

 「あははは…面白いだろう…? 
空間を補正するのに何人の能力者を使ったのかな…。
坊や…どう思う…? 」

 坊や…とあからさまに相手を見下した言葉を投げかける…。
滝川がそう呼ぶのとは明らかにニュアンスが異なる…。
普段の西沢では絶対に考えられない…。

 少年は度重なる屈辱で完全に冷静さを失った…。
完全に血が上っている少年の様子を見て老人はもはや限界か…と思った。
戦いに出すにはまだ幼過ぎたか…と後悔した…。

 突如…はるか天空からエナジーの巨大な塊が西沢を目掛けて襲い掛かった。
西沢はそれをまともに受けたが…塊は西沢に触れるや否や分裂して四方八方へ飛び散った…。
細かく砕かれたエナジーの塊はそのまま空間に激突しエナジーの壁を破壊した。

 「オロカ…モノ…! 
少ナイヒト…相手ニ…何遊ンデイル…!
マワリ…気付カ…ナイカ…。 」

聞いたことのあるような男の怒鳴り声が当たりに響いた…。

 これだ!…と滝川は思った。
あの時…ノエルを媒介に使った男の声だ…。

 「弟ヨ…オマエ…ツイテ…ナガラ…何トイウ…失態!
ソコハ…ツクラレタ…空間ダ…。
ヨク…ミロ…。 
オマエタチ…スデニ…敵ノ…手ノ内ニ…オチタ…。 」

怒りの声とともにエナジーの塊が雨霰と降り注いだ。

 「もう…! 何! 避けるの忙しくて動けないじゃん! 」

ノエルは苛々した口調で怒鳴った。

 「ノエル…障壁を張るんだ…。 砕けたエナジーくらいは弾き返せるから…。
でかいやつにだけ注意して…。 」

金井に言われて…あっ…そうかぁ…とノエルは頷いた。

 西沢は表情ひとつ変えることもなく…半ば…退屈そうに町中を逃げ惑うHISTORIANたちを見つめていた。
HISTORIANたちの持つ力は…どうやらレベルが一定しないようだ…。

 『時の輪』のように障壁を作れる者もあれば…攻撃はできるが防御がまるでだめなものも居る…。
歴史の長い組織にしては…内情がたがたじゃないの…。

 「くそぉ! まやかしの空間なんか作って…僕らを閉じ込めるつもりか…? 」

少年は怒りの声をあげた。

 「とんでもない…。 おまえら如きを相手に空間なんぞ要るか…。
これは…多分…町の防御のためだ…。 紫苑に町を壊滅させないように…さ。 」

滝川はそう言って肩を竦めた。

 「坊や…おまえが最高指導者なら…あの声の主は誰なんだ…? 
まだ…上が居るのか…? 」

滝川が訊ねると少年は少し言葉に詰まった…。

 「おまえと声の主は非常に気配が似通っている…。
それに…弟というのはあんたのことか…じいさん…? 」

さらに老人にも問うた…。

 「さよう…私は選ばれし人の弟だ…。
選ばれし人はアカシックレコードの情報を読み取ることができる…。

 代々…その力を受け継いだ者は選ばれし人の後継候補として幼いうちに他国に派遣され…その国を護りながら修行をすることになっている…。
実の子とは限らない…が…。

 その中でもこの子は…選ばれし人の情報を最も多く受け継いだ…。
功績をあげれば間違いなく後継となる素材…。  」

老人の答えを聞いて…なるほど…と滝川は胸のうちで頷いた。

 それで…功を焦って失敗を重ねたってことか…。
当たり前だな…この国の能力者のことをまるっきり理解してないんだから…。

 「アトカラ加勢マデ…送ッテヤッタノニ…ナンタルザマダ…! 
オマエナド…モハヤ…必要デハナクナッタ…! 」

声の主は容赦なく少年に罵倒を浴びせる…。
少年の顔はさらに蒼白になった…。

 「お許し下さい…! 必ずこいつを捕まえてご覧に入れます…! 」

少年は天に向かって叫んだ…。

 「おい黒幕…こいつはまだ子供なのになんだってそんな無理難題を押し付けるんだ…?
やりたきゃ…てめぇで勝手にやりゃいいじゃないか…! 」

そう怒鳴った瞬間…エナジーの塊が滝川を狙い撃ちした。
滝川は高く片手を掲げると軽々とそのエナジーを受け止めた…。

 「すげえ! 先生が動くのを初めて見た…。 」

ノエルは少なからず…驚いた。
滝川は戦う姿を…これまでほとんど見せたことがなかった。
大概…動くのは西沢の方だったから…。

 「おや…そうだったけ…ノエル…。 
昔は暴れ者だったんだって…聞いてないかい…? 」

にっこり笑って滝川は言った。
お返しするぜ…と攻撃者の気配に向かってエナジーを投げ返した…。

 「先生…危ない! 」

間髪をいれず…少年と老人の放ったエナジーが滝川を襲った…。
金井とノエルが慌ててエナジーを弾き飛ばした。

 不意に背後で異様な雰囲気を感じた。
やばい…っと滝川は西沢を振り返った…。
黒い翼は今や…飛び立たんばかりに広げられ…大きく羽ばたいていた…。

滝川が打ち返したことで相手も逆上したのか…さらに間断なく激しくエナジーの塊が降りしきる中…西沢はゆっくりと力を放出し始めた…。







次回へ

メリー・クリスマス…!

2006-12-25 12:12:43 | ひとりごと
メリー・クリスマス…!

 今日は…お仕事の方も多いのでしょうね…。
年末で皆さん大忙しのことと思います…。
お疲れさまです…。

クリスマスということで…doveもお絵かきに挑戦してみました…。
お絵かきツール…初めて使ったのでなかなか上手くいきません。

すごく下手糞だけど…許してください…。
笑わないでね…。

もう一度…メリー・クリスマス…!
皆さんの…ご多幸をお祈りして……致します!

親父のクリスマス

2006-12-24 22:56:56 | 親父
 小さなもみの木…今は思い出の中にしか存在しないクリスマスツリー…。
新しいもの好きの親父は子供たちのために小さなもみの木を買ってくれた…。
それが何時だったのか覚えていないから…長子である自分がまだ幼い頃だったんだろう…。

 偽物の木ではなくて生きたもみの木…まだ赤ちゃんのツリーだ…。
そのツリーに玩具の飾りをつけて貰って、小学生低学年くらいまでは家族で楽しんだ…。

 赤…緑…金…銀の光る玉…色とりどりのモール…ステッキ…天辺に光る星…。
物語の挿絵の小型版みたいな感じ…。

 親父は昭和の始めの生まれだから、クリスマスに何ら思い入れがあったわけでもなく、クリスマス・パーティをしようというわけでもなく、クリスチャンでもないが…きっと…子供が喜ぶと思ったんだろうな…。

 もみの木は次第に大きくなって、狭い部屋の中に飾ることができなくなった。
多分…親父がやったんだろうけど…いつの間にか庭に植えてあったのを覚えている。

三度目に引っ越す時にそのまま庭においてきてしまったけど…。


 自分らの子供の頃には…サンタクロースは外国にしか居なくて…プレゼントは会社のボーナスが出た後に大型スーパーの玩具売り場や本屋で買って貰った。
三人の子供に必ずひとつずつ…。

 親父は玩具もゲームも大好きで…買うと自分が率先して遊んでしまう…。
レールつきの電車や…コースつきのレーシング・カーなんかはどちらかというと親父の方が夢中になった…。
 子供よりも子供になって遊ぶ…オカンは今もその姿を思い出しては笑う…。
そういう時の親父は…愛すべき永遠の少年なんだろう…。

 クリスマスと言えば…ケーキ…。
あの頃はまだ生クリームなんて一般的ではなくて…バタークリームのケーキが庶民のケーキだった…。

 無塩バターと卵白と砂糖…で作ったバタークリームを生地の表面に塗ったカチッとした食感のケーキだ。


 オカンが毎年ケーキを買うのだが…忘れているといけないとでも思うのか親父も会社の帰りにどこかに寄って買ってくる…。
ケーキが二個でイブとクリスマス両方…生クリームのケーキを二個家族で平らげるのは…甘党ならそう難しいことじゃないが…バタークリームは手強いよ…。

 アイスクリームケーキなるものが始めて一般に登場した時には…どこに注文したのか…その年…早速手に入れてきた…。
やっぱり…クリスマスには普通のケーキが良いということになって…二回で止めてしまったけれど…。

 甘辛両党の親父だから…自分が食べたいというのもあったんだろうが…子供が喜ぶ顔を見るのが嬉しいという気持ちの方が大きかったんだと思う…。
新しいもの好きの親父は…自分の子供の頃にはなかった楽しみを子供たちに与えてやることで…それなりに楽しんでいたんだろう…。

 今…親となった自分たちがサンタクロースになって…夜中に子供の枕元にそっとプレゼントを置いておくように…。


メリー・クリスマス…皆さん!

幸せなクリスマスをお迎えになりますように…!

世界中の子供の未来が輝けるものでありますように…!

あなたの流した涙が…汗が報われる未来でありますように…!

メリー・クリスマス…!

















ぶらり…旅…⑤ 知床初日編→変…?

2006-12-23 17:17:17 | ぶらり…旅
 多分…斜里駅辺りから路線バスに乗って知床へ向かったんだと思うが…降車した駅の名前が定かではない…。
とにかく…自分たちの町を走っている路線バスと変わらない普通のバスに乗って目的地へと出発した。

 旅も終わりに近付いたせいか…時間的なことからちょっとだけ予定を考えた…。
…って友だちが考えたんであって…相も変わらず自分はその後についていくだけ…なんだけど…。

 知床のユースに一泊して…翌日には登別へ向かい…さらに釧路へ行って…旅を終える…。
ちょうど北海道をぐるっと回った感じで…。
そんなコースを頭に描いていた…。


 田舎の道をバスは走る…。
外気に比べるとバスの中はすごく温かい…。 

 窓の外を雪がちらちら舞い始めた。
ああ…綺麗だなぁ…くらいに思っていたら…あっという間に吹雪になった。
途中…乗車してきた人たちも雪だるま状態…。

 やがて…危険だから…というのでバスは吹雪の中で立ち往生…。
吹雪が治まるのを待つ…。
 自分らの町では…滅多に体験できない状況だが…こんなことはここら辺では当たり前にあることなんだそうだ…。
さすが雪国…。

 しばらくして吹雪が一段落すると…バスは何事もなかったように走り始めた。
目的地からそれほど離れていないところに…何かの撮影隊らしき一行が来ていた。
何事かと目をやると…エゾ鹿が一頭…道路沿いの藪に居るではないか…。

 おおっ…! 
是非にも見たいと思っていた鹿さんじゃないの…!

 鹿はじっと座っていてこちらを見ているのだが…野性っぽくない…。
野生なら人が近付けば…すぐに逃げるんじゃないのかなぁ…。
撮影用に細工でもしてあるんだろうか…なんて勘繰ってしまう…。

 それでも間近でエゾ鹿を見られた気分は決して悪くはない…。
知床まで来た甲斐はあったな…。
その時はそれだけでもウキウキだった…。

 知床のユースは結構常連さんが多いらしく…そのままスタッフになってしまった人もいるみたいだ…。
写真家の常連さんもまるでスタッフのひとりのような顔をして泊まっていた…。

 風呂も綺麗だし…他の泊り客も…初めて訪れた自分たちを違和感なく受け入れてくれて…気分ものんびり…くつろげた…。

 ユースでは…知床を満喫できるように泊り客のために幾つかツアーが用意してあり…自分たちも翌朝…ノルディック・スキーを履いて滝を見に行くツアーに参加することにした…。
スキー初心者でもOKってことで…。

 高校卒業以来…運動らしい運動をしていないし…スキーも始めたばかりの自分はちょっと体力的に心配だった…。
何しろ…友だちはスキーのベテラン…。
まあ…できるだけ…迷惑かけない程度について行くしかないなぁ…。
 
 そんなことを考えながら…夜更けて…外へ出てみると…何と空には満天の星…。
言葉も無かった…。

 漆黒の墨の上に金粉をたっぷりばらまいたみたいに…隙間もないほど星だらけ…。
何処が何座…なんてもんじゃない…。

 夜空一面…星…星…星…!
すっげぇ…!

 自分たちの住んでいる町の…あれはいったい何なんだ…?
星ってこんなにあるもんなんだぁ…!

ちょっと手を伸ばせば届きそうなくらいのところ…夢かと思った…。
寒さも忘れて立ち尽くす…。

 知床の夜空の神秘的な光景…。
満天…というのはこういうことなんだ…と実感する…。
胸の空くような爽快感…。

こんなすごい星空ばかり毎日見ていたら…誰でも善い人になれちゃうかも…。
目に見えない…大きな力の存在を信じたくなってくる…。


 さあ…明日は頑張るぞ!
ツアーの皆さん…迷惑かけたら…ごめんね!



ぶらり…旅…④ 小樽編→変…?

2006-12-22 17:19:00 | ぶらり…旅
 今でも惜しいことした…と思うのがここ小樽での買い物…。
移動の道すがら…ふらっと立ち寄った店で見つけたコーヒーカップ…。
小樽焼き…だと記されてあった。

 深みのある黒っぽい赤…というか…濃い臙脂色…のそのコーヒーカップを見た瞬間…ひと目惚れ…。
焼き物の衝動買いなんてしたことはないけれど…これは絶対欲しい…と思った。

 少し形の違う同じ色のカップがふたつ…。
両方手に入れたいんだけど…旅先だから持ち運びが…。
割れ物だしなぁ…。

 しばらく躊躇った後…手に馴染む方をひとつだけ買い求めた…。
そのカップは今でも実家に置いてあるけど…帰るたびに使っている…。

 もう…二十年余だよ…。
親に借金して旅をしている自分が普段使うカップにしては少し贅沢品だが…いい買い物だった…。
何かの拍子に少しだけ…欠けちゃったけど…。

 今考えれば…送って貰えばよかったんだよね…。
旅の途中って頭しかなくってさ…。
欲しかったなぁ…。


 さて…小樽と言えば北一硝子…なんてことは当時はまったく知らなくて…友達の後にくっついて歩いていた。

 商店街の通りをぶらぶらと目的地に向かう途中…ふと横を見ると…なんだかパン屋さんのような店が目にとまった。
ショーウィンドウの向こうにカーネルおじさんのような白髪の品のいいおじさんが居て…じっと見ていた自分に向かってにっこり微笑み…会釈してくれた…。

おおっ! 感激っ!

 思わず立ち寄りたくなったが…友だちが先を歩いているのでそうもいかない。
ごめんね…カーネルおじさん…おじさんのパン食べてみたかったよ…。
心の中でそう呟きながら友だちの後を追う…。

 北一硝子…は雰囲気抜群の観光スポット…木材の骨組みに石張りの壁…時代を感じさせる倉庫で…その中に展示してあるガラス製品がきらきらと星のように輝いている…って当たり前か…。

 ランプの明かりで照らされた童話の世界から抜け出たようなホールがあった…。
そこは多分…喫茶店かレストランだったと思うのだけれど…。
 そういう雰囲気のところは…眠くなっちゃうから…どちらかと言えば苦手…。
コーヒーを楽しむ間くらいなら気持ちよく過ごせるけど…ね。

 館内では…それこそ食器・花器・アクセサリー…等々…多種多様なガラス製品にお目にかかれた…。
ガラス製品を作る体験もできるって話だったけど…今回は見学のみ…。

 いつも思うんだけど…高熱になった硝子に金属の管を通して息を吹き込む時に間違えて吸っちゃったりしないのかなぁ…?
高熱の空気吸い込むのと同じだから…口の中とか喉の気管とか…火傷しないかなぁ…?
 管が長いから大丈夫なのかな…。
今度…何かで機会があったら訊いてみたい…!

 あはは…こんな変なことばかり言ってたら…こいつってどっかおかしいんとちゃうか…なんて思われちゃいそうだね…。
でも…誰か知ってる…? 知ってたら…ぜひ教えてね…。

 北一硝子を出て…運河の方へ行ったような気がするんだけど…はっきりとした記憶がない。
もうひとつふたつ観光スポットを訪ねたんだけどなぁ…どこだったっけ…?


 この日の泊まりは民宿…道中で知り合ったひとり旅の可愛い女の子から教えてもらったお勧めの宿…。
夜汽車の見える大きな窓が売り物…。 鉄ちゃんたちも利用するらしい…。
汽車と言っても今じゃ電車だけどね…。

 宿の建物は可愛いくて当時はまだ新しかった。
夕食の後片付けとか…夜食の準備とかを泊り客が分担して手伝うことになっていて…その分料金が割安…洗濯できる設備もある。

 アットホームでいい雰囲気…。
勿論…御自慢の夜汽車の風景もなかなか良かった…。
夜の闇の中を走る列車の窓の灯りがとてもロマンチック…ファンタスティック…。


 ロマンチックでないのは北海道の物価…ってか…食事の料金が高い…。
観光地だからか…仕方がないのかもしれないけど…。

 本場だから自分らの住んでいる町よりは海鮮料理が割安なんじゃないか…と思いきや…とんでもない。
言うまでもなく…新鮮で物が良いことは間違いないだろうが…貧乏な旅人には到底手が出ませんな…。

 それと…今はどうか分からないけど…当時は町から町へ移動するためには何度か乗り継ぎをしなければいけないのだが…その都度…繋ぎがひどく悪かった…。
電車の中で過ごした夜も2度ほどあったかな…。

まあ…それもまた…心楽しいんだけどねぇ…へへ…。

 おっと…電話してねぇや…。
熊にでも食われたかぁ!…ってオカンの声が聞こえそうだ…。