徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

気がつけば…奴が…居る?

2006-12-02 17:05:00 | 生き物
 子供が修学旅行に出かけた夜のこと…。
そろそろ寝るか…と二階へ上がって襖を開けた途端…目の前をしゃかしゃかしゃか…っと横切っていった奴…。 

むむっ! こやつ…いつの間に侵入したか!

 急ぎキンチョールを手に追いかける…。
奴にはキンチョールなど簡単には効かない…。

方向転換して逃げ…隣の部屋のドアに駆け上った…。
不敵にこちらを見ている…。 

何しろ…向こうの方が高い位置にいるから見下ろされている。
猪口才な…貴様如きに見下ろされる覚えはないわ! 

 ええい…手元に新聞がないのが悔やまれるわ。
そう思いながら…またキンチョール…。
何度も噴射して…ようようしとめた…。 

愚か者め…だが…殺生は殺生…南無阿弥陀仏…。 

 何年か前までは…我が家にゴキが出没することはなかった…。
ムカデやネズミは始終出たが…ゴキはあまり見たことがなかった。

 周りに民家が増えるごとにゴキも増えていった。
夜になると家の向かいの歩道の上でちょろちょろしているのを見ることがある…。
ゴキが野外を徘徊しているなんて…これまで思いもしなかったが…。

 今では我がもの顔で登場する…。 尤も…数は少ない…。
ゴキブリコンバットのお蔭かな…。 


 実家にいた頃も…ゴキはめったに見かけなかった。
やはり…ムカデは頻繁に出たけれど…周りに民家が少なかったせいもあるだろう…。 

 ある日…実家で宴席を設けることになり…知り合いの仕出し屋さんに出張調理をして貰うことになった…。
板前さんは当日…器や道具…食材などを…実家に持ち込んだのだが…道具を開いた折に…オカンの目の前をゴキが走った。 

 「いかん…えらいやつを連れて来ちゃった…。 」

板前さんは申しわけなさそうに言った。
宴席が迫っているから…ゴキ退治をしている場合ではなく…取り敢えずは調理に専念してもらうことにした…。 

 宴席は滞りなく済んだ…。
出張して貰うのは初めてだが…板前さんの腕前はいつもながら確か…。
ゴキのことなど忘れられていた…。

 まったく姿を見せないゴキを退治することもないまま時間だけが過ぎていった。
放っておけば…爆発的に増えるのは間違いないが…探しようがなかった…。

  虫嫌いのオカンは洗い物には神経質なところがあって…ほうれん草でもごしごし洗ってしまう…。
食べる頃にはビタミンは完全に抜けてるな…と思われるくらいに…。
そこまでやらなくても…と思うこともある…。 

ゴキと同居なんかするのはオカンにとってはとんでもないことなのだ…。

 翌日…だったか…オカンが御飯を炊いた。
ゴキのことなどすっかり頭になかった…。

 さて…仏さんに御飯を上げよう…と炊飯器の蓋を開けると…いい具合にゴキちゃんが炊けている…。 

 米と一緒にごしごし磨がれたゴキちゃんは眼を回して逃げられず…哀れ…炊き込みご飯となったのであった…。 

 ただし…子孫はしっかり残したとみえて…以来…オカンはずっと同居を余儀無くされている…。