徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

心の恩師…柴犬好きの先生

2006-12-10 16:06:00 | ひとりごと
 小学校を卒業するまで身体が弱かったせいもあって…親から外で遊べ遊べと言われて育った自分は…ほとんど勉強らしい勉強をしないで過ごした。
家へ帰れば飛び出し…泥だらけになって遊んだ。

 勉強らしいことと言えば…頓珍漢な親父が与えてくれる…とても小学生対象とは思われないような本を読んだり…学校の図書館から借りた本を毎日一冊ずつ読んだり…しただけ…。

 漢字も九九も頭にはなく…教科書に何が書いてあったかも覚えていない。
頭の中にあるのは…物語と泥遊び…。
 そうでなければ…広い立ち退き現場の空き地のどこに何があるか…。
さすがに慌てた親が…漢字と九九だけは後から覚えさせたらしいが…。

 結果…学業成績はとんでもない状態で…下の下の下…。
そうなると…昔の小学校の先生から見ればほとんど眼にも入らない存在となる…。
 引っ込み思案で…悪さもしないから全然目立たず…居るのか居ないのか分からない子…。
成績が良いか…体育ができるか…何かに秀でていなければどうでもいい児童だ…。
何しろ体育もできなかったもので…。

 或る時…算数の宿題の解き方に窮して…数学の得意な親父に教えて貰ったところ…親父は相手が小学生だということも考えずに簡単な方程式の立て方を教え込んだ…。
今ならともかく…その頃の小学生はまだ方程式なんか習わない…使わない。

 親父に習った通りの解き方で…解答したところ…担任の男の先生に叱られた…。
俺はそんな解き方を教えていない…立っとれ!
その時間…教室の自分の席で立たされた…。

なんでだぁ…答え合ってるんだからいいじゃないかぁ…。

 授業中に先生の話を聞いていなかった報いではあるが…納得いかなかった。
ますます…勉強する気が失せた…。

 その先生が事情があって退職した後…代用教員として年配の先生が赴任して来た…。
すでに定年退職した男の先生で…穏やかなおじいさん先生だった。
おじいさんと言っては失礼かもしれないが…小学生の自分から見れば…確かにおじいさん先生だった…。

 或る時…純粋種の柴犬を飼育している…という話をしてくれた…。
当時…外来種の犬の人気が高く…純粋な柴犬は希少な存在になっていた。

 純粋な柴犬…と聞いてドキッとした。
それはその頃…我が家にとってちょっとした疑問の種になっていた。

 親父に買って貰った子犬が本物の柴犬なのかどうか…。
店の人は柴犬だと言ったし…犬好きのお祖父ちゃんは偽物だというし…。

 そこで…勇気を出して先生に訊いてみたのだ…。
真面目に相手にして貰えるなんて思っても見なかったけれど…。

 驚いたことに先生は…下校する時に一緒に家までついて来て子犬が本物かどうかを鑑定してくれた…。
子犬は三河柴…鼻黒の犬種で…先生の飼っているような所謂…純粋種とは異なる種ということを教えてくれた…。

 感激した…。 犬の種類なんてどうでもいいけど…先生が真剣に向き合ってくれたことが嬉しかった。
こんな先生は初めてだった…。

 その後も先生は自分のいいところをどんどん探してくれて…いろいろな分野に眼をかけてくれた。
少しずつ成績も上がった…。
だんだん積極的になり…活発になった…。

 中学・高校・大学と…その後の学生生活を明るく活発に過ごせたのは…先生のお蔭だと今でも思う…。
勉強ができないんじゃなくて…やらないだけなんだ…やってみなさい…。
言葉では言わなかったけど…そう教えられたような気がする…。

 まあ…そうは言っても…生来怠け者の自分はのらりくらり遊びながらの勉強で…何時の時代も良くもなく悪くもなく…つまり極めて普通って具合だったけど…下の下の下からは何とか脱出…。
それなりに友だちや先生たちともワイワイやって楽しめる積極性も身につけた。
体育もちょっとだけ…ね…。

えっ…せっかく先生がいい方向に導いてくれたんだから…もっと頑張ったらよかったのにって…? 

 そうなの…今になって思うよ…。
もっともっと勉強しとけば良かったって…。
そこが怠け者たる所以なんだなぁ…。 後悔先に立たずってか…。

 でもさ…中庸の徳って言うでしょ…。
何でも中道が一番なの…。

えっ…意味が違うって…うふふ…そうだね…。