徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

パンツの話…。

2008-05-10 22:48:00 | オカン
 今日は朝からずっと雨…かなり冷えている…。
ここしばらく陽気が良くて暑いくらいの日が続いていたので、うっかりアンダーシャツなしで出かけたら、バス待ちの時間がとても長く感じられた…。
何しろ横殴りの雨…避けるもののないロータリー式のバス停…風がスースーと抜けていく…。
同じバスを待っている人たちの会話の中には必ず…寒い…のひと言が…。
シャツを着てくるべきだった…と…しみじみ思った…。

 シャツ…で思い出したのが…パンツの話…。
あれは…中学生一年生くらいだったかなぁ…。
多分…そのくらい…。

 当時のdoveの下着はオカンが近所の衣料品店で買っていた。
商店街の昔ながらの店…小父さん・小母さんの専門店みたいなところだ…。
大型スーパーやデパートの専門店のように形も柄も豊富じゃなくて、決まりきった古い形ものしか売っていなかった。

 或る日…新しいのを買ってきたから…とオカンから渡されたパンツ…。
下着に興味のなかったdoveはいつも渡されるものをそのまま着ていたのだが、形はどうあれ、新しいものは気分がいい…。
その日、風呂から出た後、早速、新しいパンツをはいた…。

はいたのはいいが…何かおかしい…。

あれ…どうなってんだ…?

 通常、パンツなんてものは一気にスッとはけるもので、そう間があるもんじゃないのだが…。
そのパンツは引っ張るとグィ~ンと伸びて…伸びて…とうとう胸まで上がってしまった…。

およよ…なんじゃこりゃぁ…?

「オカン…なんじゃこれ…胸まであるが…。 」

オカンに見せながら…情けない声で言った…。

見るなりオカンは噴出した…。

ギャッハッハッハ~!

「ありゃぁ…やっぱり大きかったかぁ…。
いやぁ…店の人がサイズはどのくらいだと訊くもんだから…分からんけどdoveはオシリが大きいから大きいのだって言ったんだわ…。

で…見せて貰ったのがどれもあんまり大きそうじゃなかったから…もっと大きいか分からん…と…。
いくらなんでもこれなら大丈夫だろうと言っとったもんで…。 
ギャッハッハ~ッ…。 」

ギャッハッハ~じゃねぇよ…。
あんた…doveが生まれてから何回パンツ買ってきてるわけ…?
いい加減…LとかMとかサイズで買ってくれませんかね…。
大きいとか小さいとかじゃなくてさ…。

「とにかくなぁ…いくらdoveでも…これはいて学校へはいけんからな…。
こんなもん…誰かに見られたらえらいこっちゃわ…。 」

ブツブツ言うdoveを見ながらオカンは大笑い…。

「そんなもん…見せんときゃ分かれせんがね…。
はいてしまえばそれまでよ…だわ…。 
ギャッハッハ~!

「・・・・・・・・・! 」

胸まであるパンツが箪笥の肥やしになったのは…言うまでもない…。








試験に出ない…専門?用語…。

2007-07-10 16:26:00 | オカン
 夏休み前のこの時期…あちらこちらの学校で定期試験が行われている。
我が家のふたりも例外ではなく、先週doveちゃんず姉の試験が終わり、doveちゃんず妹は今が真っ最中…。
どちらも、机の前で真面目に勉強している姿を見かけたことがないから、結果は当然、撃沈だろう…。

まぁ…それはともかく…。

 最近の保健科目では、麻薬の名前や俗称を教えていて、ちゃんとテストにも出るらしい。
アヘン…モルヒネ…ヘロイン…コカイン…覚せい剤…MDMA…LSD…等々の分類の他にも、スピード…エクスタシー…チョコ…エンジェルダスト…等々の俗称などを覚えるのだとか…。

身体に害のある違法なものを買わないように…使わないように…転ばぬ先の杖で生徒たちに正しい知識を身につけさせようということなんだろう…。
保健の学習内容も時代につれてどんどん変わっていくんだなぁ…。

昨日の夕食時に…ふたりが何気なく…そんな話をし出した…。

点が取れなくても親に聞かれて差し障りのない科目であるから…夕食を食べながらお互いの高校で出た問題について答え合わせをしている…。

「覚せい剤…の俗称は何だったけ…? 」

ひとりが訊いた…。

「えぇと…それは…ね。 スピ…」

もうひとりが答えようとした時…突然…オカンが言った。

「シャブッ!! 」

えっ…?

引きつるdoveちゃんず…。
二の句が継げない…。

「祖母ちゃん知っとるよ。 シャブというんだが…。 
こういう人が言っとるでしょ…。 」

ほっぺたを指で斜めになぞる…。

う~ん…それは…そうなんだけど…。

ぎゃはははは~!

笑い転げるdoveちゃんず…。

「あり…? おかしいかな…? 」

う~ん…おかしいというか…なんというか…。

シャブも俗称で…間違いではないのだが…オカン…。
ちょっと…世界が…。

その呼び方は多分…高校の保健の試験には出ない…と思うぞ…。










オカン的…鳥の見分け方…?

2007-06-15 15:25:00 | オカン
 昨日は一日中…雨が降っていた…。
御蔭で紫陽花は元気…元気…。
花びらも随分と開いて先っちょの方がほんのり青味を帯びてきた…。

おかしいな…。
白のはずなのに…。

 ここ数年は白い花…それも一輪…二輪と花数が少なく…その代わりか…超大輪…。
昨年の夏から…新しい植木屋さんに来て貰うようになって…紫陽花も急成長…。
葉っぱも逞しい…良い紫陽花になってきた…。
花芽も幾つかついている…。

ひょっとして…今年は色も期待できるか…。

 十年ほど前はちゃんと青とかピンクとかの色がついていたのに…最近は白ばかりだった。
前に来ていた植木屋さんの使う肥料の成分のせいか…とも考えていたのだが…。

今年…ちゃんと色が出たら…原因が分かるぞ…。

 雨の中…昼御飯用に買った山菜おこわとイイ蛸の煮付けをかついでオカンが来てくれた…。
うちから実家までは車だと半時間ほどだが、公共の乗り物だと二時間近くかかる。
オカンは運転ができないから、ここまで来るのは大変…。

 いつもは別の路線の駅まで迎えに出るので、バスを使えばいいのだけれど、買い物があるから…運転も雨で危ないから迎えにこんでいい…と、わざわざ公共の乗り物を乗り継いでやってきた…。
親心である…。

 おこわと蛸を食べながら…散歩に行って見つけたザクロの話…紫陽花や俳句の話などをした…。
doveは滅多に俳句は詠まないが…オカンは一応…それなりに勉強した人なので…ほっくんパパさんのブログに出した俳句について…拙いところを指摘してくれた…。

 紫陽花や肩並べ居る影法師
 紫陽花や傘並べ居る影法師

素人doveのど下手な俳句だ…。
無論…出来不出来は論外…。
評価以前の問題だ…。

上のは…肩を並べて紫陽花を見ている人たちを詠ったもの…。
下のは…「紫陽花が咲いている…。雨の中…外灯の明かりで傘の影法師がふたつ並んでいたよ…。」或いは「紫陽花が咲いている…。明るい陽射しの中で日傘の影法師がふたつ並んでいたよ…。」のふたつの場合を想定して詠んでみたのだが…この俳句を見る人が玄人なら…そうは思わないらしい…。

傘といえば雨…。 雨の降っている昼間は影法師ができない…。
だから…傘を使うなら…影法師はおかしいのではないか…と…。

なるほどね…。

実は…日傘も紫陽花も季語なので…両方をひとつの句に詠んでしまうと季重ねになり…俳句としてはとても拙い…。
如何にど下手…素人のdoveでも拙いなりにそれは避けようと思った…。
それで…肩…或いは…傘…にしたのだが…。

訊いてみるもんだね…。

 尤も最近では、従来の決まりに拘らないで、自由に詠む俳句もあるようだ…。
超がつくほど下手ッぴなくせに形に拘るのは…doveが教科書で習った詠み方しか知らないからなんだな…きっと…。

 パパさんちのママゴンと部長の背中からふと思いついたんだから…傘よりずっと肩並べ…の方がよかったのかなぁ…。
ふたりは傘なんか持ってなかったし…何てことを考えた。

ところで…。

その後で…例のオシドリに似た野鳥の話をした…。

オスというには地味で…メスというには派手…オシドリの幼鳥は真っ白だというから…幼鳥から成鳥になる前段階なのかなぁ…。
それとも…まったく別の鳥なのか…。

「オスより地味でメスより派手か…。
そりゃぁ…オカマのオシドリだわ…。 」

「…。 」

野鳥の色合いは…そこで決まるわけじゃ…ないと…思うけどな…。
人間は…まぁ…見た目を変えられるけど…鳥は勝手に色を変えるわけには…いかないと思うぞ…。

それ以前に…。

オカマ…って…。
鳥にも…おるんか…オカン…?


 …ちょっと調べてみました。
実は以前NHKだったかTV番組でオシドリの色が変わったのを見たことがあるのです。 
自信はなかったのですが…それが記憶に残っていて…昨日…思い出したので…。
                                           
オシドリは夏になると羽色が変わりメスに近い色になります。
嘴の色だけがピンクがかっているそうです。
他の部位にも少し綺麗な色が残るみたいで…。
画像の野鳥は…夏羽に替わったオシドリのオス…とも考えられます。
本当にそうかどうかは分かりませんが…。
ちょうど今…季節ですから…。








もしもし…。

2007-04-04 15:00:00 | オカン
 電話をかけようとしているあなた…今…入力した番号…本当に合っていますか…?
受話器を取る人は…あなたがこれから話そうとしている相手でしょうか…?

呼び出し音が途切れて…相手の声が聞こえた時…。


 学生のころ…家には頻繁にオカンの友人や知人から電話がかかってきた。
最初にdoveが出ると大概…オカンの友人の第一声は…ごめんなさいね…ご主人さまがお休みの時に…。

違う違う…今のはね…。
ギャハハと笑いながらオカンが答える…。
どうやら…電話でのdoveの声は相当…低く聞こえるようだ…。

 あれは何時のことか…平日の昼中に電話がなった。
たまたま家に居たdoveが出ると…女の声で「○○米穀店さんですか」…と訊ねる…。
間違い電話だ…。

「いいえ違います…(どこかけとんじゃ…。) 」…と答えると相手は丁寧に謝りながら電話を切った。

しばらくすると…また電話が鳴った…。

「もしもし…○○米穀店さんですか…? 
同じことを訊く…。

「いいえ…違います…。(なにやっとんじゃ…。)
再び丁寧に謝りながら相手は電話を切った…。

またまた…しばらくすると電話が鳴った…。

その間…doveは二階から下へ…下から二階へ…行ったり来たり行ったり来たり…の繰り返し…。

「もしもし…○○米穀店さんですか…? 

「いい加減にせいよ…オカン…さっきからなにやっとんじゃ! 

「あり…? おまえ誰じゃ…? 

「誰じゃ…って…doveや…dove…。 ここはあんたのうち…。 
何べんかけても米屋には繋がらんで…。 」

どうしたの…dove母…?
受話器の向こうでオカンの上司の声がする…。

うっひゃひゃ~…家へかけとったわ…。
道理で繋がらんはずや…。
電話の中から…事務所の人たちの大笑いする声が聞こえる…。

はよ…切れ!


電話をかけようとしているあなた…自分ちの電話番号はきっちり覚えましょう…。
相手の電話番号は必ず確かめましょう…。

溜息…。





それは…ないんじゃない…?

2007-03-17 15:30:50 | オカン
 昨日で公立入試は終わり…。 良くも悪くも…これで行き先が決定する…。
結果が分かるまでに一週間…長いなぁ…。
まあ…何処に入学することになっても…それなりに楽しくやってくれれば…それはそれで…いいんだけどね…。


 部活とボランティアに明け暮れた高校生dove…相変わらず…勉強の方は適当…。
何しろ…doveの通っていた高校は田舎にあり…周りに鶏舎はあるわ…田んぼや畑はあるわ…牛舎はあるわ…馬まで居るというところ…。

 バス停から高校までの間に…蛇は居るわ…蛙は居るわ…雉まで出る始末…。
用水路の中には川モロコ…メダカ…近くの川で鮎を釣ったという噂まで聞く…。 

 そんな環境でdoveの頭が勉強に向くわけがない…。
部活がなければバスにも乗らず…友だちと連れ立ってわざわざ遠回りして…ふらふらと川岸を歩きながら…のんびり駅を目指す…。

 部活のある日には遅くなるのでバスで駅まで行くけれど…やっぱり…真っ直ぐ帰らずにほとんど毎日寄り道をする…。
そんな話をすると…まるで不真面目な悪い子ちゃんだったように聞こえるが…doveは堅物の至って真面目な高校生だった…。

 寄り道をする先はパン屋さん…。
ここにオカンくらいの齢の愛想のいい可愛いオバちゃんが居て…この人と話をしながらパンを買うのが…日課のようになっていた…。

何で毎日パンを買うのかって…?

そりゃぁあなた…自己防衛のなせる業…。
万が一のための備えなの…。

えっ…イモムシスープへの備えか…って…?

そんな生易しいもんじゃないの…。
イモムシスープでもありゃぁあなた…天国よ…。


 高校へ入学したての頃はそれほど頻繁に寄り道しなかった…。
部活で遅くなっても家へ帰ってから夕食を食べた。

…が…あれは学校にも部活に慣れた頃のこと…。

 その日の帰り…めちゃくちゃ御腹が空いていたdoveは…たまたまそのオバちゃんの店に寄ってパンを買って帰った…。
御飯だけじゃ足らないような気がしたから…。

家へ到着した頃には…みんな夕飯が済んでいた。 

 「あれぇ…あんたって…まだ帰ってきてなかったんだっけ…? 」

doveの顔を見た途端オカンが不思議そうな顔をした。

 「ただいまって…今…言ったやんか…。 」

何言っとんじゃ…と思った…。

 「うひゃひゃ…あんたが居らんことに気付かなんだわ…。
ちょっと御飯が多めに残ったもんで…残してもあかんと思って…無理して全部食べてまった…。
どおりで残っとったはずだわ…うひゃひゃ…。 」

・・・・・・・・・。

無理して食わんでもいいのに…。

 「どうしょう…? ラーメンならあるけど…? 」

気の毒そうに…というよりは笑いが止まらないオカン…。

 「まあ…ええわ…。 パン買ってきたで…。 」

危ねぇ…。 食いっぱぐれるとこだった…。
パン屋のオバちゃんさまさまじゃ…。

 doveの実家ではこういう場合…怒ってもしょうがない…。
溜息のひとつもついて…あるものを食べておく…。
オカンと暮らすには…すべてにおいて自己防衛が必要…。

うかうかしとったら飢え死にするわい…。

翌日から卒業するまで…doveのパン屋通いは続いたのだった…。





何が…何して…何とやら…。

2007-02-02 12:16:00 | オカン
 オカンがまだ…今の自分より若かった頃…。
近所のお年寄りが道端で大声で立ち話しているところをたまたま通りがかって…聞こえてきた話の内容に爆笑していたことがあった。

 「あれがあれで…あれしてあれなんだわ…。 」

 「ほうかねぇ…それで…何は…何して…何だね…。 」

 「それは…あれだぎゃぁ…。 」

 こんな感じで…傍で聞いていると何を言っているのかさっぱり分からないのに…話している本人たちには通じているらしい…。
お互いに納得して…ほうかほうかと…頷き合っている…。
本当に分かっているのかどうかは謎だが…。

案外…年寄り同士はあれで通じとるのかもしらんね…と…その時のオカンは言っていた…。

50を越えた辺りから…オカンの会話も何だか面白くなってきた…。

 「其処の…あれとって…。 」

 「どれだぁ…? 」

 「えぇっと…其処の何だわ…何…。 」

家の中の物だと…これでもなんとか通じる…。
前後関係と慣れで…。

が…外部の物だと通じないこともある…。

 「ほら…何だったぁ…あんたが言っとったやつ…あれあれ…。 」

どれだ…?

 「ほれ…あの人…何処其処の…あの人…。 」

誰だ…?

 「え~っと…なんだったけ…? 」

分かるかっ…!

オカン…通訳を雇え…通訳を…。
そんなことを言いながら親子でよく笑っていた…。


最近…。

 「ほら…学校の…あの人…えっと…おまえの…先生…。
なんだったけ…名前…? 」

 「ああ…○○先生か…。 」

よく…人の名前を忘れる…。

 「あっ…其処のそれ取って…。 」

 「これ…? 」

 「違う…えっと…その何の…それ…。 」

 「ああ…これね…。 」

 「そうそう…。 」

物の名前がすぐに出てこない…。

 「一分四十秒…チンだな…。 」

そう言いながら…レンジのボタンを押す際に忘れ…冷蔵庫にしまった冷凍食品の袋を再び取り出して確認する…。


だんだん…自分の会話が面白くなってきている…。
行動も…。




 

オカン…何…これ…? 

2007-01-20 15:15:00 | オカン
 とうとう受験本番に突入したね…。
これからしばらく大変な日が続くけど…全国の受験生諸君…頑張ってね…。
それぞれに良い結果が出ますように…。

 受験といえば縁起担ぎ…キット○ット…とか…うカー○…とか…最近は食品メーカーも受験にちなんだものを売り出しているけど…自分等の頃はだいたいオカンたちが手作りで豚カツなんかを揚げてくれた。

 試験日…覚えている時は…だけどね…。
忘れてると最悪…。
試験前にめいっぱい茗荷を食わされたことがある…。

知ってる…?

 茗荷は食べるとひどく物忘れすると言われているんだよ…。
だから試験前には…普通は食べさせない…はず…なんだけど…なぁ。

試験の結果が最悪だったのは…そのせい…じゃないことは…ちゃんと分かってますって…アハハ。

 まあ…オカンのやることが何処かおかしいのは毎度のことで…いちいち気にしてたらきりがない…。
運動会の弁当が箱一面焼きそばで…おまけに箸がない…って話を前にしたけど…遠足でもやられたからね…箸なし弁当…。

受験生のお母さん…お父さん…弁当だけは忘れ物ないように頼むよ!

 自分の時代の弁当はオカンの手作り…全部茶色いおかず…の弁当だったけれど…弟の時代になると冷凍食品が出てきて…少しだけ見た目が良くなった…。
今と違ってレンジがないから…焼いたり揚げたりはしなきゃいけなかったけど…。

 見場が良くなったと言っても…オカンの腕に期待してはいけない…。
冷凍食品の会社が期待しているような出来具合に仕上がると思ったら大間違いなのだから…。

ある朝…弟の皿に妙な物体が乗っていた…。
それは揚げ物のようではあるが…何を揚げたのかさっぱり分からない…。
ひと口大の小さな物体だった。

弟が学校へ出かけてしまってから…はっと気がついた…。

 「オカン…失敗こいたやろ…。 」

そう言うと…イヒヒ…とオカンは笑った。

 「難しいんだわ…あれ揚げるの…。 なかなか上手くいかんで…。 」

そうだろなぁ…火加減…考えとらんもんな…。

 弟の皿のあの物体は…実は蟹クリームコロッケ…。
新しい味を弟に食べさせてやろうという親心は分かるのだが…。

 全然…中身が入っとらんのだ!
揚げを失敗して大爆発…哀れ中身は油に散乱…形をとどめていない…。

残った皮だけが弁当のおかず…何だか分からんはずだ…。

 「それでも…あいつは気付かんもんで…そういう食べもんだと思っとったで…。
よくしたもんだわ…ははは…。 」

 ははは…って…弟よ…それくらい気付け…。
蟹クリームなしの皮コロッケ…まあ…そこそこ味はしみとるから…おかずにはなるだろうが…。

 
オカンのわけの分からん料理の反動か…自分はなんとか自力で料理を覚え…上の弟はめちゃめちゃ料理のうまい嫁さんを貰った…。
 
 分からん料理の被害者…下の弟…。
上と同じく…自力で料理を覚え…その上に料理のうまい奥さんを貰い…今では家族の中で一番…料理にうるさい…。



 

寄生虫より怖いのは…。

2007-01-10 11:11:11 | オカン
 虫下し…という言葉を知っているだろうか…?
40歳以上の人なら…なんとなく覚えているかも知れないな…。
強制的に飲まされた人も…結構居るだろうから…。

 昭和40年より前の一般の人たちの生活は衛生状態があまり良好ではなくて…御腹の中によく寄生虫が居た…。
蟯虫や回虫などが…知らぬ間に寄生しているのもそんなに珍しいことではなかった…。
 
 これらの虫は人の身体に寄生するだけでなく悪さをするので…薬を飲んで殺して排出するのだが…この薬のことを一般に虫下し…と呼んでいた。

 衛生状態が改善されてくるに従って、回虫の方はあまり見られなくなったようだが、蟯虫の方は未だに感染する子供たちがいるらしい…。

 回虫があまり見られなくなったといっても、刺身などを食べて回虫に寄生されることがある…。
ひどい症状を起こして、回虫を除去するために手術をした人も居ると聞いている…。
魚やイカなどの生食にはよく注意した方が良さそうだ…。


 あれは…まだ自分が学生の頃だったと思うが…ある晩…オカンがイカの刺身を買ってきた…。
家族揃って刺身好き…おいしそうなイカ刺しに一斉に箸をつけた…。

 みんながすでにひと口めを飲み込んでしまった後で…妙なことに気付いた…。
イカの端っこから糸のようなものがニョロッと出ている…。
 しかも…そいつは動くのだ…。
ぐにゃ~っと身体を曲げて…頭をもたげる…頭かどうかは分からないが…。

何じゃこれ…寄生虫と違うか…?

 慌てたオカンはすぐに近所の内科の先生のところへ電話をかけ…どうしようかと相談した…。

 虫下し…飲まんよりは…飲んどいた方がいいでしょうなぁ…。
効くかどうかは…分かりませんが…。

 御医者の先生がそう言うので…親父が早速…薬を取りに行った。
誰もまだ症状が出ているわけではないので…先生としてもどう対処のしようもなかったのだろう…。
勿論…イカは処分した…。

 シロップ状のその虫下しは、ひとりずつ何回分かプラスチックの容器に入れてあって、一回にひとメモリずつ飲めばよかった…。


夜更けて…オカンがふと親父の薬瓶を見ると…オカンのより多い…。

ありゃ…お父さん…飲み忘れとるわ…。

 オカンは子供たちにも飲んだかどうかを確認し…すでに寝ている親父をわざわざ起こし…薬飲んだ方かいいよ…というようなことを言った。

いや…俺は飲んだぞ…。

親父はそう答えた…。

家族の誰もが飲んだと答えた…。
絶対飲み忘れとる…と思いつつ…オカンもそれ以上は言わなかった。

寄生虫は怖いで飲んどいた方がいいのに…。
それとも…自分の薬だけ瓶に入っとった量少なかったのかな…。

おかしいおかしいと思いながらも…オカンはそのまま寝てしまった…。


 翌朝…起き上がれなかったのはオカンひとり…。
めちゃくちゃ具合が悪くなっていた…。

寄生虫にやられた…? それとも…イカにあたった…?

とんでもない…。

薬物中毒…原因は虫下し…。

オカンは自分が虫下しを飲んだことをすっかり忘れて…寝る前にもう一回飲んでしまったのだ…。

薬の残量を見て…みんなが飲み忘れているのではないかと思い込み…ご丁寧にも親父を起こし…飲ませようとした。

 もう少しで枕を並べるところだった親父と子供たちは記憶が確かで難を逃れた…。
唯でさえ…体重が少なくて薬に弱いオカンが人の倍も飲んでしまったのだから…効果覿面…。
 腹の中に実際に居るかどうかも分からない虫を殺そうとして…自分を殺しかけたというわけ…。
しかも家族全員を道連れに…。

dove家…まさに…危機一髪…。

 いやぁ…虫下しの飲み過ぎってのは…ホンマに気分悪いで…。
きつい薬だわ…。
もう少しで一家心中やな…。

すっかり薬が切れて…回復した時にオカンはそう言って笑った。

あんたねぇ…笑い事かい…。

 虫下しは…言わば毒なの…。
回虫…殺すんだから…。
気い付けないと…人間も死ぬんだってば…。

 虫下しの飲み過ぎで一家全滅したんじゃ…オカン…新聞ネタにもならないよ…。
落語のネタには…なるかもしれないけどね…。



 

年末…福引…大当たり…?

2006-12-30 22:00:00 | オカン
 前にも話したことがあるかもしれないが…自分はくじ運がめっちゃ悪い…。
たとえ…抽選券が何十枚存在しようと…当たりくじが増量されようと…自分のくじ運には無関係のようだ…。

 それが…一度だけ…大当たりしたことがある…とは言っても小さな店の福引だからたいしたものじゃないんだけど…。
抱えられるくらいのわりとでっかい白いうさぎのぬいぐるみ…子供がまだ小さかったから大喜びした。

 まあ…だいたいティッシュだね。
はずれくじの定番…。
だから…宝くじも買わない…。

 逆に大当たりするのが…○○の役員とか…××の委員長とか…これもくじ運…。
お役目とお仕事ばかりがやってくる…。
運が悪いというべきなのか…良いと考えるべきなのか…。


 福引といえば…今も昔も買い物の楽しみだけど…昔は今じゃ考えられないような物も景品になっていた…。

 現代ではほとんどの成人女性が運転免許を持っているけど…自分の子供の頃は男でも持っていたりいなかったり…。
女性が運転するのはお転婆…だと思われていた頃だ…。

御多分にもれず…オカンも免許を持っていなかった…。

 年末の買出しに出掛けたオカン…いっぱい買い物をした後で福引をした。
それが…大当たり…!

なんとなんと…ブリキのガンガン…。
それもおっきいのふたつ…。

分かる…?
ブリキのガンガン…。

 昔の衣装ケース…長さ約90センチ…幅60センチくらいかな…。
鈍い銀色…金属だから結構重いの…。
それがふたつ…。

 喜んでいいのか…悲しんでいいのか…。
オカン複雑…。

 当時は家庭に電話なんかないから…えらいの当たっちゃったの…お父さん迎えに来て…ってわけにもいかない…。

 とにかく…オカン…両手にいっぱいの荷物を持ち…両脇にガンガン抱えて…商店からの道のりを…えっさほらどっこい…歩いて帰ってきた…。
その姿たるや…見たからには…笑うしかない…。

 ほんとに重くて…泣きそうだったわよ…。
あの頃は若かったからねぇ…今なら誰かにあげちゃうかも…。

思い出すと…そう言って笑う…。

 まあねぇ…自分なら…預けておいて…後で取りに来るけどな…。
それができなきゃ…やっぱり…あげちゃうかもなぁ…。
だって…普通…そう簡単に抱えられないよ…あれ…。

 そう…オカンが大きなガンガンを抱えられたのにはちょっとしたわけがある…。
普通の人より腕が長いのだ…。
…にしても…よく…ふたつも抱えて帰ってきたよな…。
40キロあるかないかの体重の…その細っこい身体でさ…。

 ちょっと…どっか妙ちきりんで可笑しくても…母はやはり…偉大なんである…。
手に入れたものは放さない…オバサン魂!
これがなきゃ…やりくり生活は成り立たないって…。

 できれば…もそっと…いいものが当たると良かったね…オカン。
温泉旅行…とか…テレビ…とか…さ…。
 テレビ背負って帰ってきたら…みんな大喜びするぜ…。
ぜいぜい…言ってても誰も笑わないかも…。


おっと…こんなことを言ってると…ばちが当たるかな…。

おふくろの味…?

2006-12-15 17:38:07 | オカン
 あなたにとって御袋の味とはなんですか…? 
そう訊かれたら…う~んと唸ってしまうかもしれない…。
強いて言えば…おにぎりとおでん…なんだけど…。

そうなんだけど…この御方の場合…多々難有り…。
 
 言っちゃ何だがはっきり言うと…オカンは料理が下手だ…。
子供の時分から料理をしているにも関わらず…味がまったく安定しない…。
 同じものを作っても日ごとに味が変わるから…どれがオカンの味か分からない…。

汁物ひとつとっても…水のように薄い時もあれば…喉がえらえらしそうなくらい塩っ辛い時もある…。

 これはすべての手料理に言えることで…シャビシャビのカレーとゴテゴテのカレーだったり…味のない煮物と佃煮のようになってしまった煮物だったりするから…何が御袋の味か…と訊かれても…はっきり答えようがないのだ…。

同じ材料使って同じもの作って…毎度これだけ違う味になるってのも…ひとつの才能かもしれないのだが…。


 前にも書いたけれど…オカンは虫が嫌い…。
野菜なども栄養がとんでしまうほどごしごし洗う…。
菜っ葉なんて一枚一枚洗わないと気が済まないほどだ…。

それなのに時々…脱走しているのが居る…。
運がいいのか…丈夫なのか…。

サラダボールの縁をのんびり尺とっていらっしゃる青虫くん…。

オカン…一生懸命…何洗ったの…?


 あれは…旅行か…合宿から戻った夜…だったと思う。
みんなが夕飯を食べ終わったところに帰宅した…。
オカンは優しく野菜スープを温め…大皿にたっぷりとよそってくれた…。

疲れて空腹だった自分は喜び勇んでスプーンをスープに…。

ベロ~ン!

5センチほどのイモムシが…具になっている…。

プカ~ッと浮いていらっしゃる…。

オカン…だしが…よう…きいとる…な…。

ありゃりゃ…っとオカンは覗き込んだ。
だしが出た後でこれじゃ…もっと大きいのだったんだねぇ…。
あはは…みんな食べちゃったよ…。

あはは…って…何洗ってたんかねぇ…?

 まあ…仕方がないのでイモちゃんだけ捨てて…スープは食べた…。
白菜しか食っていないイモちゃんは毒ではないだろうけれど…。
プカ~を見ちゃった後では…美味しいとは思えない…。

溜息…。

えっ…そんな気持ちの悪いスープを食べたのかって…?
そうなの…そうしないと生きられないの…我が家では…。

なぜかって言うと…オカンは常習犯なのだ…。

ほうれん草のおひたしの茎と茎の間に…デロ~ン…。
十六ササギの間にノベ~…。

いちいち食べずに捨てていては…おかずがなくなる…。

死活問題なの~!
それも…何故か…決まって自分の皿にだけ出現するのだ~!

運が悪いだわ…とオカンはけらけら笑う…。

 あのな…イモちゃんの皿は自分のだけど…あんた食べた野菜も一緒に湯がいたやつでしょうが…。
だしは同じ…出てんだよ…い~っぱい…。

 あれだけ洗って何故…とも思うのだが…。
考えてみるとごしごし洗ってるということは…イモちゃんは逃げる間もなく一緒にごしごしされて目を回し…束ねられ…鍋に放り込まれたわけで…。

よく洗われたイモちゃんだから…清潔よ…ってなことで…済むかっ!


自分の御袋の味って…イモちゃんスープのだし…なんだろうか…?

う~ん…。