徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

大掃除の焚き火番

2006-12-01 15:07:00 | ひとりごと
 とうとう師走だね…。
何だかんだ言って今年も…もう…終わり…。 この齢になると一年が早いよ…。
この先もどんどん早くなっていくんだろうね…。 

 大掃除の季節なんだけど…毎年なかなか重い腰が上がらなくてね。
いつもぎりぎりのいい加減でお終い…。
弛んでるなぁとは思うんだけど…面倒くさいのとしんどいのと…。

 最近では大掃除をやらない人も居るらしいね…。
やらないぞ…って決心できたら気が楽なんだけど…何しろ…年末は大掃除するもんだと子供の頃から脳に刷り込まれているからなぁ…。

 あの頃は…今よりもっと大変だった。
家中の畳を上げて外に出し…蒲団叩きのようなもので埃を叩き落とす…。
 畳の下の板の上に敷いてある湿気避けの紙を取り替えて畳を嵌めこむ…。
昔の畳は職人の手作りした生き物だから…畳を上げる段階で何処の畳か位置を覚えておかないと嵌めこむのが大変…。 

 障子の和紙を取り除いて新しい和紙に張り替える…。
毎年…親父が糊を炊いていたよ…。

 市販の接着剤じゃなくて…でんぷん糊…。
使ったこと…あるかな…。 小麦粉とか片栗粉を炊いて作った糊だ…。
障子紙も…今は桟に会わせて大きいサイズ一枚をぺたっと貼るらしいんだけど…当時は細い巻紙だった。

 親父は手先が器用な人で障子張りが上手かった。
障子紙が歪んだり…撓んだりすることもなく…いつもピンッとしていた。
 残念なことには…長持ちはしない…。
しばらくすると…必ず…穴を開ける不届き者が出現するからだ…。
わざとじゃないんだけどね…。

 神社や寺だけじゃなくて…当時は普通の家庭でも焚き火をした。
ことに年末はたくさんゴミが出るから…それぞれの家で燃やして処分したんだ…。

 少し前…ダイオキシンなどの環境問題が騒がれるまでは家庭用の簡易焼却炉を持っている家もあったんだよ。
今なら焚き火なんかしたら…即…通報されちゃうだろう…。

 毎年…親父が焚き火番をしていたんだが…いつの間にか代替わりして…高校生くらいからは自分が焚き火番をするようになっていた…。

 火を熾し…ゴミを焚き…消して後を片付ける…。
焚き火をするのは何とも心楽しい…。 

赤々と燃える火とパチパチと軽快な音…木や紙の焦げる匂い…。
冬の凍てつく外気の中で…そこだけは温かい…。

 火にあたっている身体の前面の熱さと…背中の冷たさ…。
まるで餅でも焼くように自分の表と裏を交互に温める…。
ストーブよりもずっと気持ちいい…。 

 焚き火番の特典として…実は内緒で焼くものがあった…。
それは…他人さまには絶対見せられないテストや成績表…。
親にも見せない代物…まあ…見せろと言われたことは一度もないけど…。

 浮世の恥は煙となって空へ舞い上がっていく…。
あははは…証拠隠滅だぁ…。 

 今なら…何を焼きたいだろう…?
歩んできた人生をすべて焚き火にくべて…まっさらな人生を手に入れる…。

 だめだね…それは…望んでも得られないものだよ…。
どんな言い訳したって…本当に歩きたかった道を…行かなかったのは自分自身だから…。

 このまま…行くしかないね…。
口笛でも吹きながら…さ…。