徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

ぶらり…旅…⑥ 知床(天然…氷の滑り台)編→変…?

2006-12-27 11:21:31 | ぶらり…旅
 朝食が済むと急いで仕度をしてユースでノルディック用のスキーを借りた。
こんなスキー板は初めてだ…。
 なんたって爪先だけが固定されていて…かかとが自由に動く…。
あ…そうか…これじゃなきゃ遠距離歩けないもんね…。
でもなんか変な感じ…。

案内のお兄さんがひとり付いて…少人数で滝を目指すツアーが始まった。

 自分たちの選んだツアーの他にも更に遠くまで行くツアーもあったのだが…初心者としてはこれが限界…だって付いて行くのがやっとだったもんな…。
如何に日頃運動不足かを露呈するツアーとなった。

 友だちはスキー慣れしているから平気だけど…自分はスキーも始めたばかり…無駄な力ばかり使ってぜいぜい言っていた。
運動部だった高校の頃の体力はいったい何処へって感じ…。

ノルディックの選手ってこんなしんどいこと毎日のようにやってるんだねぇ…。
尊敬しちゃう…!

 知床の雪原を行く…。
ぜいぜい言いながらも気分は爽快…。
 だって…一面…雪…雪…雪…。
向うの方に森だか林だか…が見える…。

何…この身体の重さ…情けねえ…。

 滑るのとも違ってスキーを履いて歩くのは、長靴で地面を歩くよりずっと大変…。
だけど…雪原は長靴なんかじゃ到底歩けない…。
雪に足をとられて前へ進めないんだって…。

 やっとこさっとこ目的地到着…そのまま見れば崖があるだけなんだけど…。
はい…ここでスキーを脱いで…という案内のお兄さんの言葉でやっとスキーをはずす…。

 ここから覗いて見て…と言われて崖の上から恐る恐る覗くと…何と其処は滝の真上…しかも…カッチンコッチンに凍った滝…。

 下まで降りるからね…とお兄さん。
めちゃくちゃ上手に天然の滑り台となった滝を滑り降りて行った。

 下で止めてあげるから…ひとりずつゆっくり滑り降りてきて…。
落ちたら氷の海ん中へドボンだからね…。

 そう…ここんとこ二十年ほど滑り台なんて滑っていないけれど…そこは童心に帰って…って結構高いよ…この滝…!

凍った滑り台はゆっくりしようと思ってもゆっくりはできないと分かった。

 降りたところは実は海…凍っていて…流氷もあるから陸のように感じるだけ…。
夏だったら絶対来られないところなんだよ…と教えてくれた。

 振り返って見上げると…其処は自然の作った大迫力の造形作品…流れ落ちたままに凍ってるんだから…。
言葉にならないくらい幻想的…。

これってさ…時間がここで止まったってことだよね…。

 この滝が…例えば…もし12月10日に完全に凍ったとすると…この氷柱みたいな形の尖端っていうのは12月10日のまんまなんだ~!

なんか…感動…!

…感動は長く続かなかった…。
この切り立った崖を…登るの…これから…。

降りる時は楽だけど…登る時は地獄…再び…ぜぇぜぇはぁはぁ…の世界…。

そのまま居たら凍死するので…嫌でも帰らなきゃならない…。
ようよう…登り切ると…また…あのスキーを履いての歩きが待っている…。

いや…歩き…ならまだ良かったんだけど…。
帰りは雪の積もった林の中の道なき道を滑って帰る…初心者にとって恐怖の体験が待っていた…。

なぁに…滑るのが怖いんじゃなくて…超ノロいの…自分だけ…。
みんなスキーが上手いんだぁ~!

涙チョチョギレそうなくらい情けねぇ~!

それにしても…なんでこんなに滑りにくいんだろう…?
何か板が妙に引っ掛かるんだよね…。

…でやっと…ユースに辿り着いたら…なんと自分の借りたスキー板が裂けたように折れてることが分かった…。

スキー壊しちゃったぁ~!
うっそぉ~!
こけてもいないし…ぶつけてもいない…歩いて滑っただけなのに…?

顔面蒼白…。
恐る恐る返しにいって…壊しちゃいました…と謝った…。

すると…ユースのお兄さんはにっこり笑って…。

スキー板は初心者が歩いただけで折れるようなもんじゃないよ。
これ…最初から壊れた板を持っていったんだよ…。

そうなのぉ~?

それを聞いて…ほっとした…。

 考えてみれば…自分の持っている普通のスキー板は…容赦なくこけまくっているわりには折れたことないもんなぁ…。
けど…あれ…割り当てだったから自分で選んだわけじゃないんだよね…。
大当たりしちゃったんだ…。

 何はともあれ…無事…ツアーから戻って…その日の昼食はユースの外へ出た…。
町の小さな食堂…ユースの人たちが来ていた…。
ユースの仲間のお勧めは…いくら丼…観光客用じゃないこの店のいくらはしょうゆ漬けで…小鉢にたっぷり…お値段もめちゃ安…。
財布に優しくてオイシ~!

 アイヌの人が開いている木彫りの店でお土産を物色…。
そこで留守番をしていたのは本州から木彫り修行に来ていたお兄さん…。
アイヌの師匠の腕前について熱く語った。

 お兄さんに勧められて…鷹の爪だか熊の牙…だかを模った木彫のトップを細い革紐でつるしたペンダント…チョーカーにしては長過ぎる…を買った。
魔除けなんだって…。

 買い物をしていると…可愛いお嬢さんが学校から戻ってきた…。
目がくりくりっとしたアイヌの人の顔立ち…。

 ねっ…分かるでしょ…。
師匠の木彫りの女性の顔…みんなお嬢さんの面影があるんだよ…。
お兄さんはにこにことそう言った。

うんうん…確かにそうだ…この木彫り…愛情こもってるんだねぇ…。
頑張ってね…お兄さん…。

 その店からさほど離れていない店で…木彫りの体験ができるというので…実は昨日から通ってプレートを作っていた。
ここは元気いっぱいのお母さんが切り盛りしている…。
馴染みの観光客も多いらしい。

 夕方…旅立つつもりだったので…大至急仕上げ…。
仕上げるには仕上げたけど…友だちがもう一泊しようと言い出したので…そのままユースに留まることにした…。

ここで釧路か登別を断念することになった…。
それは明日考えることにして…疲れたことだし…押入れみたいな寝床へ…。

ああ…今日も楽しかったなぁ…。
それじゃ…また明日ね…。


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