徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

親父のクリスマス

2006-12-24 22:56:56 | 親父
 小さなもみの木…今は思い出の中にしか存在しないクリスマスツリー…。
新しいもの好きの親父は子供たちのために小さなもみの木を買ってくれた…。
それが何時だったのか覚えていないから…長子である自分がまだ幼い頃だったんだろう…。

 偽物の木ではなくて生きたもみの木…まだ赤ちゃんのツリーだ…。
そのツリーに玩具の飾りをつけて貰って、小学生低学年くらいまでは家族で楽しんだ…。

 赤…緑…金…銀の光る玉…色とりどりのモール…ステッキ…天辺に光る星…。
物語の挿絵の小型版みたいな感じ…。

 親父は昭和の始めの生まれだから、クリスマスに何ら思い入れがあったわけでもなく、クリスマス・パーティをしようというわけでもなく、クリスチャンでもないが…きっと…子供が喜ぶと思ったんだろうな…。

 もみの木は次第に大きくなって、狭い部屋の中に飾ることができなくなった。
多分…親父がやったんだろうけど…いつの間にか庭に植えてあったのを覚えている。

三度目に引っ越す時にそのまま庭においてきてしまったけど…。


 自分らの子供の頃には…サンタクロースは外国にしか居なくて…プレゼントは会社のボーナスが出た後に大型スーパーの玩具売り場や本屋で買って貰った。
三人の子供に必ずひとつずつ…。

 親父は玩具もゲームも大好きで…買うと自分が率先して遊んでしまう…。
レールつきの電車や…コースつきのレーシング・カーなんかはどちらかというと親父の方が夢中になった…。
 子供よりも子供になって遊ぶ…オカンは今もその姿を思い出しては笑う…。
そういう時の親父は…愛すべき永遠の少年なんだろう…。

 クリスマスと言えば…ケーキ…。
あの頃はまだ生クリームなんて一般的ではなくて…バタークリームのケーキが庶民のケーキだった…。

 無塩バターと卵白と砂糖…で作ったバタークリームを生地の表面に塗ったカチッとした食感のケーキだ。


 オカンが毎年ケーキを買うのだが…忘れているといけないとでも思うのか親父も会社の帰りにどこかに寄って買ってくる…。
ケーキが二個でイブとクリスマス両方…生クリームのケーキを二個家族で平らげるのは…甘党ならそう難しいことじゃないが…バタークリームは手強いよ…。

 アイスクリームケーキなるものが始めて一般に登場した時には…どこに注文したのか…その年…早速手に入れてきた…。
やっぱり…クリスマスには普通のケーキが良いということになって…二回で止めてしまったけれど…。

 甘辛両党の親父だから…自分が食べたいというのもあったんだろうが…子供が喜ぶ顔を見るのが嬉しいという気持ちの方が大きかったんだと思う…。
新しいもの好きの親父は…自分の子供の頃にはなかった楽しみを子供たちに与えてやることで…それなりに楽しんでいたんだろう…。

 今…親となった自分たちがサンタクロースになって…夜中に子供の枕元にそっとプレゼントを置いておくように…。


メリー・クリスマス…皆さん!

幸せなクリスマスをお迎えになりますように…!

世界中の子供の未来が輝けるものでありますように…!

あなたの流した涙が…汗が報われる未来でありますように…!

メリー・クリスマス…!