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康仁(こうじん)堂28味生髪方

2012-08-08 08:50:00 | ブログ

使用生薬の解説その二

康仁堂28味生髪方:杜仲 桑寄生 菟絲子 肉蓯蓉 枸杞子 何首烏 熟地黄 当帰 白芍 川芎 桑椹子 益智仁 酸棗仁 五味子 黄耆6g 桂枝4.5g 竜眼肉 側柏葉 補骨脂 女貞子 旱蓮草 茯苓6g 白朮4.5g 遠志 牡蠣 丹参 山薬 大棗6g

使用生薬について説明する。味、温熱涼寒平、帰経、作用、補記の順で行う。

益智仁和名 やくちにん 中国名 イージーレン)辛 温 脾心腎 温脾止瀉摂唾 暖腎固精縮尿 補陽薬である益智仁の特徴は温脾作用による温脾止瀉作用があることである。益智仁の摂唾シャトウ)作用は脾虚の涎(よだれ)患者に効くということである。脾虚益智仁の補腎作用は後述する補骨脂(破故紙)に比較して弱いが、固精縮尿作用があり、臨床では、腎虚の特に老人の夜尿や、尿漏れに有効である。「脾は後天の源であり、腎は精を蔵し其の華は髪に在り、肝は血を蔵し、髪は血之余りなり」が益智仁を処方に加えた理由である。

酸棗仁中国名 サンザオレン 和名 サンソウニン)甘 酸 平 心肝胆脾 補肝寧心 収斂止汗 通称サネブトナツメの成熟種子である。養心安神薬に分類される。心肝血虚の不眠症などに効果がある。盗汗や自汗にも効果がある。

遠志おんじ) 苦 辛 温 心腎肺 安神益智 豁痰開竅 散欝化痰

通称イトヒメハギの根あるいは根皮である。

養心安神薬に分類されるが、遠志には「怪痰」の痰を消す作用と抑うつ状態の改善作用がある。心腎不交の不眠症には遠志を用いる。安神薬で温薬は遠志のみで、故に胃熱がある場合は不適とされる。中国では通常10g以下を使用量とする。

五味子中国名 ウーウェイズ 和名 ゴミシ酸 温 肺心腎 斂肺益腎 養心益気 収斂固渋 生津止渇 五味子は多彩な効能を持つ。肺渋腸薬に分類される五味子と?梅の共通点は、斂肺、止瀉、生津作用である。五味子の腎経から由来する特徴が、補腎作用があり遺精に有効とされるものだ。五味子の心経から由来する特徴が、養心安神作用があり、不眠症にも有効であるということになる。斂汗作用の中身は、自汗、盗汗を改善することである。

康仁堂28味生髪方に配合した訳は、養心益気(安神)と生津止渇作用のためである。安神作用はもちろん必要だ。加えて津血同源ともいう。

私個人には五味子は「留陽」、桂枝には「通陽」というイメージがついて回る。アトピー診療で五味子を私が使用しない理由は「留陽」作用のためだ。当院の趙博士は五味子には「補心陰 斂心気」の作用があると言う。彼の持つ「五味子」の世界と私の世界は若干違うようである。「五味子の臨床」として後稿(後講)を行うつもりである。

黄耆中国名フアンチー 和名 おうぎ)甘 微温 脾肺 補気昇陽 益衛固表(衛とは衛気の衛を指す)托毒生肌 利水消腫

代表的補気薬である。黄蓍の補気昇陽は脾、肺の気虚に効果がある。特に脾胃気虚、中気下陥(脱肛、子宮脱)に有効であり、人参と一緒に使用されることが多い。生黄蓍に比較して炒黄蓍の方が、補気昇陽作用が強い。「補中益気湯が代表方剤」である。

益衛固表(衛気の衛)の作用とは、衛気を養い止汗作用、抵抗力(免疫力)を増加させる作用を指し、喘息や気虚の寒邪の風寒に(精気不足の人のカゼに)に有効である。有名方剤としては、白朮と共に「玉屏風散」中に配合され、小児の反復性扁桃腺炎の予防治療に効果がある。

托毒生肌の作用とは、熱毒が深い所にある瘡瘍に用い、皮下の膿瘍を早く排出させる作用を指す、非感染性の「貼骨疽」に用いる。感染性瘡瘍の場合には早期には用いない。虚症の寒邪の瘡瘍に用いるのが一般的である。

利水消腫作用とは、黄耆の場合健脾利水を意味し、脾虚による水湿停滞などに効果がある。脳卒中後遺症に補気と活血を目的に「補陽還五湯」中に配合されている。

消渇(糖尿病)には、山薬、麦門冬、天花粉(清熱、養胃生津)などと一緒に配合される。黄耆が君薬である補中益気湯はあまりにも有名であるので説明は省略する。「当帰補血湯」の君薬も黄耆である。方剤学では、乾燥重量比 黄耆5未満:当帰1は気血双補、51になると補血、20以上:1になると活血に作用するとある。補気薬である黄耆は「気能生血」が原理で「補気生血」が治療用語となる。当帰との相性がいい。ちなみに、前述した「補陽還五湯」中の黄耆:当帰の重量比は201である。組成は黄耆 当帰 桃仁 紅花 白芍  地竜であり、方剤構成は桃紅四物湯から熟地黄を去り、黄耆、地竜を加味したものとなっている。黄耆は今後、アレルギー、腫瘍免疫などの分野で研究の発展が期待されている。

桂枝中国名グイジー 和名ケイシ)辛 甘 温 肺膀胱心 発汗解表 温経通脈 通陽化気=温通経脈

帰経に肺膀胱心に加え脾肝腎をくわえる日本の清書もあるが、桂枝は血分に入り、気血を温め経絡を改善する温通経脈(通陽)の作用があるためであると推測する。例えば、風寒による心筋炎は心陽が下るので桂枝を使う。麻黄と共に代表的な辛温解表薬である。風寒の無汗(表実)、有汗(表虚)を問わず、表実虚両症に効く。

温経通陽とは経絡の陽気を通し陽気を上げることを意味する。例を挙げれば、脾陽が下がると、水液(肺、腎、脾)の代謝異常が生じる。

通陽化気とは、主として腎陽、脾気(陽)を活発にして腎、脾の気化作用(代謝作用)を強めることを意味し、脾腎陽虚の痰、飲に対して温薬である桂枝を使う根拠となる。昔から、カゼ引きの患者に対する処方のポイントとして、患者に発汗がある場合は桂枝(桂枝湯)を使い、ない場合は麻黄(麻黄湯)を使うとある。但し、漫然と桂枝を使用してならない場合として、生理過多、妊婦(温通経脈作用は同時に活血効果を出じさせるので禁)熱性の病気、ほとんどのアトピー性皮膚炎を私は挙げたい。

竜眼肉中国名ロンインロウ 和名リュウガンニク)甘 温 心脾 補心脾 益気血 養心安神

竜眼肉は補気作用と同時に補血作用があり、養血薬として分類されることが多い。その帰経は心と脾であり、補心作用は養心安神として不眠症に、補脾作用は消化不良に用いられる。中国では産後の補薬として有名で、黒砂糖+竜眼肉+卵のスープが愛飲されている。ところで、中国には産前宜清 産後宜温という言葉がある。

妊娠中は涼性の薬剤や食品、産後は温性の薬剤や食品を摂取するのが望ましいという意味である。反して、妊娠中に多量に竜眼肉を食すると出血、口内炎、流産の恐れがある。

竜眼肉の養心安神作用が入っている有名方剤が「帰脾湯きひとう)」である。帰脾湯の組成 茯神 酸棗仁 遠志 白朮 黄耆 人参 木香 当帰 炙甘草 竜眼肉など、グリーンは平薬、赤は温薬です。全体として「温」の性質を持つ。茯神 酸棗仁 遠志 (竜眼肉も含め)は精神安定作用のある生薬である。白朮 黄耆 人参 木香の組み合わせは、健脾作用により胃腸機能を強める。木香は益気補血薬に伴いやすい胃腸のもたれを改善する。当帰、竜眼肉は養血に働く。日本のエキス剤には「加味帰脾湯」がある。帰脾湯に柴胡と山梔子を加味したものだ。柴胡は涼、山梔子は苦寒であり、帰脾湯の温薬としての性質を、やや涼にしたもので、いらいら、のぼせなどの肝郁化火(がんうつかひ)の症状が伴った場合に用いられる。

側柏葉中国名 ツァーバイイェ 和名 ソクバイヨウ)苦 渋 微寒 肺肝大腸 涼血止血 祛痰止咳 止痒 生発烏髪

通称コノテガシワの葉、或いは葉のついた枝である。中国では、老酒に浸して頭部の掻痒に外用されている。涼血止血とは血熱妄行による出血に対する止血作用であるが、日本では漢方の現場に患者さんが現れることは稀である。生発烏髪作用は何首烏のそれと類似するが、痒みと頭皮の赤みを伴う、炎症性の部分脱毛には効果がある。中国ではチンキも販売されている。

補骨脂中国名 ブーグージ 和名 ほこつし破故紙中国名 ポーグージ 和名 はごし)とも書く。ピンインが同じだから破故紙とも書くと言われているが、私には ブーではなくポーに聞こえる。 苦 辛 大温 脾補腎壮陽 固精縮尿 温脾止瀉

前述した益智仁と補骨脂(破故紙)の共通点は補腎、固精縮尿、温脾である。

固精縮尿作用の治療対象は遺精、滑精、頻尿、夜尿ということになる。

補骨脂(破故紙)の止瀉作用の機序は温脾(腎陽虚による脾陽虚)による。

ちなみに、補(助)陽薬で止瀉作用のあるものは、補骨脂 菟絲子 仙茅の3薬が有名であり、逆に補陽薬で潤腸作用のある薬剤を3つあげるとすれば、肉蓯蓉、胡桃肉、鎖陽となる。

止瀉作用に関して、四神丸ししんがん)を紹介する。補骨脂 肉荳寇の2薬で二神丸になるが、五味子と呉茱萸の2薬からなる五味子散を合わせたものである。

補骨脂 肉荳寇 五味子 呉茱萸の4薬からなる。原因不明の老人性の明け方の下痢は腎陽虚とそれに付随する脾陽虚による脾腎両虚によるものが多い。老人が早朝、ちょうど鶏が時を告げるころに下痢がおこる五更泄潟(腎泄)は腎陽虚によるものだが、腎泄に対する有名な方剤が「四神丸(ししんがん)」である。

方中のナツメグ(和名 肉荳寇 (にくずく) 中国名 肉荳寇(ロウドウコウ)について補記しておく。熱帯性のニクズクの常緑樹の直径4cmほどの杏のような実の中の種がスパイスとして古来より珍重されてきた。そのニクズクの種子の殻を割った中身の仁がナツメグ(肉荳寇)である。漢方薬の肉豆寇、英名はMatured seeds of Myristica fragransである。中国の別名は肉果(ロウグア)である。辛 温で脾胃大腸に帰経を持つ。収斂薬に分類され、渋腸止瀉 温中行気に働く。肉荳寇の最大の特徴は止瀉(下痢止め)作用であり、慢性の下痢(久瀉)に効果がある。古典的な方剤学的な解説は以下のようになる。

四神丸(出典: 証治准縄)

四神丸 腎陽虚によって起こる五更泄潟(腎泄)に対する方剤

  組成

効能

補骨脂120 君薬

補命門の火

補腎陽、止瀉

肉豆寇60

補腎陽

五味子60

呉茱萸30

収斂、温脾腎          

  粉末にして11269gずつ、生姜大棗と水煎して温服

二神丸:(補骨脂 肉豆寇) + 五味子散(五味子 呉茱萸)

温補脾腎        温中

補骨脂の補記) 肺虚の喘息に胡桃肉と用いられる。薬膳料理の最近の研究では、免疫と内分泌の調整や延寿効果などが注目されている。

女貞子中国名 ニューゼンズ 和名 ジョテイシ 帰経 肝腎 旱蓮草中国名 ハンリアンツァオ 和名 カンレンソウ上記2薬は二至丸中国名 アールジーワン 和名 ニシガン)の生薬であるので、略記する。ともに補陰薬であるが、旱蓮草は補陰作用と止血作用を併せ持つ。女貞子の意味は女性と子供という意味である。何首烏と女貞子の効能の共通点が髪を養うことである。女貞子の婦人科的用法は肝腎両虚の更年期障害である。二至の意味とは、夏至と冬至の二至を意味する。夏至に採取された旱蓮草(ハンリアンツァオ)(墨旱蓮モーハンリアン)と冬至に採取された女貞子が良質とされる。女貞子の副作用は腸の蠕動促進による下痢であるが、温脾あるいは腸止瀉薬が同時に配合されるので問題は無い。旱蓮草は滋陰益腎、涼血止血に作用する。

茯苓ぶくりょう 白朮びゃくじゅつは脾気虚にたいする補気基本方剤四君子湯人参 茯苓 白朮 炙甘草)のそれであるので、略記する。

茯苓の特徴は、邪(利水)も扶正(健脾)も兼ね、安神作用があることだ。利水滲湿作用は外側のピンクの茯苓皮が作用強い。皮下の赤茯苓は利水清熱作用が強いがあまり使用しない。中心部は白茯苓といい、利水 健脾 安神作用がある。通常診療には白茯苓を用いている。最中心部は茯神(フーシェン)といい、安神作用に優れ 睡眠障害、不安神経症にも有効である。各焦の水腫には健脾利水作用が役にたつ。脾虚による下痢には「利小便以実大便」の原則に従い、利水を図る。「脾は生痰の源、肺は蓄痰の器」の基礎理論に基づき、痰の多い慢性呼吸器疾患に使用され効果がある。

白朮は補気健脾 燥湿利水 止汗安胎に作用する。

苦 温ゆえに白朮の燥湿作用が生じる。生白朮は炙白朮より燥湿利水効果が強い。

制白朮(蒸したもの)は炙白朮と共に補胃脾気作用に優れる。

焦白朮の作用の特徴は健脾止瀉である。 白朮は燥性があるので長期使用にて陰虚をもたらす可能性があるので養陰剤を併用するとよい。

白朮の補気健脾作用とは脾の運化作用(水穀、水湿)を強化することである。 

燥湿利水作用は脾虚による水湿停滞の患者に適応がある。

止汗作用は黄蓍と併用されることが多く、補肺止汗に働く。

安胎作用は脾虚による胎動不安に効果がある。黄蓍と共に使用される。

付記)安胎薬を紹介する。

補気安胎薬 補肝腎安胎薬 行気(理気)安胎薬 清熱安胎薬に分類される。

黄蓍と白朮の安胎作用は補気安胎と呼ばれる。

桑寄生 杜仲 続断 菟絲子などの補肝腎作用により安胎効果のある薬剤は補肝腎安胎薬と呼ばれる。

行気安胎作用のある薬剤は紫蘇 砂仁 蘇梗である。

湿熱が原因の胎動不安にたいする安胎薬は黄 ?麻根(中国名 ジューマゲン)であり清熱安胎薬とされる。

最後に、蒼朮と白朮の共通点は燥湿健脾作用であり、相違点として、蒼朮は燥湿作用が強いのに比し、白朮は健脾作用が強いことである。

解説三に続く

東京新聞2012年8月2日によれば、「東京と福島の両地方裁判所が8月1日に、原発関係者に対する刑事責任を問う告発状を受理した」という。私は政治や東電のような企業とは無関係の人間である。但し、「学者」には関心がある。告発された(御用)学者は以下の人物である。


山下俊一 福島県放射線健康リスク管理アドバイザー
久住静代 原子力安全委員会委員
高木義明 文部科学大臣
板東久美子 文部科学省生涯学習政策局長
神谷研二 福島県放射線健康リスク管理アドバイザー
寺沢秀一 福井大学教授
長瀧重信 国際被爆医療協会名誉会長
谷川攻一 広島大学大学院教授
高村昇 福島県放射線健康リスク管理アドバイザー
班目春樹 原子力安全委員長
久木田豊 原子力安全委員長代理
小山田修 原子力安全委員
代谷誠治 原子力安全委員
佐々木康人 日本アイソトープ協会常務理事
山中伸一 文部科学省初等中等教育局長
合田隆史 文部科学省科学技術 学術政策局長
布村幸彦 文部科学省スポーツ 青少年局長

福島原発事故は終息していない。当該「学者」は「原発事故」に関しての相応の責任を持たねばならない。医学者が医療過誤に対して責任を持たねばならないと同じことだ。