ゆうしゃケン  小心翼翼・平々凡々

団塊世代の技術系サラリーマンだった。引退した今は妻と二人で平和な生活を願いつつ、趣味と独り言でストレス発散

妻誕生日(2)

2006-04-26 21:37:00 | 平々凡々
娘がいなくなり、二人だけの誕生日を迎えた。新婚時以来だ。会社が退けたら、いっしょに食事を、とメールした。妻の希望で近くのレストランで待ち合わせとなった。妻が予約を入れたようだ。バースデー特別席に案内され、しゃれたろうそくが灯された。壁の赤茶色したむき出しのごつごつしたレンガと窓に映えるもみじの若葉、それにろうそくの灯りで、すっかり場がアンティックなそれなりの雰囲気である。このレストランはファミリーレストランをグレードアップ改装したもので、いかにも女性好みの高級感あふれる内・外装に仕立ている。周りをみると他に3組のバースディパーティが居た。女性ばかりだ。バースデーメニューの中から、フルコースのバースデーディナーに白ワインを注文する。メインディッシュは私が子牛、妻が白身魚。妻とこのように落ち着いて食事をするのはずいぶんと久しぶりの感じだ。誕生日さえ忘れることが多かった。結婚記念日でさえも互いに忘れている。バックグラウンドに生ピアノの心地よいリズムが溢れ、二人だけの空間に静かな時間が流れる。
 そういえばと、妻が思い出したように話す。娘が大分の芸短を卒業してピアノ講師になる前に、ここのピアノ演奏のアルバイトに応募したが、採用を見送られたとのこと。娘はクラシック専門であり、軽音楽は曲目を余り知らなかったのが理由だろうか、と思ったらしい。
 今、ピアノを弾いているのは二十歳を少し過ぎたくらいの清楚なお嬢さんだ。軽やかに手が動いている。その娘も今は初孫をお腹にかかえてふうふう云っているが、元気でしよっちゅう出歩いている。来週は別府に温泉旅行らしい。新婚早々の次女から携帯のコール音。久しぶりに仕事が早く終わったので、誕生祝にケーキを買ってきたけど留守なのでどこにいるか、とのこと。母の誕生日を覚えていたのだろう。デートしていると伝えると安心したようにうなずいて夫の下へ。
 ワインで少し酔い、お腹もいっぱいになりレストランを出る。もうすっかり暗くなっている。暑くも寒くも無いちょうど良い春の夜。妻と家路へ。6月には蛍を見に行こうと話しながらゆっくり歩いた。

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