
今回入手したのはジェリー・ジョーンズのマスター・エレクトリック・シタールである。
もちろん、だのじゃん的にはCoralのオリジナルを狙うのが筋だろうし、昨年、ダンエレクトロがごくごく少数ながらエレクトリック・シタールをリイシューしたときも、そういうわけだからスルーしたのだったが、円安の昨今、あまりに狙いすぎたせいか、気がつけば相場も高止まり、このままCoralにこだわることはもはや現実的ではなかろうというところまで来てしまった。
そんなこんなで、オリジナルにこだわることをやめた私はジェリー・ジョーンズを入手することにしたわけだ。
ジェリー・ジョーンズはダンエレクトロのコピーモデルをつくり続けてきたが、2011年に引退し、ナッシュヴィルにあった工場を閉鎖した。そもそもジェリーさんはミシシッピ州のジャクソンに生まれ、1980年代の初めからナッシュヴィルでギターの製作と販売を始めた。当初は自身のデザインしたカスタムギターを販売していたのだが、とある客がひどい状態のシルヴァートーンを修理のためにと持ち込んできてから方向が大きく変わっていった。
ジェリーさんはもともとダンエレクトロのギターには関心を持っていたそうだが、リペアのために持ち込まれたシルヴァートーンを見て、自分がつくりたいのはこういうギターなんだと改めて思ったらしい。そして1984年にプロトタイプの製作を始めたのだが、実はこれは未完のままになっており、ピックアップのテスト用に使用されていたとのこと。しばらくして、他のお客からロングホーンタイプの6弦ベースの注文を受けたことをきっかけに、全面的にダンエレクトロのコピーモデルをつくるようになったそうだ。ジェリーさんのつくるギターはオリジナルと同様にトップとバックにはメゾナイトを使用しながらも、ネックはメイプル、調整可能なトラスロッドを入れ、ブリッジも1弦ずつ調整できるものにするなど、現代的な仕様になっている。
ジェリーさんはハワイで晩年のネイサン・ダニエルに会ったことがある。二人してじっくりとダンエレクトロのあらゆるギターのこと、使用されたあらゆる材のことなど話をしたそうだ。しかし、それでもダンエレクトロの独特なボディシェイプの起源についてははっきりとわからないらしい。実はだのじゃん的にもそこのところは長年の課題で、一番知りたいところなのであるが、それが明らかになるにはまだまだ探求が足りないようである。
ジェリーさんは言う(注:ジャック・ウェルチのエピソードに例えたのだろうか)「もしそのデザインが1950年代のあるディナーの席で、ナプキンの上に書き留められていたとすれば、その時代に戻って、そのナプキンを手に入れたい!」
ジェリーさんのダンエレクトロ愛が伝わる一言であることよ。
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