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ダンエレクトロのミニペダルシリーズ、その中のディストーションはT-Boneと名づけられた。
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T-Boneは牛肉のステーキで、背中のサーロインと腹部のフィレ、2つの部位がついた骨付き肉を焼いたものである。その骨(脊椎骨)がアルファベットのT字形をしているところからその名がついた。脂身の甘さを特徴とするサーロインとそれとは対照的な脂身の少ないフィレの両方を味わえるということから、ディストーションペダルの音を歪ませる機能とアンプの音を持ち上げるブースターとしての機能という、2つの違った機能を表しているように思われる。
このペダルはコントロールがLEVELとDISTORTIONの2つなので、MXRのDISTORTION+を参照しているように思われるが、ひとつ気になるのはこのペダルの商品説明に60'sDISTORTIONと記されていることだ。MXRのDISTORTION+が登場したのは1974年頃のことであり、それ以前にディストーションと呼ばれる歪みペダルは存在しなかったはずで、60年代に存在したのはファズトーン、ファズフェイス、そしてトーンベンダーといったファズペダルか、あるいはレンジマスターのトレブルブースターのようなものであった。
ここで奇妙な符合に思い当たったのだが、トーンベンダーとトレブルブースターという60年代ブリティッシュロックを支えたペダルとT-Boneのイニシャルが同じTBなのである。だからといってT-Boneがそれらのクローンであるというわけではないにしても、それらから生み出されたサウンドを意識してつくられたペダルであったのではないかと推測される。確かにT-Boneをフルアップした時のサウンドはファズっぽいと言えなくもない。
T-Boneのサウンドにおける特徴としては出力が弱く、高域が出ないため音はこもり気味、DISTORTIONを3時以降にするとノイズが増え、サスティンがどこまでも伸びていくというようなものであるため、モダンで適応力の高いディストーションではなく、使いどころを選ぶものである。例えばクリーム時代のエリック・クラプトンのギターサウンド、いわゆるウーマン・トーンなどは得意分野であり、60年代後半から70年代初頭くらいまでのクラシック・ロックにはぴったりくる感じ。