CORRESPONDANCES

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Il etait un piano noir... France Culture-2 (22)

2014年06月01日 11時12分08秒 | Bruxellesが守れなかったBarbara

3ème épisode :Chanteuse de minuit
3.Il était un piano noir d’après les Mémoires interrompus de Barbara 3/10

4ème épisode Devenir Barbara
4.Il était un piano noir d’après les Mémoires interrompus de Barbara 4/10 :

//////////校正14回目//////////
早急に対処しなければならないことが一気に複数件重なって
ボランティアの校正に時間が取れなくなった。
今回は結構はじめの方で気づいた、
非常に重要な誤訳のひとつに触れるに留める。
訳本P.58: ピアノのレンタル料が払えなくなった場面である。
まるで肉体の一部が切断されたようだった。助けて欲しかった...。その時腎臓の下あたりがずきずき痛むのを感じた。この痛みは私が人生の大きな困難に直面するたびに生じるようになる。
原文P.70:C'etait comme une amputation, j'aurais voulu que l'on m'aide...Je me souviens de la douleur lancinante que je ressentis dans le bas des reins; elle reviendra a chaque bouleversement intense de ma vie.
この辺は一度自分で訳した人間にしかわからないかもしれないが「腎臓の下」がおかしいと思い出したのだ。自分は腰と訳したはずだ。「人生の困難に直面するたびに生じる」とBarbaraが書いているように、この同じ痛みは本の中に二度でてくる。一度はナントの病院から電話がかかってくる場面、二度目はタクシーで病院につき、病院の入り口に立った時である。訳本ではP.106&P.107。原文ではP.127&P.128
Une douleur brulante glisse dans mes reins.とDevant ses portes, la meme douleur me cloue sur place. 訳:「焼け付くような痛みが腰を貫く」と「病院の入り口に立ったとき、電話で父の死を知らされたときと同じ痛みが腰まで貫き、その場に釘づけになる」、ナントの場面ではreinsを腰と訳している。自分が訳した内容をしっかり記憶している翻訳者ならば、「 ピアノのレンタル料が払えなくなった」前の場面を思い出すはずだ。「この痛みは私が人生の大きな困難に直面するたびに生じるようになる。」の自分の訳を覚えていれば、「腎臓の下」が誤訳であったことに、ここで気付くはずだ。繰り返す。人生の困難な場面は三度、1.ピアノが家から持ち去られたとき。2.病院から父の死を告げる電話を受ける場面。3.病院の入り口で立ちすくんだ場面。同じ衝撃なのだ、同じ痛みなのだ。Barbara自身がそう書いているのに、ひとつだけ「腎臓の下」と訳しては、全体的インパクトがなくなってしまう。作業を急ぐあまり、翻訳に身もココロも入っていない、この翻訳者のいい加減ぶりが重要な場面の誤訳で、モロに出てしまっていると言わざるを得ない。
これもそうだが、考えられないような初歩的な誤訳が多すぎる。しかも重要な場面で。ところどころ学生崩れを複数雇って、お金を払って原稿用紙を埋めさせたのではないかと思えるくらいだ。肉体に痛みを感じる場合、背中、腰、胃、心臓、胸などが痛いと人はいうが、医者でもない限り「腎臓の下」が痛い、などとそもそも人が言うだろうか。仮に超入門クラスのフランス語学習者であっても、辞書をみてreinsには普通「腰」という日本語を当てる。どこから腎臓が出てきたのかわからないが、本人校正を一度でもしていたら、赤面して校正は済んでいた筈なのだが。

最初に書いたように、時間が取れなくなったので、この致命的誤訳づくめの訳本のボランティアの校正は、そしてこの訳本に関する記事はあと1、2回で終わりにしようと思っている。まだ4割程度しか、目を通してはいないが、Barbaraファンに伝えるべきことは、おおよそ伝えられたように思う。特にBarbaraが(もし日本語がわかれば)絶対訂正したいと思うようなところは、ほぼ校正できたのではないかと思う。あくまでも「おおよそ」であり「ほぼ」ではあるけれども。

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