たそがれ時のつれづれに

人生のたそがれ時を迎えて折々の記を・・思うままに

お彼岸法会

2012年09月24日 | お寺参り

手次寺の彼岸法会は、説教師に大垣市の近く輪之内町から来ていただいたご住職で、お話を聞くのは今回が二度目です。前の説教もわかり易い説教だった。その際も自坊の門徒用に配布されるB4版1枚の自作教化資料を使われたが、今回も同じ手法だった。

第一日午前中の講話—「幸せ」って何でしょうか?--
・昨年11月ブータンのワンチュク国王(31)とペマ王妃(21)が新婚したばかりで来日され、大変な歓迎と人気を博した。
このヒマラヤの麓にあるブータンは、面積は九州程度人口70万人の小国で、この国は国民総幸福量(Gross National Happiness:GNH)を国の目標に掲げている。
この考え方が、今世界的に注目を集めていて、来日中も大歓迎されたのは、お二人のお人柄と、この考え方に多くの日本人が共感したからだ。

・国王来日と前後して、法政大学大学院の研究グループが、47都道府県を対象にした「幸福度」ランキングを発表した。平均寿命や出生率、完全失業率や犯罪発生件数など40項目の社会経済指標を用いて、その「幸せ度」を調べ、順位を発表した。(中日新聞2011.11.10と19日)
・1位 福井県 未婚率が低く、出生率が高い、障害者の雇用率や正社員比率が高く、犯罪が少ないことなどが評価された。
2位 富山県 自然環境に恵まれ、趣味や娯楽に費やす時間が長いことなどが評価された。
3位 石川県 失業者が少なく、弱者向けの政策が行き届いていることなどが評価された。
三重県は9位、岐阜県は13位、愛知県は21位 最下位は大阪府である。
・興味を引くのは、北陸3県が上位を占めていることである。中日新聞社説は、福井県は文科省の学力・体力テストでも全国1位になったことがある、富山県、石川県も上位だ。地域のコミュニティ(共同体)がしっかりしており、子どもたちが安定した環境で暮らしている。

講師の解釈はもう一つ原因がある。すなわち、
・北陸3県は、蓮如上人の時代(15世紀頃)から「真宗王国」といわれ、「念仏講」:(念仏信者の集団)の盛ん土地柄だった。この3県には際立って篤い信仰心がバックにあることが幸福度に関係していると思われる。

・さて、幸せって何でしょうか?

物質的、経済的、健康的、家庭的に恵まれだけで幸せにはなれない。こころの幸せ、安心・決定(あんじん・けつじょう)があってこそ幸せなのだ。日常生活を全て阿弥陀様にお任せして生きる。しっかり信仰心をもって「往生(ゆきて・いきる、という意味)決定」して今を生きる、浄土へ行く心構えが大事なのです。
これがしっかりしていると「生きている今の生き方が変わる」のです。
前田恵学という先生が書いておられるが、昔は「おいとま乞い」といって、年を取り身体が弱り、出歩くのも無理だと感じた人が、杖をついたり、娘に支えられて、平素お世話になった手次寺や、親族、友人の家を回って「お暇乞いだ」と別れを告げて回ったのである。

この言葉は、今は死語になった。この行為の意味は、1、ひとつはお世話になった人たちへのお礼の気持ち、この世に生かされて幾十年、感謝の気持ちで人生を締めくくる。これが出来る人は幸せである。2、今ひとつ大事なことは、別れて後の「行く先」がはっきりしていることである。
最近この「お暇乞い」が見られないのは、この感謝と行く先が見えない人が多くなったことに原因がある。

さて、ブータンの国是、都道府県別の「幸せ度」。上位の北陸3県は、当県(岐阜県)とは地理的に皆接している。「幸せって何でしょうと?」と、一度立ち止まって考えてみましょう。
というような、大変わかりやすく有益なお彼岸法会・仏教法座でした。