先日、短歌初心者講座の教室に入る前、エレベーターで出席者のお一人と一緒になり、話していたときに、
「この間、お月見には行かれたんですか?」
と尋ねると、
「いいえ。…ちかさださんは?」
「いえ、実は私も。」
昨年の仲秋は、後楽園で月を見、歌も詠んだ私だが、今年はそれどころではなく、せっかくの名月も仕事帰りに車窓から眺めただけだった。
「月見もしない、歌も作らないでは、歌詠み失格ですよね。」
と言って笑ったが、月見をする時間もなく、名月を見ても心に響かないときだってあるのだ。
言い訳めいているが、その後で心に浮かんだ歌。
「この間、お月見には行かれたんですか?」
と尋ねると、
「いいえ。…ちかさださんは?」
「いえ、実は私も。」
昨年の仲秋は、後楽園で月を見、歌も詠んだ私だが、今年はそれどころではなく、せっかくの名月も仕事帰りに車窓から眺めただけだった。
「月見もしない、歌も作らないでは、歌詠み失格ですよね。」
と言って笑ったが、月見をする時間もなく、名月を見ても心に響かないときだってあるのだ。
言い訳めいているが、その後で心に浮かんだ歌。
忙しき日々の勤めのまぎれにぞこの月夜さへ愛(め)でずやみにし
みな人のもてはやすなる名月もわれは浮かるる心ともなし
みまかりし友も祖母らもかの世にて今宵の月をいかにしのぶや
望月はめでたけれども今のわれはかかる明(あか)さにひかれやはする
皎皎(かうかう)と夜空を照らす望月のまばゆさにあへず目をそむかれぬ
月の顔見るは忌むなり竹取の昔語りにありしを思ひ出づ
望月の影はくまなく照らすゆゑ心ぐまあるわれは怖ぢにき
みな人のもてはやすなる名月もわれは浮かるる心ともなし
みまかりし友も祖母らもかの世にて今宵の月をいかにしのぶや
望月はめでたけれども今のわれはかかる明(あか)さにひかれやはする
皎皎(かうかう)と夜空を照らす望月のまばゆさにあへず目をそむかれぬ
月の顔見るは忌むなり竹取の昔語りにありしを思ひ出づ
望月の影はくまなく照らすゆゑ心ぐまあるわれは怖ぢにき