夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

飛火野

2014-12-18 23:38:34 | 短歌
先日の記事で紹介した「鹿寄せ」の行事を見たときの印象をもとに、歌を詠んでみた。

鹿寄せと聞けばゆかしく春日なる飛火の野辺にそを見に行けり
飛火野の冬枯れの野辺に鹿どもは朝日を受けて草を食みをり
妻を呼ぶ声ならねども牡鹿鳴く冬の朝(あした)はわれさへ悲し


ベートーベンの『田園』を吹くホルンの音に鹿どもあまた駆け寄りて来つ
鹿どもは先をあらそひ団栗の餌に誘はれ群れて来にけり
野に育つ鹿にはあれど人慣れてつぶらな瞳(め)もてわれを見まもる
鹿に触れ笑まふ子もあれば恐ろしと母にとりつき泣ける子もあり