内容紹介の続き
ルドルフはマリーと新しい生活を始めようとして、現在の妃との離婚を求める書状をローマ教皇に出し、マリーに結婚指輪を贈る。その指輪には、“JILUD”の頭文字が刻まれていた。
「どんな意味?」
とマリーが聞くと、
「Joined In Love Unto Death.(死ぬまで愛に結ばれよう)」
「すばらしいわ、ありがとう。あなたに指輪をはめてもらわなければ。私たちが願いをかけることができるように。」
「君は何を願ったの?」
「あなたの前に死ぬこと。」
しかし後日、ローマ教皇から離婚の申し立てを却下する旨の通知が届き、ルドルフは父帝から叱責される。
「永遠に別れろ。私は40年、国家に尽くしてきた。」
「父上は、私からすべて取り上げてきた。夢に希望に友人…。」
「別れるか、彼女を修道院に入れるかだ。他に道はない。」
「…せめてもう一度、彼女と会わせてください。」
「今夜の舞踏会が最後だ。24時間。どこで会おうと勝手だが、24時間だけだぞ。」
舞踏会で、ルドルフはその日のファーストダンスをマリーと踊る。
「今まで、あなたなしでどう生きてきたのかしら。」
「…マリー、聞いてほしい。もし私が急に消えたら?」
「一緒に行くわ。」
「はるか遠くでも?」
「一緒なら。」
ルドルフは、私的な用と偽ってウィーンを離れ、マリーを伴ってマイヤーリングの別荘に向かうが…。
感想
私は悲劇は好きではないので、二人がピストルでの心中に至る結末をつらい思いで見た。
物語の中に伏線が幾つも設けられていて、先に挙げた結婚指輪の頭文字もその一つ。
また、二人が初めて出会ったプラーター公園で、一緒に人形劇を見る場面があるが、その中で悪魔が、
「幸せな者ほど早く燃え尽きる。」
と言っていた言葉が、後になって悲しく響く。
この映画は、失敗の許されない生のテレビ放送であったため、事前に3週間にもわたって綿密なリハーサルが行われ、限られたCM時間内に大勢の俳優や大がかりなセットを移動してのシーン替えは、キャストもスタッフも総動員で行われたそうだ。
ストーリーは単純で、映像の粒子も荒く、同じ全編白黒の映画とはいっても、『ローマの休日』や『麗しのサブリナ』のような完成度の作品ではない。
しかし、テレビ映画としては当時破格の50万ドルを費やして製作され、ただ一度きりの機会に俳優たちが迫真の演技で臨んでいたこと、劇場上映は不可能であると思われるほど画質が悪かったオリジナル・マスターから、関係者が改善に改善を重ねて復元版を制作したことを知ると、また見方も変わってくるはず。何よりも、銀幕の妖精と呼ばれたオードリーの魅力は永遠だと改めて感じさせてくれるこの作品を見に行くことができてよかったと思う。
ルドルフはマリーと新しい生活を始めようとして、現在の妃との離婚を求める書状をローマ教皇に出し、マリーに結婚指輪を贈る。その指輪には、“JILUD”の頭文字が刻まれていた。
「どんな意味?」
とマリーが聞くと、
「Joined In Love Unto Death.(死ぬまで愛に結ばれよう)」
「すばらしいわ、ありがとう。あなたに指輪をはめてもらわなければ。私たちが願いをかけることができるように。」
「君は何を願ったの?」
「あなたの前に死ぬこと。」
しかし後日、ローマ教皇から離婚の申し立てを却下する旨の通知が届き、ルドルフは父帝から叱責される。
「永遠に別れろ。私は40年、国家に尽くしてきた。」
「父上は、私からすべて取り上げてきた。夢に希望に友人…。」
「別れるか、彼女を修道院に入れるかだ。他に道はない。」
「…せめてもう一度、彼女と会わせてください。」
「今夜の舞踏会が最後だ。24時間。どこで会おうと勝手だが、24時間だけだぞ。」
舞踏会で、ルドルフはその日のファーストダンスをマリーと踊る。
「今まで、あなたなしでどう生きてきたのかしら。」
「…マリー、聞いてほしい。もし私が急に消えたら?」
「一緒に行くわ。」
「はるか遠くでも?」
「一緒なら。」
ルドルフは、私的な用と偽ってウィーンを離れ、マリーを伴ってマイヤーリングの別荘に向かうが…。
感想
私は悲劇は好きではないので、二人がピストルでの心中に至る結末をつらい思いで見た。
物語の中に伏線が幾つも設けられていて、先に挙げた結婚指輪の頭文字もその一つ。
また、二人が初めて出会ったプラーター公園で、一緒に人形劇を見る場面があるが、その中で悪魔が、
「幸せな者ほど早く燃え尽きる。」
と言っていた言葉が、後になって悲しく響く。
この映画は、失敗の許されない生のテレビ放送であったため、事前に3週間にもわたって綿密なリハーサルが行われ、限られたCM時間内に大勢の俳優や大がかりなセットを移動してのシーン替えは、キャストもスタッフも総動員で行われたそうだ。
ストーリーは単純で、映像の粒子も荒く、同じ全編白黒の映画とはいっても、『ローマの休日』や『麗しのサブリナ』のような完成度の作品ではない。
しかし、テレビ映画としては当時破格の50万ドルを費やして製作され、ただ一度きりの機会に俳優たちが迫真の演技で臨んでいたこと、劇場上映は不可能であると思われるほど画質が悪かったオリジナル・マスターから、関係者が改善に改善を重ねて復元版を制作したことを知ると、また見方も変わってくるはず。何よりも、銀幕の妖精と呼ばれたオードリーの魅力は永遠だと改めて感じさせてくれるこの作品を見に行くことができてよかったと思う。