陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

米国南岸の海底油田、原油流出事故が深刻化

2010-05-02 00:41:15 | 米国関係
 先月20日に起きた米国ルイジアナ州沖の海底油田掘削事故は、海底井戸が1500mの深海底にあるため、原油噴出を止めることが出来ず、原油汚染被害が広がる可能性を孕(はら)んでいる。オバマ大統領もこの事態を重視し、政府・軍を挙げて支援することを表明した。

 日量5000バーレルもの原油噴出が止まらず、そこへ悪天候が重なり、オイルフェンスが破壊された。現在、外周200kmにも及ぶオイルバンドが広がっている。南岸に面するルイジアナ州は勿論、アラバマ、ミシシッピー、フロリダの4州は生態系への影響を危惧している。秋口には、毎年のようにハリケーンに襲われる4州だが、今度は想定外の人為的大事故に見舞われ、非常事態宣言を出した。

 これを受けて、ニューヨークの原油価格は上昇しつつあり、それは我が国の石油製品価格へ跳ね返る。掘削の元受はブリティッシュ・ペトロリアム(BP)だが、同社の株価は10%以上低下、米政府は同社へ損害賠償と沿岸保全費用を求める構えだ。

 日経新聞によると、


米メキシコ湾原油流出、4州で非常事態宣言
英BP株価急落、時価総額2兆円減
2010/5/1 22:04

 【ロンドン=石井一乗】米南部ルイジアナ州沖のメキシコ湾上で4月20日に爆発炎上した石油掘削基地からの原油流出事故の影響が拡大してきた。事故現場に近いルイジアナなど南部4州は非常事態宣言を出し警戒に当たっている。流出量は1日あたり5000バレルに達し、原油掘削を手掛けていた英BPは株価が急落、10日間で時価総額約2兆円を失った。

 この状況が長期化すれば、1989年に米アラスカ沖で起きたタンカーの原油流出事故に並ぶ過去最大級の事故となる。4月30日までにルイジアナ、ミシシッピ、アラバマ、フロリダの各州は非常事態を宣言した。

 汚染による沿岸経済へのマイナス影響の懸念も広がっている。英紙フィナンシャル・タイムズによると、ルイジアナ州のエビやカキなどの漁業は24億ドル規模の産業で、原油流出が打撃を与える可能性もある。ロイター通信は1日、オバマ米大統領が2日にも、同州などメキシコ湾沿岸地域を訪問すると伝えた。

 事故を受けて原油価格も上昇。ニューヨーク原油先物相場の4月30日の終値は約3週間ぶりの86ドル台を記録。在庫が減少するとの思惑から投機資金が流入したもようだ。

 BPによると、原油流出量は当初見込んでいた日量1000バレルの5倍に膨らんでいる。この勢いが続けば、50日強で過去最悪の流出事故とされるアラスカ沖事故の流出量(約26万バレル)に並ぶ懸念がある。

 油田は海面から約1500メートルの深海にあるため、流失防止は難作業になっている。BPなどは多数の船舶や人員を動員して油の拡散防止などに当たっているが、短期間で漏出を食い止められるかが課題になっている。流失が長引き、メキシコ湾岸に漂着した原油が石油輸入基地などの操業に影響を及ぼすようになれば、原油価格を押し上げる事態も懸念される。

 BPの株価は事故発生の4月20日から10日間で12%下落。時価総額がほぼ2兆円吹き飛んだ。BPによると現在の作業だけで1日に600万ドル(6億円弱)の費用が発生、今後も膨らむ見通しだ。市場関係者からは「総コストは最大35億ドル程度に膨らむ可能性もある」(モルガン・スタンレー)との指摘もある。BPのヘイワード最高経営責任者(CEO)も「漏出防止や環境への影響を食い止めるためにできることは何でもやる」と話す。

 メキシコ湾では今回事故を起こした油井を含め、水深1000メートルを超す海底での「超深海油田」と呼ばれる油田開発が相次いでいる。BPはメキシコ湾で最大の油田権益を有するほか、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなども同湾地域での油田開発を急いでいる。米政府も海底油田の新規採掘などを認める計画を発表したばかりだが、事故を受けて計画が見直されるような事態になれば、欧米メジャーの経営戦略に影響が広がる可能性もある。

http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381959FE1E2E2E6978DE2E3E2E7E0E2E3E29494EAE2E2E2
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« モーツアルト<フルートとハ... | トップ | 宮崎県の口蹄疫流行(追記あり) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

米国関係」カテゴリの最新記事