陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

米国の原子力空母数が減らされる?

2011-11-05 00:08:24 | 米国関係
 財政赤字に悩む米国は、愈々軍事費の削減に手を付けるようだ。海軍では、原子力空母を1隻減らす構想が浮上している。横須賀を母港とする<ジョージ・ワシントン>も対象になっているらしい。同艦は、ニミッツ級原子力空母としては6番艦で、就役は1992年、艦齢は19年である。


 この10万トン級の原子力空母は、建造費が凡そ5000億円を要し、搭載する艦上戦闘機数は最大で90機、運用で70機前後としても、それだけで4000億円~6000億円掛かる。操艦に必要な人員は、3200名、航空要員2500名であるから、「金喰い虫」であることは間違いない。

 原子力空母は、精密機械のようなものだから、常に故障が起きる。それ故、高度な整備体制を持つ母港が必要だ。乗組員の休養も考えると、平時は1年間の内、半分位は母港に留まっている。それで、普通は同型空母2隻で1セットにして運用する。これは、旧日本海軍の空母も同様で、姉妹艦を建造し2隻体制を維持しながら運用していた。<翔鶴>と<瑞鶴>は、その例である。

 現在、就役しているニミッツ級空母は10隻で、これに世界初の原子力空母<エンタープライズ>(艦齢50年!)が加わり、11隻体制を以って様々なローテーション運用が行われる。通常型空母の<キティホーク>が退役したから、米海軍の空母はすべて原子炉を動力源にしている。

 空母<ニミッツ>の就役は1975年で、艦齢は36年になる。予定退役は2035年と言うから、原子力空母は60年程度使用されるようだ。それに比べると、<ジョージ・ワシントン>は装備や兵器も新しいだろうし、艦齢からして何故退役候補になるのか、合点が行かぬ。何か、重大欠陥でもあるのだろうか?

 オバマ政権は、米議会から国家支出削減を迫られている。維持費用の莫大な原子力空母を減らすのは、手っ取り早い方法だが、<パックス・アメリカーナ>の終焉を象徴する感じがあり、一方では、西太平洋海域の安全保障体制を再考する必要に迫られる。

 以下は、憲法9条が無い場合の想定である。米海軍が<ジョージ・ワシントン>を退役させてスクラップにするのなら、円高を利用して日本がこれを買い取り、海自の練習用空母として利用する方法が考えられる。海自のイージス艦は、空母護衛の機能を持ち、米空母とのデータ・リンクは完璧である。

 あるいは、搭載機と最少乗員ごと、米国からレンタルして、これに海自隊員を乗せ、尖閣諸島海域で遊弋(ゆうよく)させると、シナ艦船は絶対に近づかないであろう(笑)。


虎の子空母もリストラ検討=「ジョージ・ワシントン」対象-財政赤字で逆風・米海軍

 【ワシントン時事】財政赤字対策で経費削減を強いられる米海軍が、抑止力の要の原子力空母もリストラ対象として検討していることが8日、分かった。莫大(ばくだい)な費用が掛かる原子炉の核燃料交換時期の延期や、現在の空母11隻体制を10隻に減らす案が浮上。横須賀基地(神奈川県横須賀市)を母港とする「ジョージ・ワシントン」(約10万トン、乗組員6000人)もリストラの検討対象になっているという。

 パネッタ国防長官は少なくとも国防費を今後10年間で計4500億ドル(約34兆5000億円)削減するために、陸海空の各制服組トップにリストラ案をまとめるよう指示している。

 軍事力の象徴の空母運用は北朝鮮へのけん制や中国などに対する政治的メッセージとしても利用されている。海軍はジョージ・ワシントンを廃船にしても後継空母を横須賀に回すが、中国が空母建造を推進する中で空母をリストラすれば、日本を含む東アジア諸国に心理的影響を与えかねない。(2011/10/08-14:19)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011100800174
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