陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

フォード元大統領の国葬

2007-01-04 00:35:35 | 米国関係
 第38代米国大統領ジェラルド・R・フォード氏(共和党)が昨年12月26日に逝去。享年92才。彼の国葬が、1月2日ワシントン大聖堂でしめやかに行われた。ブッシュ米大統領は、「(ウォーターゲート事件やベトナム戦争など)米国史上、過酷な時期に政権の座についたが微動だにしなかった。任期は(約2年半と)短かったが、歴史はわが国の民主主義を再生した彼の勇気と良識を忘れないだろう」と弔辞を述べた。

 無骨ながら率直な大統領と言うイメージであったが、ニクソン大統領辞任の後を受けて、民主党優位の議会を相手に苦戦した。だが、金銭の噂の無い大統領として著名であり、大統領職の信頼を取り戻すのに功績があった。彼は、苦学してミシガン大学を卒業、在学中はアメリカンフットボールの名選手として知られた。第二次大戦では海軍少尉として軽空母<モンテレー>(1万1000トン)に乘艦、大平洋海域で日本海軍と戦った経験を持つ。

 フォード氏は、昭和49年(1974)11月18日、史上始めて来日した米国大統領であり、先帝陛下に畏敬の念を持っていた事で知られる。この時、ベティ夫人は病気で同行せず、キッシンジャー国務長官が随伴した。フォード大統領は、金脈問題で退陣直前の田中角栄首相と会談した。

 翌年10月初旬、両陛下が米国訪問をされた折は、大統領自らが空港へ赴き、米軍5軍による観閲儀杖を以てお迎えしている。これは米国における最高級の歓迎儀礼であり、ローマ教皇、英国国王と同じ扱いである(Wikipedia による)。敗戦国日本の元首に対しても、その歴史を重んじて行う厳粛な敬礼は、故フォード大統領の寛容な人柄を表しており、日本人として忘れてはならない側面であろう。

 両陛下は、フォード大統領の配慮の中、ウィリアムズ・バーグやワシントン、シカゴ、ハワイ等約2週間の御滞在を楽しまれた。

 最近のニミッツ級原子力空母(排水量98、500トン)には、著名大統領、海軍将官、海軍に貢献した議員の名前をつける。現在建造中の第10号艦の名称は、<ジョージ・H・W・ブッシュ>(2009年就役予定)である。ニミッツ級後継の新鋭空母を設計中(2009年起工)と言われるが、第1号艦には<ジェラルド・R・フォード>と命名される予定。

 こうした先帝陛下と縁の深い故フォード氏の国葬に、我が国は皇族の何方かへ参列して頂くと良いと思うけれども、町村信孝前外相が政府特使として出席したようだ。
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