陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

海洋基本法への期待

2007-01-08 00:57:00 | 国内政治:議会と政党
 我が国が海洋国家と自覚するなら、当然持つべき法律がどうやらがまとまりそうである。色々な意見を入れて、国益の観点から超党派で国会を通してもらいたい。短期的には、我が国漁民の気持に安心感を与えて欲しい。

-------------

海洋基本法、通常国会で成立へ 権益確保、民主も賛成
1月7日8時0分配信 産経新聞

 25日召集予定の通常国会に自民党が提出する「海洋基本法案」に対し、民主党は賛成する方針を固めた。これにより、同法案は自民党、公明党の与党に加え、民主党の賛成多数で成立する見通しとなった。国の海洋政策の根幹にかかわる法律だけに、与党側は野党第1党の前向きな動きを歓迎。平成19年度予算成立後、早期の採決に向け、近く民主党と同法案の扱いについて、協議を開始する。

 同法案は、海洋政策を担当する省庁が、国土交通省や外務省、経済産業省、防衛庁など8つに分かれている現状を改め、海域を総合的に管理するのが目的だ。基本理念として(1)環境保全(2)持続可能な開発・利用(3)国際的協調-などの重要性を明記。その上で、海洋政策担当相の任命、首相を議長とする総合海洋政策会議の設置、海洋基本計画の策定などを盛り込む。

 海洋国家として、日本の権益を守る基本法の制定には、東シナ海の石油・ガス田開発を一方的に進める中国を牽制(けんせい)する狙いがある。自民党が12月に固めた、法案の基礎となる海洋政策大綱案では、「隣接国による石油・ガス田開発や海洋調査、密輸・密入国、工作船の侵入、シーレーンの安全確保などの問題に適切な対応ができず、国益を損なっている」と指摘した。

 自公民3党の協議で焦点になりそうなのは、民主党がすでに提出している海洋権益を守るための法案の扱いだ。

 民主党が一昨年の臨時国会に提出した、首相を本部長とする「海底資源開発推進本部」の設置などを盛り込んだ「海底資源開発推進法案」については、民主党政調関係者は「海洋政策の権限の一元化という趣旨では、基本法案とほぼ同じ」と説明しており、法案を取り下げる方向で党内調整を進める。

 一方、同党の「天然資源探査・海洋調査に関する権利行使法案」と、自民党が昨年の通常国会で提出した「海洋構築物に関する安全水域設置法案」は、いずれも排他的経済水域(EEZ)内での天然資源探査に関し、禁止・制限を加え、罰則も設けている。

 ただ、与党側が、基本法案の審議に先立ち、自民提出法案の成立を図るかまえを見せているのに対し、民主党内には「民主党案も審議すべきだ」と反発する声が根強い。統一地方選や参院選を視野に、与党との対立姿勢を強めようとする動きが活発になれば、協議は難航し、基本法案審議にも影響する可能性はある。

 ≪海洋基本法案のポイント≫

 一、国は海洋に関する施策を総合的かつ計画的に実施する責務を持つ
 一、政府は海洋基本計画を策定。EEZの開発や日本海域の安全保障などを定める
 一、海洋政策担当相を任命
 一、内閣府に首相を議長とする総合海洋政策会議を設置、政策の一貫性などを点検し海洋政策担当相に答申
 一、事業者、国民は海洋環境や生態系を保全

最終更新:1月7日8時0分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070107-00000000-san-pol
-------------

 民主党も基本的には賛成しているから、早くに成立・法制化されるのだろう。主務大臣を置くのは良いが、海洋企画庁になるのか、それとも海洋保護省になるのか。海洋資源問題や沿岸警備では海上保安庁とオーバーラップする面もあるようだ。何れにしても、この方面で国家公務員が増えるのは構わないと思う。

 この法律の制定により、竹島問題は海洋政策担当相の所管となるであろう。昨年4月、日本海海底名称問題で、海上保安庁の意向に反し、谷内外務事務次官が出鱈目な交渉をやった。現在も、期間を決めたズワイガニ漁猟問題で、申し合せを無視する韓国の勝手気侭な振る舞いに、我が国の現地漁民は泣かされている。気骨のある人が、担当相として活躍する事を期待する。

 領海ルールにこちらが従っていても、横暴な国々は平気で我が国漁民を痛めつける。それらに対処するためにも、この法律が少しは生かされると期待する。

 昔、帝国海軍が健在の頃、第一駆逐隊(神風、春風、朝風、松風の駆逐艦で構成)がオホーツク海域に常駐し、北洋漁業警備の為に活躍した。当時、旧ソ連は領海12カイリを主張、国際的には領海3カイリで我が国もそれを守った。だが、良い魚場は旧ソ連の主張する12カイリの中にある。漁船団が12カイリの中へ入る時、後ろで日本の駆逐艦が見守っていた。

 旧ソ連の沿岸警備艇が漁船団に近づいても、日本の軍艦旗を見るや漁船団はいなかったかのように舳先を翻して基地へ戻って行ったと言う。日本漁船団は、悠々と蟹や鮭を漁獲した。これは、伊藤正徳氏の「大海軍を想う」で語られている話だ。
コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 台湾高速鉄道(新幹線)発進 | トップ | 捏造大国中共の実態 »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2007-01-08 03:14:35
海洋担当省庁を新設する話は出てませんよ。国家海洋政策の責任者としての大臣を置くだけです。今だって特命担当大臣は何人も指名されていますが、再チャレンジ担当大臣はいても『再チャレンジ庁』なんてないでしょう?
その海洋大臣が各省庁(海上保安庁や水産庁など)に統一的な指示や政策の遂行を命じることができるようになります。特定の大臣がほかの省庁に命令するのことに違和感を感じるかもしれませんが、現状でも(国土交通省の外局である)海上保安庁が違法漁船を取り締まるときは農林水産大臣の権限に、密航者を取り締まるときは法務大臣の権限(入国管理法)に基づいて行っています。

返信する
御教示有難うございます (茶絽主)
2007-01-08 03:52:05
Unknown 樣
 早速のコメントを有難うございます。
 確かに、省庁新設の話は報道に無いですね。
 先走りの期待を書きました。

 新設大臣が既設省庁の権限により行動出来る事も理解出来ました。では、竹島問題については、海上自衛隊や海保を動かして、理不尽な外国の行動にブレーキをかける事も可能になりましょうか。御教示願えれば有難い。
 特命大臣であれば、事務局は設置されますか?
 総合海洋政策会議と海洋相との関係はどうなるのでしょう。

 私は、国益と国民の為に効率良く具体的に行動する機関であって欲しいと願うものです。
 貴台のお名前をお教えいただければと思います。
返信する
Unknown (Unknown)
2007-01-08 05:10:40
 竹島問題は領有権の問題で、海洋政策で扱うのは難しいでしょう。周辺の「共同管理水域」における事実上の日本漁船締め出し状態が改善される可能性はありますが、領有権自体は国際的かつ平和的に解決するというのが日本政府の方針ですし。
 もし日本国民が住む領土に何らかの武力行為が行われるのであれば、それは国民保護法や武力攻撃事態法の範囲になります。領土保全については、また別の法案を考えるべきだと思います。
 むしろ、この法案で大きな動きが期待できるのは尖閣諸島周辺海域の海洋資源問題でしょう。

 事務局が設置される可能性はありますね。「海洋政策推進本部」とか。逆に事務局を設置せず、現在海事行政を所管する国土交通省海事局などが政策会議も含めた庶務を支援する可能性もあります。
総合海洋政策会議は安全保障会議のようなものを想定すればいいのではないでしょうか。

 これら海洋政策については、以前より海洋政策研究財団が提言してきたものです。Webサイト(http://www.sof.or.jp/index.html)や「海洋白書」なども参考にしてみると具体的なことや各国の海洋政策がわかって面白いと思います。
返信する

コメントを投稿

国内政治:議会と政党」カテゴリの最新記事