陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

ヒラリー・クリントン女史の苦悩

2007-11-29 01:58:21 | 米国関係
 今春から莫大な選挙資金を集めたなど、何かと話題を呼んでいた次期米国大統領有力候補のヒラリー・ロダム・クリントン上院議員、小ブッシュ共和党政権に対する米国民のイラク批判を背景に支持率を上げていたが、ここへ来て翳りが出てきたようだ。

ヒラリー氏、共和党候補に完敗=大統領選「大本命」の見立て危うく-米調査
11月27日17時2分配信 時事通信

 【ワシントン27日時事】米ゾグビー社が27日までに発表した世論調査結果によると、次期大統領選の民主党有力候補ヒラリー・クリントン上院議員が、ジュリアーニ前ニューヨーク市長ら共和党の主要5候補との「1対1」の仮想対決で完敗した。今夏以降、上げ潮だったクリントン氏の人気に陰りが出てきたことをうかがわせる結果で、「大本命」との見立ては危うくなってきた。

 調査は21~26日、インターネットを通じて約9200人を対象に実施された。

 クリントン氏と共和党各候補との対決別に支持率を見ると、ジュリアーニ氏とロムニー前マサチューセッツ州知事は43%対40%でそれぞれクリントン氏をリード。最近支持率が急伸しているハカビー前アーカンソー州知事は44%対39%と5ポイントの差を付けた。マケイン上院議員とトンプソン元上院議員も4ポイント差でクリントン氏を上回った。

 これに対し、クリントン氏の最大のライバル、民主党のオバマ上院議員は、共和党5氏に5~7ポイント差を付けて完勝。民主党で支持率3位のエドワーズ元上院議員はマケイン氏との対決では42%で同率だったが、その他4氏よりも1~3ポイント高かった。民主党内の争いでは劣勢にある男性2氏のほうが、本選挙で強さを発揮する可能性を秘めていることが示された形だ。 

最終更新:11月27日17時2分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071127-00000097-jij-int


 年が明ければ、共和党、民主党内でそれぞれの大統領候補絞込みが行われるわけで、益々TV討論や宣伝が激化するだろう。米国民が下馬評の高いクリントン女史を醒めた眼で見るようになったのは、次の公開論文で中共を持ち上げていたことが影響しているのかもしれない。

ヒラリー候補、「日米関係」言及せず 米中が最重要
10/16 10:28
 次期米大統領選の民主党有力候補、ヒラリー・クリントン上院議員は外交専門誌フォーリン・アフェアーズ最新号に包括的な外交政策を発表、「中国との関係は今世紀の世界で最も重要な二国間関係になる」として、積極的な対中外交を推進する考えを表明した。また北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議を土台に、北東アジアの新たな安全保障の枠組みを築くべきだと指摘した。

 民主党候補指名争いで最有力のクリントン氏が、外交政策の全般的な方向性を示したのは初めて。同誌を発行する外交問題評議会が15日、内容を事前公表した。

 日本については、オーストラリア、インドとともにテロ対策、地球温暖化などで協力を深める必要性を示したが、日米関係への言及はなかった。

 クリントン氏は人権、宗教の自由、貿易などで米中は「まったく意見が食い違う」としながらも「共同でなすべきこと、できることは多い」として、北朝鮮の核放棄にも中国の役割が重要だと指摘。「米国の国益にかかわる場合には対峙(たいじ)する用意も持ちながら、中国と協力的な未来を目指さねばならない」とした。

 また「米国の外交政策は多国間協調主義に沿って進めるべきだ」として、ブッシュ政権の外交からの脱却を強調。イラク駐留米軍を「安全な方法」で帰還させ、核問題を抱えるイランには「すべての選択肢」を温存しながらも、局面打開に向け、対話には積極的に応じるべきだと訴えた。

 またロシアとの核軍縮交渉を推進、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を上院に促す意向を示した。(共同)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/91298/


 この論文は、「東アジアは、中共に任せる」という彼女の外交姿勢を明確に述べたものだ。だが、民主党内では、中共独裁政権が非人道的な行為をしていると批判的に見る人達も多いわけで、「ヒラリー論文」は必ずしも全面的に受け入れられたとは思えない。

 昨今のドル価格凋落の背景には、サブプライム問題があるのだが、中共の元レート維持策も寄与しているとの疑念が残っており、米国民の中共に対する不信感は根強いものがある。それに、選挙資金が支那系マフィアより提供されたこと(これは返却)、最近の公開講演会で、やらせ質問があったことも彼女の支持者を減らしたことだろう。

 クリントン女史は、上記記事にあるように対中関係が重要と指摘する一方で、中共製の危険な玩具や食品に対して相当激烈な批判を展開している。夫のクリントン前大統領と共に、熱心な中共ファンである彼女にしては不思議に思える言動だ。それは単なるポーズなのだろうか。

 我が国の立場から考えると、クリントン女史が大統領になれば、1990年代に多大な経済的損失を受けた再現が予想される。それに、小ブッシュ政権下で揺らぎ始めた「日米安保体制」が益々空洞化するのではとの危惧がある。どちらかと言えば、共和党政権が維持されることが望ましいと私は思うけれども、まずは米国民の判断を待つしかない。
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