旧ユーゴスラビア解体と共に表面化したコソボ自治州の独立化運動は、国連暫定統治の下で、2月17日に独立宣言を出す予定だ。独立すると、凡そ岐阜県に近い面積の国家が登場する。これに激しく異を唱える宗主国セルビアは、露西亜の後押しを得て国連安保理に協議を求めた。東京新聞によると
コソボ独立問題で緊急協議へ 安保理、情勢打開は困難
2008年2月14日 07時51分
【ニューヨーク13日共同】国連暫定統治下にあるセルビア・コソボ自治州が17日にも独立宣言するとみられる中、国連安全保障理事会は13日の非公開会合で、14日午後にコソボ問題の緊急協議を開くことを決めた。今月の議長国パナマのアリアス国連大使が記者団に語った。
しかし、安保理ではコソボ独立を支持する米英やフランスと、セルビアの後ろ盾として独立を認めない立場のロシアがそれぞれ拒否権を持つ常任理事国として対立しており、情勢打開は困難な見通しだ。
欧米は独立を視野に、現在の国連統治から欧州連合(EU)の監督下に移行させるため暫定統治の根拠になっている過去の安保理決議を別の決議に置き換えることを目指したが、ロシアの反対で頓挫した。今後の体制や独立宣言に関する潘基文事務総長の考え方について国連報道官は13日、現段階で見解は出ていないと述べた。
14日の協議はセルビアの要請をロシアが後押しして決まった。セルビアのイェレミッチ外相の出席も認められたが、コソボ側は「要請がない」(アリアス大使)ため、出席しない。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008021401000085.html
コソボ自治州の住民190万人は、88%がアルバニア人、それに6%のセルビア人(スラブ民族)が加わる。前者にはイスラム教徒が多い。言語や風俗、宗教もセルビアとは異なるから、旧ユーゴスラビア解体の直前に、一度コソボは共和国として独立を試みた。だが、セルビアのミロセビッチ大統領(当時)はそれを許さなかった。
冷戦終了後、コソボ解放軍とセルビア治安部隊の紛争を経ながら、住民は凄まじく残虐な被害を受けた。クリントン政権(当時)がNATO軍を主導して、セルビアへの空爆を行ったのはコソボを支援するためだった。コソボ自治州は、国連の統治する所となった。
21世紀になって、コソボ自治州をどうするか、国連による仲介が行われている。(EU+米国)と露西亜の間で綱引きされつつも、この2年間は実質上のコソボ独立が提案されて来た。
しかし、両者が満足する結果は得られない。昨年12月上旬に、コソボ自治州はそのような斡旋と協議は最早期限切れとし、2ヵ月後に独立宣言をすると意思表明した。
もしコソボ自治州が、ここで再び独立に踏み切れば、セルビア軍は直ちにコソボの制圧に向かうだろう。それは、コソボ防護隊や国際安全保障部隊との摩擦、あるいは国境近くに駐屯するアルバニア軍の介入を招くかもしれない。これは、新たなバルカン紛争の火種になる。[モンテネグロは、2006年6月にユーゴ連邦を離脱、間違った記述をしましたので、本文のように書き改めました]
私は、コソボ自治州が周辺諸国の理解を得て独立し、時間を掛けてやがてはアルバニアの一部となる形が良いと思う。その方が、言語、宗教共に違和感が無い。当初は、各国からの支援で新コソボ共和国は運営出来るだろうが、資源も技術も無い故に経済的に自立を続けるのは困難と見る。
だが、セルビアはかつて首都を置いた歴史的な領土を奪われるなど、到底納得しないだろう。その背後にいる露西亜は只今経済的に余裕を持ち、プーチン氏の鼻息も荒いから、これを切掛けにEU側と武力衝突へ発展する可能性さえある。
コソボ自治州の独立が成功すると、間接的に台湾独立の激励になるかも知れない。
コソボ独立問題で緊急協議へ 安保理、情勢打開は困難
2008年2月14日 07時51分
【ニューヨーク13日共同】国連暫定統治下にあるセルビア・コソボ自治州が17日にも独立宣言するとみられる中、国連安全保障理事会は13日の非公開会合で、14日午後にコソボ問題の緊急協議を開くことを決めた。今月の議長国パナマのアリアス国連大使が記者団に語った。
しかし、安保理ではコソボ独立を支持する米英やフランスと、セルビアの後ろ盾として独立を認めない立場のロシアがそれぞれ拒否権を持つ常任理事国として対立しており、情勢打開は困難な見通しだ。
欧米は独立を視野に、現在の国連統治から欧州連合(EU)の監督下に移行させるため暫定統治の根拠になっている過去の安保理決議を別の決議に置き換えることを目指したが、ロシアの反対で頓挫した。今後の体制や独立宣言に関する潘基文事務総長の考え方について国連報道官は13日、現段階で見解は出ていないと述べた。
14日の協議はセルビアの要請をロシアが後押しして決まった。セルビアのイェレミッチ外相の出席も認められたが、コソボ側は「要請がない」(アリアス大使)ため、出席しない。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008021401000085.html
コソボ自治州の住民190万人は、88%がアルバニア人、それに6%のセルビア人(スラブ民族)が加わる。前者にはイスラム教徒が多い。言語や風俗、宗教もセルビアとは異なるから、旧ユーゴスラビア解体の直前に、一度コソボは共和国として独立を試みた。だが、セルビアのミロセビッチ大統領(当時)はそれを許さなかった。
冷戦終了後、コソボ解放軍とセルビア治安部隊の紛争を経ながら、住民は凄まじく残虐な被害を受けた。クリントン政権(当時)がNATO軍を主導して、セルビアへの空爆を行ったのはコソボを支援するためだった。コソボ自治州は、国連の統治する所となった。
21世紀になって、コソボ自治州をどうするか、国連による仲介が行われている。(EU+米国)と露西亜の間で綱引きされつつも、この2年間は実質上のコソボ独立が提案されて来た。
しかし、両者が満足する結果は得られない。昨年12月上旬に、コソボ自治州はそのような斡旋と協議は最早期限切れとし、2ヵ月後に独立宣言をすると意思表明した。
もしコソボ自治州が、ここで再び独立に踏み切れば、セルビア軍は直ちにコソボの制圧に向かうだろう。それは、コソボ防護隊や国際安全保障部隊との摩擦、あるいは国境近くに駐屯するアルバニア軍の介入を招くかもしれない。これは、新たなバルカン紛争の火種になる。[モンテネグロは、2006年6月にユーゴ連邦を離脱、間違った記述をしましたので、本文のように書き改めました]
私は、コソボ自治州が周辺諸国の理解を得て独立し、時間を掛けてやがてはアルバニアの一部となる形が良いと思う。その方が、言語、宗教共に違和感が無い。当初は、各国からの支援で新コソボ共和国は運営出来るだろうが、資源も技術も無い故に経済的に自立を続けるのは困難と見る。
だが、セルビアはかつて首都を置いた歴史的な領土を奪われるなど、到底納得しないだろう。その背後にいる露西亜は只今経済的に余裕を持ち、プーチン氏の鼻息も荒いから、これを切掛けにEU側と武力衝突へ発展する可能性さえある。
コソボ自治州の独立が成功すると、間接的に台湾独立の激励になるかも知れない。
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