陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

米国高速道路橋の崩落

2007-08-05 15:43:31 | 米国関係
 今月1日夕刻(現地時間)、ミネアポリス市の高速道路でミシシッピー川を渡る道路鉄橋(建設後40年)が崩落し、5人の死者と110人もの重軽傷者が出た。なお川底には、50台程度自動車が沈んでいるとされる。何とも酷い事故で、犠牲になられた方々には、心からお悔やみを申し上げる。

 崩落の原因はトラス鉄骨の疲労破壊などが挙げられているが、今のところ特定されていない。が、全米で「構造上の問題」が指摘されている橋は約7万7000カ所、全体の13%に達すると言う。それでも改築・改善が進まない背景には、資金の問題があるらしい。改善予算で簡単に削られるのが補修などメンテナンスの費用、これらは目立たないからカットされても国民には分からない。こうしたインフラ保守状況は、我が国でも同様であろう。

 小ブッシュ大統領は、4日に現地を訪問、彼としてもこの問題が国民に与える影響を懸念しているようだ。1昨年8月末のハリケーン「カトリーナ」襲来で堤防が決壊した事により、ニューオーリンズ市が大打撃を受けた時に比べると、大統領の動きは素早い。これらを含めて、昨今継続して起きる米国内のインフラ整備に関し、産経新聞は次のように伝える。

「米国の崩壊」橋崩落にメディア衝撃
8月4日20時15分配信 産経新聞

 【ニューヨーク=長戸雅子】米メディアは、ミネソタ州ミネアポリスで高速道路橋が崩落した事故について、「米国の崩壊」といった表現で、大々的に報じている。報道から読み取れるのは、崩れ落ちてはならないものが崩れ落ちたことが米社会に与えた衝撃の大きさであり、唯一の超大国、米国のインフラの“安全神話”の動揺である。

 「(ニューヨーク市)グランド・セントラル駅近くの蒸気管爆発、ニューオーリンズの堤防の決壊、ミネソタの橋梁(きょうりょう)落下…。これらはこの国が生活になくてはならないインフラを良好な状態に保つための十分な投資をしてこなかったことを示している」。ニューヨーク・タイムズ紙は米国内で相次いで起きたインフラ災害ともいうべき出来事を列挙して慨嘆した。

 さらに、米国だけで1・7兆ドルのインフラ整備・維持費が不足しているとする土木工学の専門家の分析を紹介、「米国は重大なインフラ問題を抱えている」と警告した。

 新聞・テレビは、構造的欠陥や交通量増加などで架け替えが必要と診断された橋が全体の約4分の1に上るとの連邦政府の報告を相次いで報道。

 3大ネットのひとつCBSテレビは2日、「米国は崩壊しているのか」と題したリポートを放映し、インフラへの不安は橋だけでなく蒸気管、水道管、ダムなど広範に及ぶと指摘。「インフラの適切な更新を怠ったコストは人命でもって計測されるのかもしれない」と厳しい言葉で結んだ。

 ABCテレビは、今回崩落した橋よりも整備状況の悪い橋が米国内に20カ所もあるとし、その全リストを電子版に掲載して注意を喚起している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070804-00000906-san-int


 1.7兆ドル=200兆円は米国の年間予算総額に匹敵する巨額で、政府も年次計画で消化しなければやれないであろう。この問題は、内向き傾向になっている米国外交にも多大の影響を与えると思われる。現在は、イラクだけで年間15兆円も出費しているのであるから、海外出兵に対する米国民の批判は強まると想像され、来年の大統領選挙にもそれは反映するに違いない。
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