陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

英国はヤード・ポンド法を棄てず

2009-01-17 02:41:41 | 欧州関係
 アングロ・サクソン民族には、極めて頑迷な側面がある。ヤード・ポンド法の墨守はその一つである。世界の大勢がメートル法採用で動いているのに、英国とその連邦諸国、それに米国はヤード・ポンド法採用を止めようとしない。

 日本のように、基本的にメートル法が定着している国から英国へ行くと、長さ、重さ、容量の単位で戸惑う。生ビールなどは、下記記事のように「パイント」単位で売られるし、ガソリンやウィスキーは「ガロン」単位、距離の「マイル」も換算が面倒だ。

 だが、英国や米国でも科学学術論文ではヤード・ポンド法ではなく、メートル法をベースにしたMKS単位系を使う。そうでないと他国の科学者達が論文を読んでくれないし、投稿規程もMKS単位系を使うよう指示しているからだ。

 多分、アングロ・サクソン民族の中でも、インテリ層はメートル法採用に抵抗は無いのだろう。だが、一般大衆はヤード・ポンド法に馴染んでいるから、頑迷に変えようとはしない。EU先進諸国の中では、英国はユーロを採用せず、ポンド維持に拘っている。

 それに比べると、日本人は協調性が豊かで、第二次大戦後は「尺貫法」を徐々にメートル法に変えて定着させた。今、尺貫法で生き残っているのは、家の広さの「坪」、酒など液体計量に使う「升」、田んぼの広さの「町歩」や「反」位だろうか。若い人達は、身長が5尺5寸と言われても、怪訝な顔をするだけだ。
 
 もう一つ、英語圏では温度表示にファーレンハイト温度(華氏、°F)が常用される。メートル法採用の国では、物理的意味が明確なセルシュウス温度(摂氏、℃)が常用されるが、英米では病院でも体温は華氏表示だ。これも、外国人には煩わしいのだが、アングロ・サクソンは頑なに変えようとしない。学術論文では、当然ながら℃が常用され、絶対温度が併記される場合が多い。

 昨年末、英国では欧州議会の勧告に反対して、ヤード・ポンド法の存続を決めた。暫くはそれが続くと予想されるが、これは益々英国の国力低下に繋がるのではないか。


英国、ヤード・ポンド法継続へ EUの「メートル法」使用退ける
2008.12.17 11:41

 日常生活で長さや重さの単位として「ヤード・ポンド法」が使われている英国と、加盟国にメートル法の使用を求めていた欧州連合(EU)との計量単位をめぐる争いが英国側の勝利で決着したと、BBC放送(電子版)などが16日伝えた。

 英国ではビールの量はパイント(約570ミリリットル)で表記するのが一般的で、英大衆紙サン(電子版)は「英国のパイントに乾杯」との見出しで好意的に報じた。

 英PA通信によると、英国はこれまで特例措置として、ヤード・ポンド法の使用が2009年まで認められていた。16日に欧州議会で、この問題をめぐる投票があり、09年以降もヤード・ポンド法の使用を認めることを決めたという。

 英国のフリント欧州担当閣外相は投票の結果について「良識の勝利だ」と胸を張っている。(共同)
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/081217/erp0812171142006-n1.htm
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 国会の一院制化に賛成 | トップ | 阪神大震災と国防体制を想う »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

欧州関係」カテゴリの最新記事