「こんにちわッ、テディちゃでス!
つゆいりィ~はッぴょうッ??」
「がるる!ぐるがるぐるる……!」(←訳:虎です!湿度との闘いだ……!)
こんにちは、ネーさです。
関東甲信地方も、今日6月8日から梅雨入り、となりました。
いや~もう先週の大豪雨で6月分の雨は充分に降っちゃったでしょ?
とぼやきたいジメジメな気持ちを
読書でカラッと吹っ飛ばしましょう。
本日はこちらの御本を、さあ、どうぞ~♪
―― 川端康成の話をしようじゃないか ――
著者は小川洋子(おがわ・ようこ)さん×佐伯一麦(さえき・かずみ)さん、
2023年4月に発行されました。
川端康成さん(1899~1972)。
2022年は作家・川端康成さんの歿後50年、という
記念すべき年でした。
そこで、と編集者さんは思いついたそうです。
ふたりの作家さん――
小川洋子さんと佐伯一麦さんによる
『川端康成の話をしようじゃないか』会談企画を。
「うむむッ! わだいはァ、ただひとつゥ!」
「ぐるがる!」(←訳:川端さん!)
小川さんと佐伯さんは、
川端さんと縁深い3つの都市、
大阪、神戸、京都、で連続対談を行いました。
この御本には対談を記録した
『対話Ⅰ』『対話Ⅱ』『対話Ⅲ』と、
巻末には、小川さんのエッセイ2編、
佐伯さんのエッセイ2編も収録されています。
「きょうとォ……いいなァ~!」
「がるぐる!」(←訳:古都だね!)
京都と聞くだけで、
川端さんの御本の表紙画が思い浮かびますね。
東山魁夷さんが描いた、なつかしい京の町並み、
植林の冴え冴えとした青……。
しかし、佐伯さんと小川さんの対談は、
懐古的というよりも、
果敢でアグレッシブ!
お二人の話が進むにつれ、
幾つもの”発見“が明らかになってゆきます。
私ネーさ、読んでいて本当にハッとさせられたのが、
川端さんの文字遣いについてのお話です。
川端さんは、
当時はごく自然な、当たり前のことですが、
手で原稿を書いていました。
そして、その手書き原稿は、
旧かな遣いであった、と……!
「きゅうゥかなッ?」
「ぐるがる!」(←訳:ああアレ!)
稲妻の『いなずま』は『いなづま』、
憲法の『けんぽう』は『けんぱふ』、
『ゑ』や『ゐ』といった旧かなを使って
川端さんは作品を記述していた、とはけっこうショックです。
現代のかな遣いとは視覚的に大きく異なりますから、
空気や、会話のテンポ、全体の印象も変わってくる……
いや、盲点でした、
私ネーさ所蔵の『雪国』は完全に現代かな表記なので、
恥ずかしながらまったく思い到りませんでした。
また、本文115ページの
『《山の音について》あるいは《純文学》とは何か』では、
小川さんと佐伯さんが想像する
少年時代の川端さんが可憐で愛らしく、
それでいてひどく孤独です。
小川さんのいう、
『母親に抱き締められたことのない川端の淋しさ』のお話は、
特に胸に迫りますね……。
「うむゥ! つぎつぎとォ、みえてくるゥのでス!」
「がるるるるぐるるがる!」(←訳:川端さんの新しい顔が!)
敬意をこめて、
なによりも愛情をこめて、
ふたりの作家さんが語り合う
川端康成さんの創作、功績、生涯。
近代日本文学好きな活字マニアさんに
激おすすめの対談集です。
ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪