テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 『川端さん』を語り合う。 ~

2023-06-08 22:05:49 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 つゆいりィ~はッぴょうッ??」

「がるる!ぐるがるぐるる……!」(←訳:虎です!湿度との闘いだ……!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 関東甲信地方も、今日6月8日から梅雨入り、となりました。

 いや~もう先週の大豪雨で6月分の雨は充分に降っちゃったでしょ?

 とぼやきたいジメジメな気持ちを

 読書でカラッと吹っ飛ばしましょう。

 本日はこちらの御本を、さあ、どうぞ~♪

  

 

 

       ―― 川端康成の話をしようじゃないか ――

 

 

 著者は小川洋子(おがわ・ようこ)さん×佐伯一麦(さえき・かずみ)さん、

 2023年4月に発行されました。

 

 川端康成さん(1899~1972)。

 

 2022年は作家・川端康成さんの歿後50年、という

 記念すべき年でした。

 そこで、と編集者さんは思いついたそうです。

 

 ふたりの作家さん――

 小川洋子さんと佐伯一麦さんによる

 『川端康成の話をしようじゃないか』会談企画を。

 

「うむむッ! わだいはァ、ただひとつゥ!」

「ぐるがる!」(←訳:川端さん!)

 

 小川さんと佐伯さんは、

 川端さんと縁深い3つの都市、

 大阪、神戸、京都、で連続対談を行いました。

 この御本には対談を記録した

 『対話Ⅰ』『対話Ⅱ』『対話Ⅲ』と、

 巻末には、小川さんのエッセイ2編、

 佐伯さんのエッセイ2編も収録されています。

 

「きょうとォ……いいなァ~!」

「がるぐる!」(←訳:古都だね!)

 

 京都と聞くだけで、

 川端さんの御本の表紙画が思い浮かびますね。

 東山魁夷さんが描いた、なつかしい京の町並み、

 植林の冴え冴えとした青……。

 

 しかし、佐伯さんと小川さんの対談は、

 懐古的というよりも、

 果敢でアグレッシブ!

 お二人の話が進むにつれ、

 幾つもの”発見“が明らかになってゆきます。

 

 私ネーさ、読んでいて本当にハッとさせられたのが、

 川端さんの文字遣いについてのお話です。

 

 川端さんは、

 当時はごく自然な、当たり前のことですが、

 手で原稿を書いていました。

 

 そして、その手書き原稿は、

 旧かな遣いであった、と……!

 

「きゅうゥかなッ?」

「ぐるがる!」(←訳:ああアレ!)

 

 稲妻の『いなずま』は『いなづま』、

 憲法の『けんぽう』は『けんぱふ』、

 『ゑ』や『ゐ』といった旧かなを使って

 川端さんは作品を記述していた、とはけっこうショックです。

 現代のかな遣いとは視覚的に大きく異なりますから、

 空気や、会話のテンポ、全体の印象も変わってくる……

 いや、盲点でした、

 私ネーさ所蔵の『雪国』は完全に現代かな表記なので、

 恥ずかしながらまったく思い到りませんでした。

 

 また、本文115ページの

 『《山の音について》あるいは《純文学》とは何か』では、

 小川さんと佐伯さんが想像する

 少年時代の川端さんが可憐で愛らしく、

 それでいてひどく孤独です。

 

 小川さんのいう、

 『母親に抱き締められたことのない川端の淋しさ』のお話は、

 特に胸に迫りますね……。

 

「うむゥ! つぎつぎとォ、みえてくるゥのでス!」

「がるるるるぐるるがる!」(←訳:川端さんの新しい顔が!)

 

 敬意をこめて、

 なによりも愛情をこめて、

 ふたりの作家さんが語り合う

 川端康成さんの創作、功績、生涯。

 

 近代日本文学好きな活字マニアさんに

 激おすすめの対談集です。

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

  

コメント
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