まちみちふうけい

四角い枠に切り取られた風景は一瞬のもの、そんな一瞬を追い求めてこれからも相棒と走り続ける・・・

No.1220 万葉歌碑巡り・明日香村、橿原市編

2019-11-06 10:59:05 | 万葉
おはようございます。















万葉歌碑巡り、今回は橿原市編、一部明日香村も含めて広い範囲でお送りしていきたいと思います。まずは写真1枚目、中和幹線沿いの磐余神社にある歌碑↓↓↓

「ま菅よし 宗我の川原に 鳴く千鳥 間なし我が背子 我が恋ふらくは」(作者不詳・巻12-3087)

「宗我の川原」とは曽我川のことでしょう、ここからすぐ東の所を流れています、文字の感じからして恋をしている歌だと言うのがうかがえるが、その気持ちを川原で鳴く千鳥のように・・・アカン、千鳥と言うとどうしても『突撃カネオ君』と『相席食堂』を思い出してしまう・・・と表しています。「ま菅よし」は「宗我」の枕詞と言うことですが、この神社から南に行った所にある近鉄大阪線の真菅駅の駅名もここから来ているようです。

「思ひあまり いたもすべなみ 玉たすき 畝傍の山に 我れ標結ひつ」(作者不詳・巻7-1335)

写真下2枚目にあるのは畝火山口神社の歌碑、場所は近鉄南大阪線橿原神宮西口駅から北へ行った所、場所的にはサトスタから見た畝傍山の裏側に当たる所です。急な上り坂を進んで山の中腹辺りにある神社、その入口にある歌碑には文字通り、畝傍の山が詠われています。ただその碑にある「unebi」は「畝火」とあり神社名も「畝火」、ちなみに原文では「雲飛山」と記されている、畝傍山が火山だったと言う説もあったので火と言う漢字を当てたのでしょうか、原文でも雲が飛ぶって噴火を表しているようですし・・・。

















写真上6枚は藤原京資料室にある万葉歌碑、ではなく幕と言ったところでしょうか、藤原京と言うとやはり持統天皇↓↓↓

「春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天の香具山」(持統天皇・巻1-28)

この歌は確か前にも取り上げましたね。

「香具山は 畝傍を愛しと 耳成と 相争ひき・・・」(中大兄皇子・巻1-13)

これも前に取り上げました、藤原京は大和三山に囲まれるようにあって、この歌は確か三山を恋愛の△関係に見立てていたものでした、神に例えたれた山も歌の世界では風流を演出する重要なキャラクターの様です。

さて、前回明日香村編で拾い上げることができなかった分についてここでお送りしておきましょう。写真下6枚にある歌碑はどれも万葉文化館の庭園にあるもの、まあ場所的に万葉文化館にある歌碑だからそのままやん、てな感じなのですが、訪れたこの日は令和の施行の4日前、「令和」の出典が万葉集だと言うことで歌碑を巡っている人も結構いる感じ、まあそう言う自分も大概なにわかなんですけどね。

「春日にある 御笠の山に 月の舟出づ 風流士の 飲む酒坏に 影に見えつつ」(作者不詳・巻7-1295)

一番下の写真にある歌碑を取り上げました、「春日にある 御笠の山」って奈良のことだよなあ、となると作者は不詳とあるが平城京の時代の人なのか。「月の舟出づ」とはもう見たまま舟のようなお月様が三笠の山から上ってきたと言うことだが、舟のような月と言うと三日月か半月か、舟の形で上りとなると下弦か、となると月が上ってきた時間っていつ?この作者の人が酒を飲んでいた時間って一体いつ・・・?














橿原市に戻って、と言っても明日香村と橿原市は目と鼻の先、ほんのチョイと走るだけで行き来できる所です。上の写真にあるようにいろいろな場所のいろいろな歌碑を巡ったわけですが、ひとつひとつ取り上げている時間はありません、と言うことでこのゾーンではひとつだけ↓↓↓

「忘れ草 我が紐に付く 香具山の 古りにし里を 忘れむがため」(大伴旅人・巻3-334)

いろいろと巡っているのに結局は本薬師寺かよ~てな感じですが、ホテイアオイでお馴染みな所、しかし歌に詠まれているのは「忘れ草」・・・勿忘草のこと?一緒の花なの、何かよく分からない、同じようでもあり違うようでもありな感じなのでこだわるのはやめときましょ。大伴旅人が大宰府で故郷を懐かしんで詠んだ歌だと言うことですが、ここでも出てくる「香具山」=天香久山、ここでも何度も書きましたが今は付近の住宅地に邪魔されるかのようにほとんど姿を見ることはできません。大伴旅人は大宰府に赴いていたとのことですが、この歌を詠んだのがもう60を過ぎた頃、やはりお役人さんと言えども故郷を懐かしむのは仕方ないところなのでしょう、ただ忘れ草を詠んだと言うことは自分の最期をある程度は思っていたのかも知れない寂しさがうかがえるようです。今回もご覧いただきましてどうもありがとうございました。           まちみち


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