四人の報告者の発言の後で、質疑応答が行われました。
石井英行
学生時代に、脳性小児麻痺の子どもたちとのキャンプ活動をしていた。
現在やっているクラブでは、軽い知的障害のこどもたちの遊び相手をしている。
重い障害の子どもたちと比較すると、彼らのような目に見えない障害を持つこどもたちは、普通学級では学べないが支援学級でも難しく、子どもたちの行き場がない。
はじめはどうしたらいいかわからなかったが、いつのまにか二十年以上たった。
アウトドア系の活動が中心。
子どもたちはかわいく、いじめのない世界。
クラブには小学生か中学生で入るが、特に卒業はないので三十歳以上の人もいる。
クラブには若いスタッフもいるので、彼らはは年下の友達を持てる。
問題は、彼らが家庭と学校とクラブの三角形から抜けられないこと。
自分は、彼らの友人であり、その経験の中で詩を書いている。
福田隆浩
特別支援学級で働いている。
現在は、知的障害の小学部の学級を担当している。
その経験に基づいて、今は主に高学年を対象にした作品を書いている。
吉野万理子
専業のエンターテインメント作家。
YA が得意。
今っぽい子どもたちを書いていると言われるが、すぐに陳腐化するスマホなどの風俗はなるべく避けている。
取材は、作品のプロットやキャラクターが固まってから、分からないことだけを調べている。
もっと子どもを本に誘う努力が必要。
読みやすい文章を心掛けているが、なるべく漢字を使うようにしている。
子どもたちの好きなコンテンツ(マンガ、アニメ、ゲームなど)をチェックしている。
いじめる側の子どもを書きたいが、そのまま書くと児童書にならない。
村中
取材は苦手なので、対象と一緒にすごしてしまう。
今の子どもたちや若者風俗については、商業主義の内幕も含めて書きたい。
大きな物語ではなく、小さな私の物語を書きたい。
どこにでもいる子どもたちを描きたい。
女性受刑者が自分の子どもに向けて絵本の読み聞かせをするのを録音する(オリジナルのイギリスでは読んでいる姿も録画している)プログラムを10年やっている。
女性受刑者は、プログラムの過程でだんだん自分を見つけていく。
受け取りを拒否する子どもたちも三割ぐらいいるが、退所時には録音したCDを女性たちに渡している。
彼らと平地で一緒に呼吸するのが大事。
内容はどれも興味深かったのですが、一応研究会なので報告者たちのレジュメは欲しかったです。