現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

黒川博行「左手首」左手首所収

2016-10-19 07:29:07 | 参考文献
 この短編でも、衝動的に犯罪に走って破滅していく若い男が描かれます。
 美人局、殺人、死体をバラバラにする、死体遺棄と坂道を転げるようにして転落していきます。
 短編集の表題作ということもあり、他の作品よりも社会の底辺に生きる若者たちの退廃感が鮮明に描かれています。
 現代の貧困、世代間格差などが、若い世代の犯罪への転落と紙一重であることを考えると極めて今日的であり、今の児童文学では絶対に取り上げない世界だろうなあと思います。

左手首 (新潮文庫)
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新潮社
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日本児童文学者協会創立70周年記念公開研究会A分科会「子どもたちの“いま”を見つめて」

2016-10-18 08:55:16 | 参考情報
 四人の報告者の発言の後で、質疑応答が行われました。

石井英行
 学生時代に、脳性小児麻痺の子どもたちとのキャンプ活動をしていた。
 現在やっているクラブでは、軽い知的障害のこどもたちの遊び相手をしている。
 重い障害の子どもたちと比較すると、彼らのような目に見えない障害を持つこどもたちは、普通学級では学べないが支援学級でも難しく、子どもたちの行き場がない。
 はじめはどうしたらいいかわからなかったが、いつのまにか二十年以上たった。
 アウトドア系の活動が中心。
 子どもたちはかわいく、いじめのない世界。
 クラブには小学生か中学生で入るが、特に卒業はないので三十歳以上の人もいる。
 クラブには若いスタッフもいるので、彼らはは年下の友達を持てる。
 問題は、彼らが家庭と学校とクラブの三角形から抜けられないこと。
 自分は、彼らの友人であり、その経験の中で詩を書いている。

福田隆浩
 特別支援学級で働いている。
 現在は、知的障害の小学部の学級を担当している。
 その経験に基づいて、今は主に高学年を対象にした作品を書いている。

吉野万理子
 専業のエンターテインメント作家。
 YA が得意。
 今っぽい子どもたちを書いていると言われるが、すぐに陳腐化するスマホなどの風俗はなるべく避けている。
 取材は、作品のプロットやキャラクターが固まってから、分からないことだけを調べている。
 もっと子どもを本に誘う努力が必要。
 読みやすい文章を心掛けているが、なるべく漢字を使うようにしている。
 子どもたちの好きなコンテンツ(マンガ、アニメ、ゲームなど)をチェックしている。
 いじめる側の子どもを書きたいが、そのまま書くと児童書にならない。
村中
 取材は苦手なので、対象と一緒にすごしてしまう。
 今の子どもたちや若者風俗については、商業主義の内幕も含めて書きたい。
 大きな物語ではなく、小さな私の物語を書きたい。
 どこにでもいる子どもたちを描きたい。
 女性受刑者が自分の子どもに向けて絵本の読み聞かせをするのを録音する(オリジナルのイギリスでは読んでいる姿も録画している)プログラムを10年やっている。
 女性受刑者は、プログラムの過程でだんだん自分を見つけていく。
 受け取りを拒否する子どもたちも三割ぐらいいるが、退所時には録音したCDを女性たちに渡している。
 彼らと平地で一緒に呼吸するのが大事。

 内容はどれも興味深かったのですが、一応研究会なので報告者たちのレジュメは欲しかったです。

チャーシューの月 (Green Books)
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小峰書店
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マスクマン、最後の日

2016-10-18 08:10:37 | キンドル本
 人気テレビアニメ「マスクマン」の放送が終了します。
 主人公のクラスの男子は、みんなマスクマンのファンです。
 彼らは、最終回をリアルタイムで見たいと思っていました。
 ところが、日曜日のその時間に、授業参観が行われることになってしまいました。
 なんとか最終回をリアルタイムで見たい主人公は、友だちと最終回を見るための対策チームを作ります。
 みんなは、最終回を見るためにいろいろな秘密作戦をが考え出しました。
 でも、いろいろと障害があって、うまくいきそうにありません。
 最後に選ばれた秘密作戦はなんだったでしょうか?
 その作戦の実行には、数々の困難やハプニングが待ち受けていました。
 みんなの友情と団結で、はたして秘密作戦は勝利できるでしょうか?

 (下のバナーをクリックすると、スマホやタブレット端末やパソコンやKindle Unlimitedで読むことができます)。

マスクマン、最後の日
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平野 厚
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黒川博行「徒花」左手首所収

2016-10-18 08:04:24 | 参考文献
 風俗店のやとわれ店長が、架空の儲け話にのって、ついに強盗までしてしまう話です。
 ここでも、犯罪や風俗に対する黒川の豊富な知識が発揮されていて、一定のリアリティはあります。
 しかし、犯罪の書き方がかなり雑で、終わり方もあっけないです。
 もしかすると、考えもなしにあっさりと一線を踏み外してしまう人たちの姿を描きたいのかもしれませんが、書き方の方は丁寧に書いてほしいです。
 しかし、こういった社会に適合できずに底辺でもがいている若者の姿は、児童文学でももっと描かれてもいいと思います。

左手首 (新潮文庫)
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落合恵子「子どもと大人、同時代を生きる~クレヨンハウス40年の歩み~」

2016-10-18 07:41:31 | 参考情報
 日本児童文学者協会の創立70周年記念公開研究会での講演です
 彼女の基本的な考え方の話から始まりました。
 それは、ネイティブ・アメリカンに伝わる「七世代先の子どものことを考える」ということで、そこまでいかなくても、次世代あるいは孫世代のことを考えて行動しているそうです。
 それは、多くの児童文学者とも共通する考え方ではないでしょうか。
 その後は、いろいろと話が飛びましたが、以下のように分類できます。
 彼女の政治および社会活動の話(安倍政権批判、トランプ批判、石原慎太郎批判、TPP反対、反原発、戦争反対、ペットブームと殺処分、動物実験反対、新潟知事選挙など)。
 クレヨンハウスの話(児童書も含めて命にとって大事なもの、オーガニックの八百屋、クレヨンハウスのお金はどこ(男)から来てるのと言われた(実際は「スプーン一杯の幸せ」の印税)、女性の働く場所を確保する、平和と反戦の絵本、女性の一生を描いた絵本など)。
 文学の話(ボブ・ディラン、文学の範囲とはなにか、子どもの本は全ての世代のため、読まれて初めて本になるなど)。
 差別の話(子どものいない人に何ができるといわれる、子どものいる人が何をしたのか、アザー・ボイス(非主流の声)、フェミニズム(男性優位主義というナショナリズムに異議申し立てする)、一般に普通と言われる人たちとそれ以外のマイノリティの人々、女性の人権、子どもの人権、シングルマザーの子どもとして生きてきた自らの生い立ち、オリンピックは国威発揚のため(一番感動したのは1968年のメキシコオリンピックの表彰式で人種差別反対を表明した選手たち)など)。
 彼女の主張の是非は別として、観衆(特に女性)の共感を得るスピーチがうまいなと思いました。
 ただ、日本児童文学者協会の創立70周年記念公開研究会における講演ということを考えると、もっと「児童文学」に寄せた内容にすべきだったでしょう。
 特に、ラストで彼女がかかわって作った歌をCDか何かで聞かされた時は、強い違和感を覚えました。
 それは、私だけではなく、その後の分科会や懇親会の時に、他の児童文学者たちも違和感を感じたことを述べていました。
 おそらく落合のファンが多いであろういつもの講演会ではここで盛り上がるのでしょうが、今回はどこかしらけた雰囲気になっていました。
 また、「私がフェミニストなのは女性がマイノリティだからで、男性がマイノリティになったら私は男性を擁護する」と述べていましたが、完全に男性(書き手も読み手も)がマイノリティでL文学(女性の作家が、女性を主人公にして、女性の読者のために書いた文学)化している現在の日本児童文学の状況(当日も参加者の大半は女性でした)を考えると、皮肉にしか思えませんでした。

スプーン一杯の幸せ―愛を語る三つの形
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祥伝社



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夏、雨上りの野球

2016-10-17 08:53:04 | キンドル本
 夏休みの楽しい日々が続いています。
 少年野球チームのデイキャンプで川でおぼれかけた主人公は、チームへ入る時に辞めたスイミングスクールにまた通うことにします。
 主人公は、チームのキャプテンの妹に淡い気持ちをいだいています。
 その女の子の前でおぼれかけて、かっこ悪い姿を見せたので、水泳をうまくなろうと思ったのです。
 台風がやってきたための日程変更で人数が不足して、主人公ははじめて少年野球の試合に出場できます。
 初恋の女の子も、その試合を見にきています。
 メンバー不足で主人公たち下級生も出しているチームは、相手に大差でリードされてしまいます。
 突然の雨で試合が中断された後に、主人公たちが見たものはなんでしょうか?

 (下のバナーをクリックすると、スマホやタブレット端末やパソコンやKindle Unlimitedで読めます)。

夏、雨上りの野球
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平野 厚
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黒川博行「内会」左手首所収

2016-10-17 08:46:56 | 参考文献
 内会(ないがい)というのは、カタギがヤクザに内緒で自分たちで開く賭場のことです。
 この内会の賭場を襲う賭場荒らしの若者たちを描いています。
 犯罪や博打に対する黒川の知識はこの作品でも発揮されているのですが、なんとも雑な作品です。
 若者たちの犯罪計画もかなり雑なのですが、黒川の書き方もそれを上回るように雑で中途半端です。
 何を書きたかったのかよくわからない、雑誌に書き飛ばした短編のようです。
 こういった中途半端な作品は、児童文学の世界でもエンターテインメント系の人気作家の作品によく見られます。
 おそらくたくさんの仕事を抱えていて、閉め切りに追われて苦し紛れに書いてしまうのでしょう。


左手首 (新潮文庫)
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藤田のぼる「現代児童文学の<始まり>をめぐって」日本児童文学2013年3-4月号

2016-10-16 09:59:21 | 参考文献
 雑誌「日本児童文学」に連載されている「現代児童文学史ノート」のその二です。
 ようやく本題に入って、現代児童文学のスタート時期について述べています。
 特に目新しいものはなく、通説通りに1959年の佐藤さとるの「だれも知らない小さな国」といぬいとみこの「木かげの家の小人たち」の出版をスタートとして、それ以前の作品「例えば同じいぬいとみこの「長い長いペンギンの話」は「フライング」だと称しています。
 また、評論面でのスタートも通説通りに、「少年文学宣言」派と「子どもと文学」派について簡単に触れていますが、両派の「現代児童文学」の定義の違いや、「変革の意志」と「社会主義リアリズム」との関連が不明であいまいな感じをうけます。
 まあ、これは論文ではなく思い出話も入れたエッセイなのですから、厳密さを求めるのは筋違いかもしれませんが。
 この現代児童文学の出発が戦後15年近く要した内的な要因として、当時子ども(あるいは若者)だった世代が、同人誌活動などを経て作家として自立するのに必要だったとしている点は説得力がありました。
 また、現代(日本)児童文学にとって、岩波書店などを通しての外国児童文学の影響(一番有名なのはメアリー・ノートンの「借り暮らし」シリーズが「木かげの家の小人たち」の下敷きになっていることですが、それ以外にノーソフの「ヴィーチャと学校友だち」や、やや古いですがケストナーの一連の作品などあげています)を指摘している点も重要です。。
 現代児童文学のスタートの外的な要因として、日本の経済の発展、高校や大学の進学率の向上などの社会的背景に触れているのも大事なポイントです。
 そのころの社会状況について、それ以外にも駆け足で述べていますが、当時の藤田が革新側の立場に立っていたことは理解できるのですが、それから四十年以上たった現代において、当時の革新陣営の活動が行き詰まりを見せた原因について藤田なりの考察がないと、単なる懐古的な文章になってしまうのではないでしょうか。
 総じて、現在、児童文学研究者の間でコモンセンスになっている点が要領よくまとめられているので、「現代児童文学史」になじみのない読者にはわかりやすく書かれていると思います。

日本児童文学 2013年 04月号 [雑誌]
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児童文学に社会的な問題をどのように描くか

2016-10-15 09:50:24 | 考察

 児童文学に、社会的な事象があまり描かれなくなってから久しいです。
 60年代から80年代にかけては、政治的、あるいは社会的な問題を題材にした多くの児童文学作品が描かれました。
 例えば、山中恒「赤毛のポチ」や古田足日「宿題ひきうけ株式会社」では労働問題、鈴木実他「山は泣いている」や岩瀬成子「朝はだんだん見えてくる」では基地や反戦の問題、丘修三「ぼくのお姉さん」では障害者問題が、作品の題材だったり背景だったりしました。
 しかし、出版バブルが崩壊し、社会主義的リアリズムが破たんした現在では、社会的な問題を取り上げた作品の出版は極めて難しくなっています。
 たんに、そういった作品が売れないという商業的な理由ばかりではなく、過度にポリティカル・コレクトネスに配慮して特定の政治的あるいは社会的な主張を避ける傾向があることも否めません。
 そういった中で、いじめや登校拒否などの学校に関する問題は、児童文学で比較的取り上げやすい題材だったかもしれません。
 今後の可能性としては、子どもの貧困、ドメスティック・バイオレンス、高齢者をターゲットとしたオレオレ詐欺や催眠商法、ヤングケアラー(若年介護者)なども、もっと児童文学で描かれるべきでしょう。
 その場合は、子どもたちだけでなく、親世代や祖父母世代も含めて、いろいろな年代の人々の共棲する姿を描き出す工夫が求められます。

ぼくのお姉さん (偕成社文庫)
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おねえちゃんの天丼

2016-10-15 08:55:22 | キンドル本
 主人公のおねえちゃんは、高校三年生だった去年のクリスマスのころに交通事故にあって、入院しました。
 そのために、せっかく決まっていた就職先も失ってしまいました。
 でも、事故にも失職にも負けないで、おねえちゃんはおかあさんが見つけてきた新しい職場で働き始めます。
 その初月給の日に、主人公はおかあちゃんと一緒に、おねえちゃんの会社を訪ねます。
 そのお金で、お昼をご馳走してくれるというのです。
 おねえちゃんは、職場で頑張っているようです。
 おねえちゃんの初月給でおごってもらった天丼の味は?
 
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おねえちゃんの天丼
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黒川博行「解体」左手首所収

2016-10-15 08:27:22 | 参考文献
 保険金詐欺から殺人にまで転落していった解体屋の話です。
 詐欺や犯罪のからくりは面白いのですが、人物がしっかり書かれていないので、全体にあらすじのようで物足りません。
 おそらく雑誌の編集部から原稿の枚数を指定された依頼原稿なのでしょう。
 児童文学の世界でも、こういった場合には中途半端な作品が書かれることはよくあります。

左手首 (新潮文庫)
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桜木紫乃「シャッターチャンス」ホテルローヤル所収

2016-10-15 08:23:00 | 参考文献
 直木賞を取った短編集の巻頭作品です。
 けがで挫折した元花形アイスホッケー選手の男が、元はラブホテルだった廃墟で恋人のヌード写真を撮影して、嘘か真か、雑誌に投稿してプロのカメラマンを目指したいと言います。
 官能的な描写やすれ違う男女の思いなどを、非常に技巧的な文章でつづっています。
 設定やエピソードには新鮮味を感じませんでしたが、描写や文章のうまさには感心しました。
 児童文学でも80年代ぐらいから小説を志向した作品(例えば江國香織など)がたくさん書かれ、一般文学への越境と言われましたが、どうせ越境するならばこのくらいの文章力や描写力は欲しいものです。

ホテルローヤル
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集英社
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児童文学の主人公について

2016-10-14 12:31:04 | 考察
 児童文学の主人公は、いろいろな設定が可能です。
 例えば、王様だったり(寺村輝夫「ぼくは王さま」シリーズ)、クマだったり(神沢利子「クマの子ウーフ」シリーズ(その記事を参照してください)、トラだったり(小沢正「目をさませトラゴロウ」)します。
 しかし、実は彼らを使って「人間の子ども」を描いているケースが多いです。
 そんな時は、主人公の属性(王様、クマ、トラなど)と子どもの本質をどのように融合させて描くかが、作者の腕の見せ所です。

ぼくは王さま (新・名作の愛蔵版)
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キャッチボール

2016-10-14 11:59:21 | キンドル本
 主人公は、少年野球チームに入っています。
 そのチームでは、監督が厳しいのでメンバーがやめてしまい、どんどん少なくなっています。
 また一人、監督に叱られてやめそうになっています。
 主人公はその子と仲良しで、何とか引き留めたいと思っています。
 ある日、主人公は練習に出なくなったその子と、偶然出会ってキャッチボールをします。
 二人は、キャッチボールを通して心を通わせます。
 キャッチボールの大切さを二人に教えてくれたのは、実はチームの監督でした。
 次の練習試合の日、その子はやっぱり来ません。
 主人公は、やきもきしてその子を待っています。
 試合の途中で、ようやくその子が現れました。
 はたして、その子はチームへ戻ってきたのでしょうか?

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キャッチボール
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黒川博行「繚乱」

2016-10-14 08:49:07 | 参考文献
 2007年下半期の直木賞の候補になった「悪果」(その記事を参照してください)の後日談です。
 前作のラストで警察をクビになった大阪府警の悪徳刑事コンビが、競売屋の手先になって、またまた警察OBの怪しげなコンサルタントや極道とすったもんだしたあげく、苦労して大金を手に入れるまでを描いています。
 もちろん、この作品でも単純なハッピーエンドにならないような仕掛けはしてあります。
 ここでも、警察とパチンコ業界などの癒着や極道と言った裏社会に対する豊富な知識を駆使して、リアリティのあるエンターテインメントになっています。
 しかし、主人公の二人が、ますますただの犯罪者になっていくので、さらに読者が共感できない物語になっています。
 それを補うように官能シーンなども描いているのですが、どうも黒川は男同士の乱闘シーンの方が向いているようです。

繚乱
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毎日新聞社
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