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マドリード 南国の夕べ




マドリードで夕食に向かう道すがら、午後8時半。

金色の残光に照らされた星バルバラ教会 Parish Church of Saint Barbraのファサードと、そこから出てくる衣服を整えた人たち。

ミサを終えてこれからどちらへ? 

まるで教会を背景に演劇が始まるかのようで、ずっと眺めていたくなる光景だった。

旅はいいなあ、大人っていいなあ、と思う。
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スペインの服飾史 museo del traje




マドリードにはプラド美術館がある。

ティッセン・ボルネミッサ美術館、ソフィア王妃芸術センターも...

何度行っても喜びのつきない美術館だ。


ハプスブルク家は、16世紀から17世紀、ブルボン家は18世紀にスペインに君臨した。
多くの支配者と同様、彼らは美術や文化に対する強い関心を持ち、蒐集に余念がなく、多くの芸術家を支援した。
その結果、優れた芸術品やコレクションがスペインに集められたのは当然と言えるだろう。

また、20世紀になってからは、特にフランコ体制の終焉後、70年代後半から80年代にかけて、スペインの各地域で民族主義や自治運動が活発化。
バスク地方やカタルーニャ地方などの地域で、民族自決運動が盛んになり、独立や広範な自治の要求が高まる。


今回は、マドリードで一度も訪れたことのない服飾博物館(Museo del Traje)博物館へ行った。

起源は20世紀初頭に開催された、スペインを中心にした歴史衣装展覧会だ。
おそらく、民族主義的、国民国家的な背景があるのでは。

民族衣装の部屋は特に見応えがあった。
説話的で、象徴が多用され、カラフルで、どこか懐かしい衣装...

子供のころ、百科事典で民族衣装のページを見るのが大好きだったのを思い出した。




わたしの目が特に輝いたのはこちら...

イングランド王チャールズ1世妃、ヘンリエッタ・マリア・オブ・フランス(17世紀)の着せ替え人形(?)!
こんなの見たの初めて!

王族は昔からアイドルだったのであろう。




内部は暗いが、外に出ると目がくらむ...南欧の空。

建築家のハイメ・ロペス・デ・アシアインは1969年にこの設計で国民建築賞を受賞。
マドリードの青空に映える。
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el escorial




マドリードから高速に乗って50分ほど、グアダラマ山脈の麓へ向かう。

山頂あたりに雪が残る、自然豊かなサン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアルへ。




エル・エスコリアル修道院は要塞のような威容に、清浄な空気をまとっている。

今回はこちらを訪問して、ティツィアーノやベラスケスを見るのも主な目的の一つだった。




時は16世紀。

フェリペ2世は、スペイン国王にして神聖ローマ皇帝であった父親のカール5世(カルロス1世)から広大な帝国を引き継ぐ。

その治世はスペイン帝国の絶頂期に重なり、ヨーロッパのみならず、中南米やフィリピンに及ぶ大帝国を支配。
メキシコやペルーなどからの大量の銀の輸出は、スペイン帝国を支え、ヨーロッパにおける経済的な影響を大きく変えた。

さらにレパントの海戦では、地中海の覇権を争ったオスマン帝国を退けて勢力を拡大した。

加えてポルトガル国王も兼ね、イベリア半島を統一すると、ポルトガルの植民地も継承。その繁栄は「太陽の沈まない国」と形容された。

なるほど彼は自分自身をソロモン王に擬えたというが、ここまで権力をほしいままにしたならば、単なる誇大妄想狂というわけでもないだろう。




ちなみに、わたしがここで興味を持つのは「なぜ『太陽の沈まない国』を支配したスペインが、覇権国家になれなかったのか」である。

スペインは「ひたすら金銀といった貨幣を蓄積することに励み、産業の発展には至らず、オランダは商業を発展させましたが中継貿易が主で、自らの国で商業を起こせませんでした。それに対してイギリスは、輸入した原材料を使って産業を興し、それによって資本主義を発展させ、海洋の支配権を握ることができたのです。イギリスは、加工貿易によって産業を興し、商品市場を支配しました」(的場昭弘著「『19世紀』でわかる世界史講義」)

おもしろいですよね!




フェリペ2世は1557年のサン=カンタンの戦勝を祝し、聖ラウレンティウスに修道院を奉献することを約束した。
それがエル・エスコリアル修道院である。

3人の建築家によって厳格な古典様式にデザインされ、1563年から19年にかけて造営された。

離宮として、あるいはハプスブルグの墓所として、新プラトン主義に基づく大図書館(知はすなわち神であり、世界支配のシンボルといえよう)、反宗教改革主脳としての機能を持たせた大建築。




当然、一二を争う芸術家の作品も多く収める。

たとえば、わたしは今回これを見るためにここまで来たと言って過言ではないティツィアーノ『聖ラウレンティウスの殉教』。
(その他、ティツィアーノ多数、エル・グレコ、ベラスケス、ヴァン・ダイク、ヴェロネーゼ、リベーラなども)





ハプスブルグの華麗なる霊廟を見学して聞こえるのは、祇園精舎の鐘の音。
感じるのは諸行無常。

どれほど権力を持ち、どれほどの土地を支配しようとも。
この世での不可能はない人物でも、近親者を亡くし、自分もいずれ死ぬ。

あちらには何一つ持っていけない。




グアダラマ山脈の向こうに極楽浄土を期待するような。


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マドリードで食い倒れたい




友達と彼女のお嬢さんと合流してマドリードへ。




2つ星も最高だったし...DSTAgE




毎日通う、雰囲気も味も好みのカフェ...ACID




有名店のセカンドラインのタパスはこちらが最高によかった...La Monte




わたしはアイスクリームは好きな方ではないが、こちらは納得の美味しさ...Mistura
抹茶とレモン! 




禁酒中ではあるが(いいシャンパンがあるときだけ飲むルールになっている)、CavaはJaume Codorniuがとても好みで...Glass Bar


彼女たちと一緒に泊まったので、午前3時までシャンパンをはさんでしゃべったり、夜中にスペイン語のTV漫画を見ながら激しくつっこみを入れたりしつつ。
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swan lake 2024 marianela nunez




最愛のひと、Marianela Nunez の2024年シーズン『白鳥の湖』は昨夜で三夜目を終了、次に『白鳥の湖」がかかるのはいつかなあ...2年後くらいかなあ。


白鳥のオデット・オディールのように容姿が美しいダンサーはそれこそいくらでもいると思う。

しかし、白鳥のオデット・オディールの美しさをこの世に現すのは、彼女が当代一だと思う。


次はWinter's Tale!!


...


後日談

今シーズンのMarianela Nunez の『白鳥の湖』は、わたしは3回とも見、どれも卒倒しそうなくらいすばらしかったが、特に2回目が突出していたと思う。

後から娘に聞いたところによると、3回目が終了した後、インスタグラムか何かで「次回はもっと上達してみせます」と書き込んでおられたそうだ。

修行者ではないか...

修行者、求道者に「これで完璧」というのはない。

わたしたちは最高の芸術家がみなそのように言ったのを知っている。
レオナルドはこう言っている。
“Art is never finished, only abandoned.”
「芸術は決して完成しない。ただ途上、未完成(で放置された)なだけだ」

芸術家とは、その茨の道を矜持とともに行く覚悟のできている人のことなのだ。

凡人は頭を垂れるしかないですね。
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