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Brugge Style
sylvia(リハーサル)
バレエ「シルビア」は、フレデリック・アシュトンによって再編成された、ローマ神話の女神ディアーナ(ギリシャ神話アルテミス)を取り巻くニンフのシルビアが人間の狩人と恋愛をする話だ。
音楽は「コッペリア」の作曲者でもあるレオ・ドリーブ。
主役のシルビア役を、今シーズンは3人のプリンシパルが演じる。
現ロイヤル・バレエが誇るマリアネラ・ヌネツ(Marianela Nunez)、ナタリア・オシポヴァ(Natalia Osipova)、ローレン・カスバートソン(Lauren Cuthbertson)、どなたもすばらしいダンサーだ。
ちなみにマリアネラはアルゼンチン、ナタリアはロシア、ローレンは英国のそれぞれ出身で、国際色豊かなところもロイヤル・バレエの特徴だ。
昨日のリハーサルのシルビア役はマリアネラ・ヌネツ、彼女はほんもののニンフ、いやさ女神だった。
ローマ神話にバレエを司る神を一柱加え、彼女にその地位についてもらおう。
バレエはスーザン・ソンタグに言わせるとキャンプ様式のひとつだから、「自然である」と評するのはある意味矛盾かもしれないが、マリアネラ・ヌネツの踊りにはマンネリさ、わざとらしさ、人工的なところ、縫い目のようなものが全くなく、ほんとうに自然ですばらしい。
シルビアに恋する人間の狩人が、ニンフの矢にいたぶられて死んでしまうが、愛の神エロスのとりなしで生き返る。
シルビアが美しい青年狩人をいたぶるうちに彼に恋してしまう、よくありそうな事の成り行きがエロスの愛の矢の一撃で表現されていて、やはり神話というのは人間の感情の動きをうまく説明しているのだなと感心した。
ダンサーらはギリシャ彫刻の神が歩き出したか(ピグマリオンとガラテアの話みたい)と思うほど、圧倒的に神々しい肉体で、もう見ているだけで衰えた脳が活性化されるかのような作品。
わたしたちは美しいものを見るようにできているのだなとつくづく思った。
(写真はROHから)
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