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嵐を呼ぶ華




外は、灰色の雲の間から銀色の光が差す、イングランドの「100通りの灰色」だが、温室内の夏の居間は賑やか。

賑やかなのには理由がある。夜間に嵐が続いたから。




薔薇と芍薬...
一番好きな花の季節だ。

しかし、モエの帰納によると、芍薬はイングランドの初夏の嵐を呼ぶ。

まず、薔薇軍団ボスコベルやイスパハンが咲き乱れ、その頃、芍薬はまだつぼみだ。ぐんぐん丈を伸ばすので補助的な柵をつけてやる。
ポンポンのようなつぼみに蟻が魅惑されて集まって来、美のエレクシールを全部吸い取られてしまうのではと心配になるほど。

と、一輪、先駆けてつぼみの先の方がレースのようにほころんでくると...

バッシャー!! と嵐になるのである。雨は降り、風は吹き荒ぶ。
毎年。絶対。
まるで自分の身を犠牲にして夏を呼ぶかのよう。蘇る火の鳥のようだ(違う)。ヴィスコンティの夏の嵐(原題は『官能』)? ブルックナーのシンフォニー7番をかけよう。


その一輪を嵐の中救出。
水滴が美しく、ずっと見つめていたくなる。




数日後の今日、完全に開き切った。
香り高く、誇り高く、姿美しく、惚れ惚れする。

この花を飾った薄いピンク色のクリームのケーキ、作りたいなあ。軽いスポンジに、いちごとフランボワーズといちごで着色したピンクの生クリーム。




つぼみがつきすぎているボスコベルとイスパハンからも頭を重そうにしている枝だけを...雨の滴で余計に重たそう。
イスパハンはハラハラと花びらを散らす。

で、一番上の写真の状態に。


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