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Brugge Style
マリインスキー・バレエ@ロイヤル・オペラ(白鳥の湖)
来英公演中のマリインスキー・バレエ、一昨夜は「白鳥の湖」の本番へ。
前回は記事を書くには制約があったドレス・リハーサルを見学したのだったが、本番に関しては何でも書ける!
まず、マリインスキーは群舞が素晴らしい。
例えばクリスティナ・シャプラン(Kristina Shapran)が群舞のメンバーであるのを思い出すだけでも、層が厚いことがわたしのような素人にも分かろうというものだ。
この世のものならぬ幽玄を表現する白鳥が36人、小さい白鳥4人、大きい白鳥4人、2羽の白鳥2人で相当人数が多いにもかかわらず、ぞっとするほどの整い様。
観客が退屈してダレてしまうことが多いハンガリアン・ダンスも、マズルカも、ものすごく魅力的だった。
王子の友達のパ・ド・トロワと、2羽の白鳥のダンサーは特筆に価する(覚えておきたいのはNadezhda Batoeva, Sofia Ivanova-Skoblikova, Ekaterina Ivannikova)。
ロットバルト(Andrei Yakovlev)もとてもよかった。
良かったからこそ、プロット上、ロットバルトをもっと大きな役で(例えばアメリカン・バレエ・シアターの女心を思いのままに操る魔物、ベルリン国立バレエの黒幕としての宰相など)扱うほうが、わたし好み。あんな深い役柄、なかなかない。
減点をするとすればオーケストラだ。
どの楽器もバラバラで主張は強く、例えば木管がppで弾くことを要求されているときに、いきなり大音量で奏でたりして全体がぶち壊し。
ホームとは勝手が違いすぎるのだろうか。
オデットのアナスタシア ・マトヴィエンコ(Anastasia Matvienko) は、リハーサルでエカテリーナ・コンダウロヴァ(Ekaterina Kondaurova)を見てしまったので、第三の目が目覚めるほどではなかったが、今後、他のダンサーでは交代がきかない類の個性を重ねたら大変身するのではないかと思う。
それでも1幕目のオデットのバリエーションではほろっときたほどだった。
2幕目のグラン・パ・ド・ドゥのソロはちょっと...普段ロイヤル・バレエのマリアネラ・ヌネツ(Marianela Nunez)らが完っ璧に踊るのを見慣れているものだからか、とても残念に感じた。
リハーサルのときのエカテリーナ・コンダウロヴァのソロはゴージャスもゴージャス、凄みがあって頭がクラクラしたほどだったが。
グラン・フッテも、最初、同マリインスキーのアリーナ・ソモヴァ(Alina Somova)を彷彿させるほどのスピードで始まりドキドキ、案の定最後はスピードがどんどん落ち...失敗ではないけれども...
観客はやんやと喜んでいたのでいいのだろう。あの場面で王子の心理に観客を巻き込んでクライマックスに持っていくことが一番大切かと思うので。
去年のクリスマスに宿泊したニューヨークのバカラ・ホテルで、常にティアラをかぶった中国人女性と何度も居合わせて、服飾とは何かと考えたことがあったことを書いた。
一昨夜は、舞台の上の女王様よりも巨大なティアラ(NYの中国人とは違い、失礼を承知で言うがこちらはイミテーション)をかぶったロシア人女性がおられ、ここは帝政ロシアか! と一気に楽しくなったのだった(笑)。
(写真はROHより)
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