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Brugge Style
恋
親しかった友人と連絡が途切れ、1年ぶりで電話があった時、彼は独身になっていた。
外資系大手の管理職に就き、郊外のかっこいい輸入住宅に夫婦と社会に出たばかりの子ども2人、レトリバー犬と暮し、休日は湖にヨットを浮かべるのが趣味で...
だが仕事以外は彼にとって、今ではすべてが昔日の夢。
ある夏の日、彼は留学生と恋に落ち、そのために離婚したそうだ。
その後彼女は帰国し、去年末は雪の東欧で再会したとか。
こういう話には必ず「恥知らずなバカモノ」とか「わがまままで幼稚な人」という反応がある。わたしはずいぶん年上の友人の恋による狂乱を笑って受けとめるだけの懐の深さはあるつもりだが...
たしかに利口な行動ではないかもしれない。
彼の恋がホンモノかニセモノか、すべてを賭けるか不倫で終わるか、実際のところは当事者にしかわからないことなのだ。
いいトシをして...たかが恋愛で...子どもや奥さんが気の毒...世間が言う通りなのかもしれない。
でも、哀しいかな、若いころは、独身のころは、決して解らないような、経験を積んだ後でしか巡りあわないような、そんな恋があるのではないかと思えてならないのだ。
まるである程度の年令に達したある秋の夕暮れ、突然「風の音にぞおどろかれぬる」という句が府に落ちた、身体で理解できた、といった具合に理解できるそういう恋が。
永遠の愛を誓いあっても人間は変わり、気持ちも変わって行く。
すべてのことは移り変わる。 だからこそ「今・ここ」という永遠、瞬間瞬間の気持ちを大切にして生きるしかない。
自分の感情の変化で他人を傷つけてもいいとは思わないが、おそらくそれも人生の相のひとつなのである。
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