MASTER PIECE

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パリ、テキサス

2014年04月14日 03時34分21秒 | 映画



旅をする映画が大好きです。
なぜ? そう思うのかは自分でもよく分からない・・・

この作品が大好きです。
まっすぐな道と何処までも抜けるような青い空。
乾いた空気がこれほどまでに美しいと感じる作品はそうそう無い・・・

主人公トラヴィスと息子の邂逅、親子の絆、夫婦のあり方など
テーマとしては凄くありきたりな内容なのだが、感情移入出来る主人公の人物像が素晴らしいです。

ヴィム・ヴェンダースはドイツ人監督。
この作品を「アメリカ映画のオマージュ」としている。
たしかにアメリカを舞台にした映画でありながらどこかアメリカらしくない雰囲気があって不思議な印象を受ける。

この不思議な印象って何だろうか・・・

登場人物たちの孤独と、アメリカ映画が描くことを止めてしまった愛の形がこの作品にはあるって事か・・・

無くしてしまった愛を取り戻す旅

たしかに凄く恥ずかしくもあり、能天気なアメリカ作品ではこんなに度ストライクな展開は無いだろうね(笑)

主人公が本編でも語っているが、題名の【パリ、テキサス】ってテキサス州パリスってことですね。

やっぱり映画って素晴らしい・・・そう思える作品でした。

ショート・ピース

2014年04月12日 21時02分02秒 | 映画



本日観ました。
巷の評判は上々でしたのでかなりの期待感・・・

「九十九」

オープニングの作品が終わり本編最初の作品。
結果から言ったら、この作品が一番良かったです。

旅の修理業者が森の中で道に迷い、祠の中で一晩過ごす事になるが。
夢とも現実ともつかない不思議な出来事と遭遇する・・・

この作品集は「日本」をテーマにした作品なのですが
日本人がもつ八百万の神への畏怖や物への大切な心とかがテーマですね。
正直、この修理業者が忘れていた物を大切にする心を持っていて
不思議な話ではあるが、なんとも清々しい気持ちになる作品でした。
全体を通してメッセージを一番強く感じた話ですね。

「火要鎮」

江戸時代の火消しの話。
観た感想は・・・中途半端な印象です。
昔の人はどうやって火事を消したっていうと延焼を防いだっていう事か?
それで壊される民家はたまったものではないが・・・(笑)
それはそれで幕府から保障などあるのかも知れませんが。

「GAMBO」

うーん、話自体が謎ですねぇ~
鬼の生贄に怯える村人と雇われた猟師。
でも主人公はGAMBOという白い熊・・・
このGAMBOが鬼退治に向かう、なぜかGAMBOは人間と心が通じ合うみたいで
元々GAMBOって鬼の仕業で人間から熊に変えられた(イメージ)みたいで
その鬼も本当は宇宙人ですか?って思えるシーンもあり、ある程度の説明も何もないので
観る側が想像するしか無いですね(笑)
一番実験的な作品でした。

「武器よさらば」

戦闘シーン満載のアクション作品。
戦闘エリアの武器を破壊するために任務に就く自衛隊?みたいな部隊。
廃墟の町には無人ロボット装甲車が部外者を警戒していた・・・

これってアクションが主体なので判りにくいですが、武器破壊の為に部隊は武器を使って対抗するし。
武器が無くなったラストは、なんとも原始的な石で対応するって・・・
題名からして「武器よさらば」が皮肉ですね(笑)
平和維持のためには武器ってなくならないって事か・・・

大友作品と実験的な映像が好きって人には良く出来た作品ではあるかと・・・
私は正直に言うと「メモリーズ」みたいなメッセージ性は感じ取れなかったです。


イビサ

2014年04月11日 20時28分31秒 | 書籍



15年ぶりに村上龍の【イビサ】を読んでみました。

ラストだけ強烈な印象で覚えていて、ほぼ前半の内容は忘れていたのですが・・・

性と暴力と破滅的な衝動・・・
まったくもって酷い内容のストーリーです(笑)

でもそれ以上に村上龍の描く文体が繊細で詩的で鮮烈なイメージなのでかなり引き込まれます・・・

「キウイ畑の彼方に小さく建物が見えた。
濃い緑の葉に、毎日決まった時間無数の水滴が載る。
その水滴が一斉に輝く時間帯があって、その向こうにその白い建物を見つけるのがいつの間にか好きになった。
そういう時は、もし自分が芸術家になるとしたら、と妙な事を考えた。
不幸な事実よりも幸福な嘘を表現しよう。」 序章16頁より。

あぁ~なんて映像的な表現なんだろうか・・・キウイ畑っていう表現が鮮烈に印象的です。

主人公、真知子の自分探しの旅がこの作品のテーマですね。
自分自身と向き合うことの危険さや難しさ、村上龍の表現するイメージがあまりにも美しい・・・
思想的にはこの作品自体かなり「危険」な部類に入ると思う。
テーマ的には完成されたニーチェイズムが出ていて、やっぱり凄いです・・・村上龍(笑)

本のレビューでは多くの読者が好意的に、村上龍の作品では好きだという事なので

私の感じ方もあながち的外れではないようです・・・