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15年ぶりに村上龍の【イビサ】を読んでみました。
ラストだけ強烈な印象で覚えていて、ほぼ前半の内容は忘れていたのですが・・・
性と暴力と破滅的な衝動・・・
まったくもって酷い内容のストーリーです(笑)
でもそれ以上に村上龍の描く文体が繊細で詩的で鮮烈なイメージなのでかなり引き込まれます・・・
「キウイ畑の彼方に小さく建物が見えた。
濃い緑の葉に、毎日決まった時間無数の水滴が載る。
その水滴が一斉に輝く時間帯があって、その向こうにその白い建物を見つけるのがいつの間にか好きになった。
そういう時は、もし自分が芸術家になるとしたら、と妙な事を考えた。
不幸な事実よりも幸福な嘘を表現しよう。」 序章16頁より。
あぁ~なんて映像的な表現なんだろうか・・・キウイ畑っていう表現が鮮烈に印象的です。
主人公、真知子の自分探しの旅がこの作品のテーマですね。
自分自身と向き合うことの危険さや難しさ、村上龍の表現するイメージがあまりにも美しい・・・
思想的にはこの作品自体かなり「危険」な部類に入ると思う。
テーマ的には完成されたニーチェイズムが出ていて、やっぱり凄いです・・・村上龍(笑)
本のレビューでは多くの読者が好意的に、村上龍の作品では好きだという事なので
私の感じ方もあながち的外れではないようです・・・