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平日が休みでしたので、シネコンプレックスで映画観てきました。
ちょっと興味があった【ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日】
映画観に行く前は海洋冒険&虎と少年の交流・・・みたいなイメージでしたが。
ある意味驚きです・・・いい意味で。
以下、観た客観的な感想ですので作品の真意やメッセージと異なるかもしれません・・・
まず、海洋冒険が主体ではなく、海洋を舞台とした信仰や宗教が底辺にある作品でした。
主人公の名前(ニックネーム)が【パイ】これは円周率のπです・・・永遠に続く数字。
多分これはインドの宗教観を表していると思う・・・【輪廻転生】ですね。
昔ほではありませんが、インドはカースト制度で生まれた時から職業が決まっている。
王族に生まれたら死ぬまで身分が高くて、農家に生まれたら一生農民。
「次に生まれ変わったらもっと身分が高い人間になりたい」というのは当たり前の考えでしょう。
仏教はインド発祥で【輪廻転生】を否定した宗教でしたが、インドでは根づかなかった・・・
ストーリーの途中でミーアキャットの島に偶然流れ着くが・・・
再びパイと虎はその島から出ていく・・・
昼間は楽園のようですが、夜は島全体が酸性化して人間が住める土地ではなかった。
その島の姿は釈迦の涅槃像そっくりなのが印象的です。
これは宗教の素晴らしさと怖さのメタファーだと思う。
主人公パイは獰猛な虎と、どうやって生き延びたか・・・
それはパイを自分のエサとしてとらえている存在から分かり合える、少なくとも危害を加えない存在へと
虎が理解していく過程が面白いですが、これも宗教観、価値観が違う人類のメタファーと思う。
終盤でメキシコにたどり着いた時に、虎はフラフラで空腹だったにも関わらずパイを飛び越えてジャングルに消えていく。
振り返りもせずに淡々と、別れの抱擁も何もないのが、かなり印象的です・・・
と、ここまでは【ライフ・オブ・パイ】というパイさんの回想録ですが。
ラストの真実かも知れないアナザーストーリーを語るパイさんはもっと印象的です。
私は正直「えっそうだったの・・・」って思った、多分、これは予想出来ないと思う。
真実味としてはこっちなんだろうね・・・
貨物船の船員(コック?)にジェラール・ドパルデューが出ていたけど
私の好きな【1900年】にも出ていたフランスの名優があんな使われ方していて
違った意味でも、とても印象深い作品でした。
深いコメントありがとうございます。
>霊魂みたいなものが生まれ変わるという思想はないんですね
ごくごく簡単に説明しますと仏教では人間は生きること自体が【苦】なんですね、迷いや煩悩がある人間は苦しみの存在です。
釈迦は死んだら生まれ変わりませんよ、次の魂のステージは【仏】ですよ、と説いたんです・・・と、理解しています。
>仏教の複雑な輪廻否定説、いまのところ私には難しくて理解できません
複雑ですので理解するには修行が必要です(笑)
>良質なファンタジーは寓話的でなければならないし、
寓意としての物語を完成させる意味があったのだな、と思いました
いやぁ~久々に骨太なメッセージ色強い作品を観れましたので満足度は高いです。
>仏教はインド発祥で【輪廻転生】を否定した宗教でしたが、
ボレロさんのこちらの文章を読んで、「あれ??そうなのかな??」と思って、
ウィキペディアで調べたら、やはり仏教はヒンズー教のような簡単な意味での輪廻・・・、
霊魂みたいなものが生まれ変わるという思想はないんですね
形式的には仏教徒なのに初めて知りました・・・。
欧米人とか、リインカネーションといえば仏教だと思ってる人、
すごく多いイメージなのですが・・・。
自分の理解不足に欧米人までひきずり込んでしまいましたが、
仏教の複雑な輪廻否定説、いまのところ私には難しくて理解できません・・・
>ラストの真実かも知れないアナザーストーリーを語るパイさんはもっと印象的です。
>真実味としてはこっちなんだろうね・・・
大人なご意見だと思いました。
私は映画を観た後「何故あんな現実的なエピソードを付け足したのだろう」と思ったのですが、
ボレロさんの記事から海洋漂流の出来事自体が全体的にメタファーだったのだと理解して、
(ミーアキャットの島のくだりなど、メタファーでなければ荒唐無稽過ぎますよね)
良質なファンタジーは寓話的でなければならないし、
寓意としての物語を完成させる意味があったのだな、と思いました。