静かなる反戦小説・・・。
作品名は知っていても中々読む機会が無い名作のひとつを一気に読んだ。
ビルマでの戦線で捕虜になった日本軍兵士の話ですが、残酷な描写もほとんど無い。
「戦争って悲惨だねぇ~、残酷だねぇ~だから平和が大切だよ!!」っていう強烈な反戦メッセージも感じません。
作者が訴えたかったのはもっと別なメッセージだと思う。
日本人の美徳、良心、絆やアイデンティティーなど、
大東亜戦争の敗戦後、失われつつある日本人の価値観や宗教観がテーマだと思う。
戦争自体が強烈な体験には違いありません・・・・。
いつ自分が死ぬかもしれない極限状態、親しかった仲間が次の日には亡き人となる・・・。
うん、私は水島上等兵の行動も宗教的気持ちの変化もよく理解できる。
自分が死ぬことに対しての恐怖心よりも、死ななかった事に対する後悔が大きいって言うのが凄く日本人らしい・・・。
久々に泣ける作品でした・・・って言うかまだこんな純粋な日本人を題材とした小説に感情移入出来たって事が
私としてはなんとなく嬉しい気持ちです。(笑)