MASTER PIECE

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さよなら渓谷

2015年01月03日 18時35分53秒 | 映画



新年の最初に観たDVD映画作品。
去年は11月に「【家族ゲーム】を観たっきりでしたので約一ヶ月ぶりです。

月に一作品しか観ない(観れない)ってのは自分としても珍しいです(それだけ余裕が持てなかったという事かも)

さて、作品の感想ですが、まぁ~テーマ自体が重い・・・そして取り返しがつかない絶望感

15年前に起こった大学野球部の集団レイプ事件。
その加害者と被害者が現在は夫婦(内縁)っていう不思議な関係。

極限のラブストーリーが展開されるんだけど、愛情ってなんなの?憎しみってなんなの?っていう問題を投げかける作品。

私が一番思ったのは、ひとときの過ちがどれだけ重大な影響を未来に及ぼすか・・・って事。
もう加害者も被害者もない・・・どっちもトラウマを抱え、生きていく意味までも見失いそうな物語。

最後になぜ、かなこ(真木ようこ)は出て行ったのか・・・

渓谷のつり橋の上で彼女は夫に問いただした言葉はどういう意味だったのか?「ねぇ、どうして何も言わないの?」
夫に嘘の証言をして罪を着せたのはかなこであったのに対し夫は無言・・・

これは夫が背負っている自分への贖罪をいまでも受け入れていることへの彼女の気持ちの変化なのでしょう・・・
それは本当の愛情が芽生えた瞬間だと思った。
いままで私を苦しめていたのは加害者の夫なのだけれど、いまは私が夫を苦しめているのだと・・・
「わたしより不幸になってよ!!!」っていう本来の願いから変化して出て行く(別れる)って事。
なんという切なさとやさしさなんだろう・・・・(泣)

だから題名が【さよなら渓谷】なんだね!!! よく出来ていると思う。

うーん、後半になるにつれテーマや作品の意図がはっきりしてくる凄く良質な作品でした。