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船の寿命

2024-08-31 05:13:42 | 船舶
皆さんは船の寿命は何年くらいだと思いますか?
と言うか、船に寿命があるなんて考えもしなかった人が多いのではないでしょうか。
でも、改めてそう問われると、
「人間と同じくらいかな?」そんなトコだと思います。
ところがです、船の寿命というのは意外と短いのです。

木造帆船時代の船の寿命、それは大体40年前後でした。
それは現代の船から見ると大変に長いのです。
時代が進み、木造船は鉄や鋼鉄で造られる様になると、
船の寿命は不思議な事に逆に短くなっていくのです。



何十万トンという途方もない巨体を誇る、オイルタンカー。
その寿命はせいぜい15年しかないのです。
大変な建造費をかけて造った船が、たった15年の寿命でしかない。
その事実に多くの人は驚かれると思います。

船の寿命には、船がそれ以上は動けなくなる限界、
物理的寿命がある訳ですが、
そういった状態まで船を動かすという事は殆どないのです。
現代の船の寿命というのは、経済的理由の寿命なのです。
つまり、船はまだ十分に動けるのに、動かせば動かすだけ赤字になる。
その時点で船の寿命は尽きるのが現代なのです。

経済的理由での寿命の極致が、マンモスタンカーなのです。
第二次大戦後の経済発展の中で、最も急成長を遂げたのは石油でした。
石油が無ければ経済の発展はあり得ません。
世界中の船会社が産油国からオイルを運ぶタンカーを造りました。
タンカーは大型船であればあるほど、1回に運べるオイルが増えますから、
みな大型タンカーを急造しました。

1950年までの世界の標準的なタンカーは12000万トン前後。
それからは毎年大型化されたタンカーとなり、
1960年代には10万トン。
1970年代には20万トンとなっていきました。
後から造られる大型タンカーの前には、まだそれほど経っていない中型タンカーは、
経済的に赤字のレッテルを貼られ解体されていくしかありません。

1971年に日石が世界最大のタンカー「日石丸」を完成しました。
18万5000トン、全長347メートル。
しかし、建造から14年後に経済的理由により解体されてしまいました。
たった14年の命だったのです。

こういった中でも世界には本当の意味での長寿船は存在します。
全てが曳船や遊覧船といった小型の船です。
しかし、その船が海を舞台に動いている場合は、塩分の影響で、
その寿命は60年前後、それ以上の船は全て真水の中で働いていた船なのです。





日本で最も長寿だったのは夕顔丸でした。
206トン、全長27,6メートル。

夕顔丸は、長崎市の海岸と、高島炭鉱との連絡と、
人々の輸送に使われたもので、90名前後の定員でした。
1887年(明治20年)建造。
1962年(昭和37年)までの75年間、
一日も欠航する事無く、7万5千回以上働き続けたのです。



世界一有名な船、タイタニック号。
1912年に史上最も有名な沈没事故で沈みました。
その寿命は、処女航海だった事もあり、たった15日間でした。



横浜、山下公園前に係留されている氷川丸。
1930年完成。1961年から横浜に係留されていますが、
後6年で建造から100年ですね。
湖ではなく海に係留されているのですから、当然塩害はあると思います。
どうなるのでしょうか?気になります。


コメント
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